講演情報
[14-P-D001-06]徘徊による不眠に対し排便コントロールを試みた症例
*町田 泉1、阪上 紀子1 (1. 群馬県 介護老人保健施設 藤岡みどりの園)
2040年には高齢者が584万2千人、高齢者の6~7人に1人、65歳以上の高齢者のおよそ15%が認知症になると言われている。本症例は昼夜問わず徘徊による不眠、1日の平均睡眠時間は3時間程度の方で、便が出ないと気になるのか自己摘便などの不潔行為があったため、排便コントロールを実施したところ、1週間に1度は良眠が出来るようになったためここに報告する。
【はじめに】
2040年には高齢者が584万2千人、高齢者の6~7人に1人、65歳以上の高齢者のおよそ15%が認知症になると言われている。本症例は昼夜問わず徘徊による不眠、1日の平均睡眠時間は3時間程度の方で、便が出ないと気になるのか自己摘便などの不潔行為があったため、排便コントロールを実施したところ、1週間に1度は良眠が出来るようになったためここに報告する。
【状態】
ご利用者A様(90歳 男性 要介護4)
病歴:アルツハイマー型認知症、高血圧症、COVID-19、肺線維症
歩行:押し車にて自立
排泄:リハパンでトイレ自立だが放尿、不潔行為あり
食事:自立(5割くらいの摂取量)
更衣:自立一部介助(ズボンなどがあげられない)
その他:コミュニケーション可能だが、意思疎通の部分に問題があり、話が一歩通行になりがち
【問題点】
・昼夜問わずの徘徊により不眠
・睡眠不足からのふらつきがあり転倒のリスクが高い
・平均睡眠時間3時間
【きっかけ】
夜間徘徊も認知症の症状としてとらえていたが、便が出ないと自己摘便などの不潔行為があったため便が出ないとすっきりした感覚が得られず徘徊されるのでは?と考えてみた。
【方法】
週に1度ビサコジルを挿肛。反応便を確認し、その日の睡眠状況の調査をする。R6年5月22日開始、R6年7月3日まで実施。
【結果】
5/22 Dr指示にてビサコ挿肛開始、反応便中 → 夜間入眠
5/28 ビサコ挿肛、反応便少 → 夜間不眠
5/29 3時間入眠
5/30 2時間入眠
6/3 ビサコ挿肛 → 夜間不眠
6/4~6/6 2時間入眠
6/10 ビサコ挿肛 → 21:00頃から良眠、トイレに起きたがすぐ就寝
6/17 ビサコ挿肛 → 21:00頃から良眠
6/24 ビサコ挿肛 → 夜間良眠
7/1 ビサコ挿肛 → 夜間良眠
ビサコジル1Tを週に1回挿肛した結果、初めの1,2回は不眠であったが、徐々に週1回の入眠が可能になってきた。
【考察】
認知症の約1/3の方に入眠困難と中途覚醒が認められ、そのほか日中の眠気や夕方の気分不安定(夕暮れ症候群)睡眠中の行動異常などがみられる。これらの原因を確かめるためには詳細な問診や介護者の観察が重要と感じた。また、実施期間中に利用者A様の転倒があり(不眠時の徘徊)、多職種で連携し排便コントロールを週2回に増やすかどうか検討していく。
【結論】
人は体内に持っている約24時間周期のリズムがあり、認知症は24時間周期のリズムにトラブルが起こる。徘徊、睡眠障害を防ぎ改善する事はなかなか困難ではあるが、排泄・排便コントロールでほんの少し“援助”を行い夜間良眠で転倒も防ぐことが出来れば、またそれがいかに大事なことかこの症例を通じ学ぶことが出来た。
【参考文献】
・厚労省HP
・生野区認知症BPSD対応マニュアル生野区医師会地域連携室編集(認知症こんなときどうする?2020.4.1引用)
・認知症世界の歩き方-筧裕介
2040年には高齢者が584万2千人、高齢者の6~7人に1人、65歳以上の高齢者のおよそ15%が認知症になると言われている。本症例は昼夜問わず徘徊による不眠、1日の平均睡眠時間は3時間程度の方で、便が出ないと気になるのか自己摘便などの不潔行為があったため、排便コントロールを実施したところ、1週間に1度は良眠が出来るようになったためここに報告する。
【状態】
ご利用者A様(90歳 男性 要介護4)
病歴:アルツハイマー型認知症、高血圧症、COVID-19、肺線維症
歩行:押し車にて自立
排泄:リハパンでトイレ自立だが放尿、不潔行為あり
食事:自立(5割くらいの摂取量)
更衣:自立一部介助(ズボンなどがあげられない)
その他:コミュニケーション可能だが、意思疎通の部分に問題があり、話が一歩通行になりがち
【問題点】
・昼夜問わずの徘徊により不眠
・睡眠不足からのふらつきがあり転倒のリスクが高い
・平均睡眠時間3時間
【きっかけ】
夜間徘徊も認知症の症状としてとらえていたが、便が出ないと自己摘便などの不潔行為があったため便が出ないとすっきりした感覚が得られず徘徊されるのでは?と考えてみた。
【方法】
週に1度ビサコジルを挿肛。反応便を確認し、その日の睡眠状況の調査をする。R6年5月22日開始、R6年7月3日まで実施。
【結果】
5/22 Dr指示にてビサコ挿肛開始、反応便中 → 夜間入眠
5/28 ビサコ挿肛、反応便少 → 夜間不眠
5/29 3時間入眠
5/30 2時間入眠
6/3 ビサコ挿肛 → 夜間不眠
6/4~6/6 2時間入眠
6/10 ビサコ挿肛 → 21:00頃から良眠、トイレに起きたがすぐ就寝
6/17 ビサコ挿肛 → 21:00頃から良眠
6/24 ビサコ挿肛 → 夜間良眠
7/1 ビサコ挿肛 → 夜間良眠
ビサコジル1Tを週に1回挿肛した結果、初めの1,2回は不眠であったが、徐々に週1回の入眠が可能になってきた。
【考察】
認知症の約1/3の方に入眠困難と中途覚醒が認められ、そのほか日中の眠気や夕方の気分不安定(夕暮れ症候群)睡眠中の行動異常などがみられる。これらの原因を確かめるためには詳細な問診や介護者の観察が重要と感じた。また、実施期間中に利用者A様の転倒があり(不眠時の徘徊)、多職種で連携し排便コントロールを週2回に増やすかどうか検討していく。
【結論】
人は体内に持っている約24時間周期のリズムがあり、認知症は24時間周期のリズムにトラブルが起こる。徘徊、睡眠障害を防ぎ改善する事はなかなか困難ではあるが、排泄・排便コントロールでほんの少し“援助”を行い夜間良眠で転倒も防ぐことが出来れば、またそれがいかに大事なことかこの症例を通じ学ぶことが出来た。
【参考文献】
・厚労省HP
・生野区認知症BPSD対応マニュアル生野区医師会地域連携室編集(認知症こんなときどうする?2020.4.1引用)
・認知症世界の歩き方-筧裕介