講演情報

[14-P-A001-05]ミニカンファレンスの導入によるケアの質向上利用者様のニーズにいち早く応えるために

*藤山 麻耶1、玉置 泉1、山路 貴大1、木村 翔太1 (1. 三重県 津老人保健施設アルカディア)
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入所利用者のADL・QOL向上のためミニカンファレンスを導入した結果について報告する。当施設ではケア内容変更は月3回実施される定期カンファレンスの場で検討されていたが、利用者様からのADL変更等の希望時に最大2週間待たせてしまう問題点が生じていた。そこでミニカンファレンスを導入したことで、即日対応が可能となりその結果、在宅復帰の強化・QOL向上・事故防止など、施設全体でケアの質向上がみられたと考えられた。
【はじめに】津老人保健施設アルカディア(以下、当施設という)は三重県津市にある医療法人十愛会の中の一施設である。当施設では、施設入所・短期入所療養介護・通所リハビリテーション・訪問リハビリテーション・居宅介護支援事業所を運営している。入所定員は100床で2023年7月より超強化型へ移行しており、さらなる在宅復帰の強化が必要となる。以前より定期カンファレンスを実施しており、評価・ケアプランの見直し等は行っていたが、超強化型へ移行するにあたり、それまで以上に頻繁にケア内容を見直していく必要があると考え、医師・看護師・介護士・理学療法士・作業療法士・栄養士・ケアマネージャーなどの多職種が円滑に協働できるよう、ミニカンファレンスという新たな取り組みを開始し、効果が得られたため報告する。【目的】1.利用者のニーズにいち早く応える(QOLの向上)2.生活リハビリの早期導入3.事故防止4.定期カンファレンスの時間短縮による業務改善5.多くの職員に多職種連携を経験してもらう【結果】1.利用者より「編み物をしたい」「自主トレをしたい」などの希望があったときに、即日検討・決定し、適切かつ安全な内容・方法ですぐにニーズに応えることが出来た。利用者からも感謝の声が多く聞かれた。2.個別リハビリを実施し生活リハビリが可能な身体能力に達成した時点で、すぐに検討・開始ができた。これにより、日常生活上でも立位・歩行の機会が増え、個別リハビリ以外でも身体能力向上が可能となり、在宅復帰への時間短縮につながった。3.多職種で検討することにより、様々な視点で事故の可能性を考え安全に行う方法を立案・決定できた。しっかり検討して行ったことに関してはほとんど事故なく実施できた。4.定期カンファレンスが1時間半から40分程度に短縮可能となった。5.定期カンファレンスに一般職員が参加することにより、多職種との関わり・意見交換の機会が増え、多職種が互いの考えを理解し、多職種協働への知識が深まった。【考察】ミニカンファレンス発案時は、利用者の意欲を無駄にしないよう、すぐにニーズに応えることが一番の目的であったが、導入に向けて協議を重ね、定期カンファレンスのあり方についても見直すことができた。そして、ミニカンファレンスを運用していく中で、各職種ならではの目線や考え方を知ることができ、結果的に事故防止にもつながることも多くみられた。数分でも多職種が集まって話し合うことの大切さに改めて気づくことができた。今回、ミニカンファレンス導入前と同一条件の環境をつくることができないため、データなどで比較することが難しいが、利用者からの感謝の声や定期カンファレンスの時間短縮など事実として変化が表れている部分もあるため、導入に関しては良い取り組みであったのではないかと考える。【終わりに】 今回、このミニカンファレンスの運用を開始してからまだ1年しか経過していないが、その間に2回ほど運用方法を見直している。介護職員の人員不足・職員配置の変更・利用者数・利用者の身体能力や状況などは一定ではなく日々変化している。ミニカンファレンスを行うことが決して負担とならないように心掛け、運用方法を適宜見直してきた。これはこれからも変わらず、その時の施設の状況に合わせながら利用者を最優先に考え、引き続きケアの質向上に努めたい。