講演情報

[14-P-O001-02]5類感染症移行後の新型コロナウイルス感染対策

*山本 悠1、花田 幸代1、田口 広子1 (1. 岐阜県 老人保健保健施設花トピア可児)
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5類感染症移行後の新型コロナウイルスによるクラスター発生時の感染対策ゾーニングについての振り返り、今後の課題について検討した。ゾーニングをレッド、イエロー、グリーンゾーンからレッド,グリーンゾーンの2エリアに減少させた。最初から全力で感染対策をすることで、感染を最小限に抑えることができると思われる。
【はじめに】2024年6月~7月の期間における新型コロナウイルスによるクラスター発生時の感染対策ゾーニングについての振り返り、今後の課題について検討した。
【対策】
1)当施設におけるフロアーは、1階:通所リハビリテーション30床、2階:入所53床、3階: 入所41床、4階:入所42床で計136床である。
2)2024年6月23日3階入所中のご利用者様1名が発熱し、抗原定性検査にて陽性が判明した。その際職員1名も陽性が判明した。感染源は職員の持ち込みによるものであった。
3)施設全体のゾーニングについて
コロナ陽性者が発生した3階フロアーをフロアー完結とし、フロアー担当職員以外の出入りを禁止した。またフロアー完結対象の職員は更衣室、食堂、出勤・退勤時のエレベーター、フロアー以外の共有スペースの出入りを禁止とした。
4)フロアーでのゾーニングについて
2類感染症の時は、コロナ陽性者、濃厚接触者の方の居室内をレッドゾーンとし、入室時に個人防護具(personal protective equipment(PPE))を着用した上でケアに当たる。イエローゾーン:レッドゾーンの近傍1m以内をイエローゾーンとした。グリーンゾーン:レッドゾーン以外の場所をグリーンゾーンとし、エリア別に担当を決めて業務を行う。5類感染症移行後はイエローゾーンをなくした。
5)陽性者について
個室隔離対応とし、その室内をレッドゾーンとする。陽性者が多床室入所中(1室に4名)の場合は、同室者3名は濃厚接触者とし、その多床室1室で居室隔離(レッドゾーン)とする。
6)濃厚接触者について
食事の際コロナ陽性者と同じテーブルの隣の席の方を対象とする。陽性者と同様に濃厚接触者対象の方が多床室入所中だった場合は、同室の残った3名も濃厚接触者とし居室隔離対応(レッドゾーン)とする。
【結果】
1)3階入所者:6/41名(14.6%)、フロアー担当職員2/14名(14.3%)が陽性となった。COVID-19抗原が陰性化するまで約1か月を要した。また職員の手指を介して、利用者への接触感染を生じさせていた。
2)感染対策の為に居室隔離対応を行ったが、ご利用者様のADLの低下が見られた。食器類はディスポ食器へ変更し、入浴業務を中止した。フロアー職員もコロナ陽性者となり、出勤可能な職員の人数が足りず、提供出来るサービスは低下した。
【考察】 
1)感染拡大の原因として職員が感染媒体になっており、レッドゾーンへ入室する時は衣服のポケットの中身を全てグリーンゾーンで出してからPPEを着用して、レッドゾーンに入室した。
2)ゾーニングはレッド、イエロー、グリーンゾーンからレッド,グリーンゾーンの2エリアに減少させた。コロナ陽性者発生時のゾーンニングとして、2類感染症時は居室内をレッドゾーンとし、その居室扉前にイエローゾーンを設置し、PPEの脱衣を行っていた。しかしグリーンゾーン上にイエローゾーンが点在するため、逆に感染拡大をさせる可能性があるため、PPEの着脱はレッドゾーン内で行う方法へ変更とした。
3)コロナ感染症発症から4年、常に感染対策への不安はあった。感染対策の基本である「マスク・手洗い・消毒」に着目し、入所者・職員が頻繁に手にする場所をアルコール消毒した。
【おわりに】 
 令和5年5月8日からコロナ感染症が2類から5類に移行され、少しずつ平常な生活に戻りつつも介護施設の現場での感染対策はたゆむことなく継続しなければならない。感染源を「持ち込まない」「広げない」「持ち出さない」を念頭に、感染経路を遮断できるような対策を取っていきたい。最初から全力で感染対策をすることで、感染を最小限に抑えることができると思われる。