講演情報
[14-O-C001-02]ケアの個別性を深めて、看取りケアに繋げる商店街のみんなに会いたい・地域に帰ろう
*伊東 辰悟1、村本 昌宏1、市川 圭子1 (1. 神奈川県 うしおだ老健やすらぎ)
「私の願い」の活用により、個別性を追求し看取りケアに繋げた事例である。看取り期のA氏は「お家に帰りたい」と漠然とした訴えが多かった。「私の願い」を用いた聞き取りを繰り返し行い、ケアすることで最期までその人らしく過ごせた。「私の願い」の活用はニードを明確にし、個別性の深い看取りケアに繋げられる。
<はじめに>
看取りケアは特別なことではなく、日々のケアの延長線上にある最期の時をどう生き抜くかを支援することである。「私の願い」を活用することで、ケアの個別性を追求するとともに看取りケアに繋げた事例を発表する。
<事例>
*倫理的配慮 個人が特定されないように配慮し、抄録以外の目的に使用しない。利用者紹介 利用者A氏 女性90歳代 腹膜癌が見つかり、余命が告げられた。KP:娘様はお家で看取ることは難しいと考えている。本人の要望:漠然とお家に帰りたいという要望は度々聞かれる。
⇒そこで本人のニードをより明確にするために「私の願い」を活用した。一度聞くだけでなく、日々の関わりの中から数回に渡って聞き取りを行った。
<アセスメント>
・商店街で旦那様と商売をしてきた人であり、ご近所付き合いをとても大切にしてこられた。
・仕事が趣味のような人であったが、孫などの家族も大切にしてきた。
<ケアの目標>
・住み慣れた地域に戻り、大切にしてきた家族や近所の方と再開することで、最期までその人らしく生きること(人生を振り返り、自己肯定感を持って過ごす)を支援する。
<ケアの実際>
1、商店街への外出を企画し、数回外出をした。
・旦那様と商売をしてきたお店の前まで外出。近所の魚屋さんなど再開を涙ながらに喜んでいた。
・商店街の行きつけの美容室まで外出。お互いの近況について話されていた。
2、商店街のうなぎ屋さんはどうしているか。うなぎやお寿司が食べたい⇒外食はコロナ感染のリスクがあるため、お寿司を買ってきてやすらぎで召し上がってもらった。
3、お家(娘様宅)への月一の外泊の実施。娘様・お孫様と過ごした。
<利用者の変化>
今まではお家に帰りたいという漠然な訴えが多く、生活に対する要望を話されることも少なかった⇒商店街の魚屋さんに会いたい・行きつけの美容室に行きたいと要望を話されることが多くなった。外出を繰り返すうちに商店街の方たちとの結びつきを再確認して、ウナギやお寿司が食べたいなどの様々な要望を話されるようになった。
<考察>
1、人生の最期に向かうにつれて、ご本人からの要望を聞き取ることは難しくなる。意思疎通が取れるうちにアセスメント「私の願い」の活用をすることで、その人らしさを支援することに繋がる。また、日々過ごす中で心境の変化や新たな要望が出てくることは自然であり、それらを聞き取り活かすことで、充実した日々を過ごすことになる。
2、近所の人に会いに外出。外泊するといった活動はその人自身が自分の人生を肯定することになるとともに、家族や近所の方たち(大切な人たち)のグリーフケアにもなっていく。
3、最期に希望の場所(お家)で過ごせなくても、積極的に外泊や外出を進めることで、悔いのない最期に繋げられる。
<今後の課題・おわりに>
・看取りケアは非常に個別性の高いケアであり、アセスメントが求められる。私の願いの活用方法を職員間で共有していく。
・コロナ禍での外出の感染対策を家族と共有していくことで、老健入所中でも外出や外泊などの利用者の想いを実現することに繋げていく。
看取りケアは特別なことではなく、日々のケアの延長線上にある最期の時をどう生き抜くかを支援することである。「私の願い」を活用することで、ケアの個別性を追求するとともに看取りケアに繋げた事例を発表する。
<事例>
*倫理的配慮 個人が特定されないように配慮し、抄録以外の目的に使用しない。利用者紹介 利用者A氏 女性90歳代 腹膜癌が見つかり、余命が告げられた。KP:娘様はお家で看取ることは難しいと考えている。本人の要望:漠然とお家に帰りたいという要望は度々聞かれる。
⇒そこで本人のニードをより明確にするために「私の願い」を活用した。一度聞くだけでなく、日々の関わりの中から数回に渡って聞き取りを行った。
<アセスメント>
・商店街で旦那様と商売をしてきた人であり、ご近所付き合いをとても大切にしてこられた。
・仕事が趣味のような人であったが、孫などの家族も大切にしてきた。
<ケアの目標>
・住み慣れた地域に戻り、大切にしてきた家族や近所の方と再開することで、最期までその人らしく生きること(人生を振り返り、自己肯定感を持って過ごす)を支援する。
<ケアの実際>
1、商店街への外出を企画し、数回外出をした。
・旦那様と商売をしてきたお店の前まで外出。近所の魚屋さんなど再開を涙ながらに喜んでいた。
・商店街の行きつけの美容室まで外出。お互いの近況について話されていた。
2、商店街のうなぎ屋さんはどうしているか。うなぎやお寿司が食べたい⇒外食はコロナ感染のリスクがあるため、お寿司を買ってきてやすらぎで召し上がってもらった。
3、お家(娘様宅)への月一の外泊の実施。娘様・お孫様と過ごした。
<利用者の変化>
今まではお家に帰りたいという漠然な訴えが多く、生活に対する要望を話されることも少なかった⇒商店街の魚屋さんに会いたい・行きつけの美容室に行きたいと要望を話されることが多くなった。外出を繰り返すうちに商店街の方たちとの結びつきを再確認して、ウナギやお寿司が食べたいなどの様々な要望を話されるようになった。
<考察>
1、人生の最期に向かうにつれて、ご本人からの要望を聞き取ることは難しくなる。意思疎通が取れるうちにアセスメント「私の願い」の活用をすることで、その人らしさを支援することに繋がる。また、日々過ごす中で心境の変化や新たな要望が出てくることは自然であり、それらを聞き取り活かすことで、充実した日々を過ごすことになる。
2、近所の人に会いに外出。外泊するといった活動はその人自身が自分の人生を肯定することになるとともに、家族や近所の方たち(大切な人たち)のグリーフケアにもなっていく。
3、最期に希望の場所(お家)で過ごせなくても、積極的に外泊や外出を進めることで、悔いのない最期に繋げられる。
<今後の課題・おわりに>
・看取りケアは非常に個別性の高いケアであり、アセスメントが求められる。私の願いの活用方法を職員間で共有していく。
・コロナ禍での外出の感染対策を家族と共有していくことで、老健入所中でも外出や外泊などの利用者の想いを実現することに繋げていく。