講演情報
[14-O-M001-01]OLS(骨粗鬆症リエゾンサービス)の取り組み骨折0を目指して!
*島崎 ゆう子1、石川 勤子1、大河原 操子1、鈴木 猛史1 (1. 埼玉県 介護老人保健施設日高の里)
OLS活動を併設病院より継続する事で、二次骨折予防に取り組んでいる。3年間でOLS介入のあった入所者の骨密度、骨折件数、入所者数に対するOLS介入率を割り出した。3年間でOLS介入者の骨折は0で、骨密度の腰椎は上昇し、大腿骨は減少率が低かった。二次骨折予防には効果が有ったので報告する。
【はじめに】
当施設では、2018年から骨粗鬆症リエゾンサービス(以下OLS)の取り組みを行っている。業務効率化と費用軽減を考え、骨折既往のある入所者に対して併設病院で定期検査と医師の往診、経口製剤とリハビリで骨折の二次予防に取り組んでいる。経口製剤は費用面を考慮してミノドロン酸(BP)とビタミンDに限定、リハビリは週2回介入し下肢に対する抗重力運動を取り入れているが転倒予防のため車いす中心者が多く起立や歩行機会は少ない。介護士による日光浴や体操も適度に取り入れている。現在の取り組み内容で骨密度や骨折件数に変化があるのかを検証したので報告する。
【目的】
OLSの介入を施設で継続することで、骨粗鬆症の進行を抑え、転倒などによる二次骨折を起こさないようにすることである。骨密度の維持、骨折件数が減少していることを明確にし、現在行っているOLSの取り組みが有効であるかを検証する。
【対象・研究方法】
2021年4月1日~2024年3月31日の3年間でOLS介入の有った入所者38名(男8名、女30名、施設内移動が車椅子群26名、歩行群12名、平均年齢89歳、平均介護度は要介護3、平均在所日数7.8ヶ月、内100歳以上、摂食障害者4名を除外)を対象とした。(1)骨密度(DXA法)、入所前もしくは入所後初回と最終の比較(2)2021年4月1日~2024年3月31日骨折件数(3)平均入所者数に対する年間OLS介入率
【結果】
(1)車椅子群の骨密度では、腰椎YAM値、初回66.6%、最終67.8%と1.2%増加、大腿骨YAM値では、初回58.6%、最終56.9%と1.6%減少した。歩行群の骨密度は、腰椎YAM値、初回70.9%、最終72.6%と1.7%増加し、大腿骨YAM値では、初回58.0%、最終57.0%と1.0%減少した。(2)3年間での骨折件数は0件だった。(3)年間OLS介入率は、2021年度15.4%、2022年度26.9%、2023年度42.5%だった。
【考察】
(1)の結果より腰椎の骨密度は、車椅子群、歩行群共に増加し、歩行群が0.5%高かった。大腿骨は、車椅子群、歩行群共に減少し、歩行群の方が高位に保たれた。寺前らは、閉経以後における骨密度は1年間に2から4%減少する。しかし、骨量の維持には日常生活における荷重や運動が密接に関係していると言われている。歩行群の骨密度が車椅子群に比べ高いのは日常生活において歩行する機会により適度な荷重が骨密度に影響を与えていると考える。OLS介入者の骨密度は腰椎では増加、大腿骨でも1.0から1.6%の減少率で留まっている。骨粗鬆症治療には薬物療法、食事療法、運動療法が必要だと言われている。OLS介入によりBP製剤内服の継続、栄養管理、リハビリが有効であったと考えられる。一方で、(2)の3年間でOLS介入者の骨折がなかった事は、(3)の年々介入率が増加している事も関与していると考えられる。
【まとめ】
高齢者の骨密度の維持には、薬剤投与、栄養管理、リハビリなどのOLS介入が必要である。しかし、すべての入所者に介入する為には業務量と費用を考え難しい面が有る。車椅子群と歩行群の比較より、有意差はなかったが歩行群の骨密度が高かった結果より、日常生活における活動量が骨密度に影響を及ぼす事が示唆された。一方、老健施設でのリハビリは限られた単位数で実施され十分な活動量とは言えない為、骨密度を維持する為には日常の活動量を増やしていけるかが鍵となる。今後の老健施設での運動の取り組みが課題である。
当施設では、2018年から骨粗鬆症リエゾンサービス(以下OLS)の取り組みを行っている。業務効率化と費用軽減を考え、骨折既往のある入所者に対して併設病院で定期検査と医師の往診、経口製剤とリハビリで骨折の二次予防に取り組んでいる。経口製剤は費用面を考慮してミノドロン酸(BP)とビタミンDに限定、リハビリは週2回介入し下肢に対する抗重力運動を取り入れているが転倒予防のため車いす中心者が多く起立や歩行機会は少ない。介護士による日光浴や体操も適度に取り入れている。現在の取り組み内容で骨密度や骨折件数に変化があるのかを検証したので報告する。
【目的】
OLSの介入を施設で継続することで、骨粗鬆症の進行を抑え、転倒などによる二次骨折を起こさないようにすることである。骨密度の維持、骨折件数が減少していることを明確にし、現在行っているOLSの取り組みが有効であるかを検証する。
【対象・研究方法】
2021年4月1日~2024年3月31日の3年間でOLS介入の有った入所者38名(男8名、女30名、施設内移動が車椅子群26名、歩行群12名、平均年齢89歳、平均介護度は要介護3、平均在所日数7.8ヶ月、内100歳以上、摂食障害者4名を除外)を対象とした。(1)骨密度(DXA法)、入所前もしくは入所後初回と最終の比較(2)2021年4月1日~2024年3月31日骨折件数(3)平均入所者数に対する年間OLS介入率
【結果】
(1)車椅子群の骨密度では、腰椎YAM値、初回66.6%、最終67.8%と1.2%増加、大腿骨YAM値では、初回58.6%、最終56.9%と1.6%減少した。歩行群の骨密度は、腰椎YAM値、初回70.9%、最終72.6%と1.7%増加し、大腿骨YAM値では、初回58.0%、最終57.0%と1.0%減少した。(2)3年間での骨折件数は0件だった。(3)年間OLS介入率は、2021年度15.4%、2022年度26.9%、2023年度42.5%だった。
【考察】
(1)の結果より腰椎の骨密度は、車椅子群、歩行群共に増加し、歩行群が0.5%高かった。大腿骨は、車椅子群、歩行群共に減少し、歩行群の方が高位に保たれた。寺前らは、閉経以後における骨密度は1年間に2から4%減少する。しかし、骨量の維持には日常生活における荷重や運動が密接に関係していると言われている。歩行群の骨密度が車椅子群に比べ高いのは日常生活において歩行する機会により適度な荷重が骨密度に影響を与えていると考える。OLS介入者の骨密度は腰椎では増加、大腿骨でも1.0から1.6%の減少率で留まっている。骨粗鬆症治療には薬物療法、食事療法、運動療法が必要だと言われている。OLS介入によりBP製剤内服の継続、栄養管理、リハビリが有効であったと考えられる。一方で、(2)の3年間でOLS介入者の骨折がなかった事は、(3)の年々介入率が増加している事も関与していると考えられる。
【まとめ】
高齢者の骨密度の維持には、薬剤投与、栄養管理、リハビリなどのOLS介入が必要である。しかし、すべての入所者に介入する為には業務量と費用を考え難しい面が有る。車椅子群と歩行群の比較より、有意差はなかったが歩行群の骨密度が高かった結果より、日常生活における活動量が骨密度に影響を及ぼす事が示唆された。一方、老健施設でのリハビリは限られた単位数で実施され十分な活動量とは言えない為、骨密度を維持する為には日常の活動量を増やしていけるかが鍵となる。今後の老健施設での運動の取り組みが課題である。