講演情報

[14-O-C004-03]看取りケアから学んだこと導入からの振り返り

*岡部 千春1 (1. 山口県 介護老人保健施設 寿光園)
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当施設では、平成21年より看取りケアを実践している。当時は、看取りケアを経験したことのないスタッフが多く、手探り状態であった。看取り経験のある職員からの助言や外部研修への参加、チームでグリーフケアカンファレンスを行い、スタッフ一丸となって進んできた。現在もよりよい看取りケアの実現に向けて取り組んでいるところである。来年は、15年の節目を迎えるため、看取りケアの導入~現在までの経過をここに報告する。
1.はじめに 老健施設では「在宅復帰、在宅支援」が大きな役割である一方、「看取り」も重要な役割として評価されている。当施設では、平成21年から看取りケアを導入した。当初、ほとんどの職員が経験をしたことがなかっため、園外研修に参加し園内でも研修を重ねていき知識を深め情報共有を行ってきた。看取り後はグリーフケアカンファレンスを行い事例を振り返ることで次への質の向上、改善に努めた。手探り状態で開始した看取りケアも家族と密に関わることで会話や対応の仕方、職員の思いやケアの工夫などの変化がみられたについてここに経過を報告する。2.方法 1.対象者:看取りケア希望利用者 2.期間:平成21年~令和6年5月 3.スタッフへ質問による情報収集 4.倫理的配慮:対象利用者と家族に研究の趣旨を説明し同意を得た 3.結果・考察 当初は不慣れなこともあり職員から様々な意見、不安の声も挙がったが実際に以下のことに取り組んだ。1.看取り開始による看取りカンファレンス、チーム会議、担当スタッフが主となりケアを実施。2.看取り後に行われる、グリーフケアカンファレンスを行い問題点や思い・気づき等の意見交換の実施。3.グリーフケアで出た課題・改善内容を基に、元病院勤務者、他施設経験者等の意見を参考に看取りノートを導入。当初はノートにバイタルやその日の体調、天気を記入するのみで業務連絡のような内容だった。4.園外研修に参加した職員が主となり、チーム職員と連携し看取りノートの見直し・改善。更に、些細な出来事なども記入するようにしたことで家族との会話、対応等に大きな変化が見られた。5.令和元年全国にコロナウイルス感染症発生に伴い面会制限がなされた。この中での看取りケアの方法について職員の考えや思い、気づき等を見直した。6.面会時の回数・時間・人数制限もありノートだけでなく壁に装飾や写真を掲示し明るくした。7.園内で行われる研修では看取りに対する考え、目標の再確認をし、話し合いから今後の看取りへの意欲、意識改善に繋げた。4.まとめ 看取りケアは、最期までその人らしく生きることを支援する。本人、家族の望む最期、尊厳ある生活を支援することを考え最期まで生きることを大切に取り組んでいく。そのために日々、コミュニケーションを図る工夫や関りの中で本人、家族の思いを汲み取ることで気持ちや意見を得やすくできる。今後はグリーフケアを充実することも課題として見えてきた。