講演情報

[14-O-P208-01]外国人と人材育成~働きやすい職場づくり~

*矢野 優1 (1. 福岡県 介護老人保健施設済生会くれたけ荘)
PDFダウンロードPDFダウンロード
栄養課に外国人をパートとして迎え入れ、会話ができない中、どのようにして業務を指導し、行ってもらうのか、模索・立案・実行をおこなった。同時に新入職員への指導方法も見直した。母国語を使ったリスト、他部署への研修、中堅職員と新入職員がペアとなるプリセプター等を取り入れ、アンケートを配布し振り返りを行った。作業の見えるかを主に取り組むことで、調理員同士の作業の統一化にもつなげることができた。
【はじめに】当施設は、福岡県北九州市八幡東区にある入所と通所のある介護老人保健施設です。平成30年6月から近隣の日本語学校に通う外国人を調理補助員として採用している。現在パートタイムでネパール人1名、中国人1名、計2名の外国人が栄養課に在籍している。令和4年4月、来日したばかりで、日本語での会話が成り立たないネパール人を迎え入れる。日本語での会話ができない中、どのようにして業務を指導し、行ってもらうのか、模索・立案・実行をおこなった。また、同時に誰もが長く働きやすい職場になるよう、新入職員への指導方法も見直し実行したことをまとめたので報告する。【取り組み】<外国人への取り組み>調理補助員の業務内容としては、厨房内の清掃、器具・食器の洗浄、配膳等になる。(1)スマートフォンアプリの翻訳機能を利用した業務指導・日常会話(2)母国語や英語を使用した、清掃作業チェックリスト、食事形態表の作成・掲示(3)業務中に困った事、要望などのアンケート調査・面談<新卒の新入職員への取り組み>(1)入職後1週間の他部署へ研修(2)入職して1か月間のプリセプターの実施中堅職員と新入職員がペアとなり衛生面、作業工程などの指導を行う。(3)食材の切り方、調理方法、食器の数え方などをまとめたノートと掲示物の作成(4)(1)(2)を実施してのアンケート調査・面談【結果】<外国人>(1)スマートフォンアプリを使用して業務指導・日常会話を行うことで、コミュニケーションがとれ、関係性をはぐくむことができた。(2)チェックリスト・食事形態表を見ながら、自主的に業務を行う姿がよくみられるようになった。(3)「日本語ばかりで最初はわからなくて困った。」とアンケートにはあったが、少しずつ日本語にも慣れ、食札を見て配膳が行えている。<新卒の新入職員>(1)新卒の新入職員の内1名が男性であった。栄養課には男性職員の在籍がなかったため、他部署へ研修に行くことで、他部署の同性職員と交流ができ人間関係の構築を図ることができているように見える。(2)プリセプターを取り入れることで、何を指導して、何を指導していないのか把握することができた。(3)目につくところに掲示物を張っていたため、分からなくなった時は、掲示物をみながら作業を行えていた。(4)アンケートでは「他部署への見学は、他の職種の職員とも交流が出来、日常の業務中でも、他部署の職員が声をかけてくれてうれしく思う。」「指導者が決まっていたので、わからないことを聞きやすかった。」などの回答があった。【考察・まとめ】今回、作業の見える化を主に取り組み、母国語を使用した清掃作業チェックリストや食材の切り方・調理方法のノート作成・掲示を栄養課皆で行った。食材の切り方・調理方法に対して、それぞれの職員で調理方法の違いが見つかり、調理方法の統一を行うことができ、自分自身の作業工程の見直しにもつながった。初めは分からなかったり、困ったりしたこともあるだろうが、どの取り組みも、外国人、新入職員の育成に繋がったのではないかと考える。今後も、誰もが働きやすい職場を目指し、育成方法の見直し・工夫・改善を繰り返し行っていきたい。