講演情報
[15-O-R003-04]老健が輝く時~医療から生活へのスムーズな移行~
*山口 恭代1、長縄 伸幸1 (1. 岐阜県 老人保健施設ハートピア・フェニックス)
この度の改定は、医療機関は患者の生活の視点、介護施設は医療の継続を最重要視している。私達フェニックスは、2つの有床診療所を要に、3つの老人保健施設の特徴を最大限に生かしつつ、29の事業所でフェニックス流連携を活用し、地域貢献を目指している。今後はその人のALP(人生継続計画)・ACPの視点で、入院時から法人全体で個々の価値観や人生観等の情報共有を徹底し、医療から生活へシームレスな連携を更に推進していきたい。
【はじめに】
私たちフェニックスは、岐阜県各務原市に創立36年を迎える医療介護の複合体であり、住み慣れた地域で安心して生活が送れるよう、様々なサービスを提供している。2つの有床診療所を要に、3つの老健の特徴を最大限に生かし、ご利用者1人1人に対応した在宅復帰、在宅療養支援、および終末期に向けた介護者援助・看取り等も柔軟に対応している。いずれの施設も超強化型を算定しているが、2つの有床診療所から医療介護のハイブリッド施設である老健を活用し、「医療」から「生活」への移行を目指し、ご本人・ご家族の意向を重んじた在宅復帰・在宅療養支援に取り組んでいる活動を報告する。【取り組みと成果】
フェニックスの原点となる有床診療所は、1988年に開設され、患者様の要望で在宅チームを結成し、手探りで訪問看護、訪問リハビリを地域へ展開した。1994年在宅医療のバックアップとして、医療面と福祉面のサービスが一体として提供できる在宅支援型老健サンバレーかかみ野を開設した。在宅療養支援を継続しながら、急性期病院、有床診療所からの中間施設としての役割を果たし、在宅へ復帰されるご利用者・ご家族様の支援も果たすこととなった。地域医療の推進で多彩な病態を抱える状況に対応するため、2014年2つの有床診療所を中心とした複合型医療施設メディカルセンター・フェニックスを創設した。メディカルセンター内には、急性期からの主にリハビリ継続・在宅復帰支援を役割とする総合クリニック併設のリハビリ型小規模老健リハトピア、多彩な病態を持ち総合評価と医療関与が引き続き必要とする利用者様の生活復帰支援を目指す在宅支援クリニック併設の医療型小規模老健ハートピアがあり、139床の地域支援型のサンバレーかかみ野を合わせると、法人内に3つの老健を活用できることとなった。法人内の入院、入所、小規模多機能の泊りのベッドを合わせると422床を有し、フェニックス流連携をさらに強化する為の体制が整ったといえる。急性期から老健、更に地域への流れの中で、医療機関は「患者の生活の視点」で、介護施設は「医療の継続」が最重要視されている。令和5年度フェニックス全体における在宅復帰支援状況を、医療から在宅への流れに合わせてまとめてみた。2つの有床診療所には542名の受け入れがあり、退院は543名である。直接在宅退院される方は346名、その在宅復帰率は、総合クリニックは約87%、在宅支援クリニック約49%でした。老健へは158名が転所し、124名が在宅へもどられている。法人内で在宅復帰支援の役割を特に担っているリハビリ強化の老健リハトピア、地域包括ケアシステムの拠点となっている老健サンバレーかかみ野から75名が在宅復帰しており、地域との連携は欠かせない。老健の役割である看取りについてもご利用者の尊厳を守り、日頃から家族とのコミュニケーションをはかっている。法人では90名の看取りを対応しているが、139床を活かし充実した医療連携のもと、老健サンバレーかかみ野では42名、在宅支援クリニックとの連携を活かし医療に強みをもつ老健ハートピアでは10名を、その人らしい最終場面を家族とともに共有している。【考察】
この度の改定を機に、医療から生活へ支援する際の老健の使命を果たすためには何が大切か日頃の取り組みから考えると、病態・ADL・認知状態・今後の方向性などその人のALP(人生継続計画)・ACPの視点で、個々の価値観や人生観等も含めた情報共有が支援の軸として必要であると考えた。法人内の共通情報としてR4を利用してきたが、本年度から各務原市独自の意思決定支援「人生アルバム」を交換日記のように活用しながら、かかわる人々からの貴重な情報を「思いのかけら」を拾うように情報を重ねている。長谷川敏彦氏のケアサイクルによると、人は老年期に入ると加齢に伴う幾多の病気を繰り返しながら、やがて終末期を迎え、ケアサイクルの初期段階では、「人は治る、元にもどること」を目指すが、ケアサイクルが繰り返されていくと「人間の社会的存在感」をどのように再獲得していくかを目指していくといわれている。このケアサイクルを予後予測しながら、医療 保健 福祉の総合的な視点から個々のプラン作成が必須となるのが、その時その人の想いの足跡を人生アルバムからもくみとり活かしていく必要がある。更に法人内外共に連携をつなげるために「フェニックス 在宅復帰支援・在宅療養支援チーム」を発足させた。有床診療所、老健、地域連携室、包括支援センターと法人全体にまたがる12名の専門職がそれぞれの職域を超えて、「つなぐ」を合い言葉にご利用者1人1人に寄り添って活動し始めた。まさにフェニックス流連携を強化するための始動である。【終わりに】
今後の医療・介護連携の充実を考えると老人保健施設の役割は大きい。老人保健施設が地域共生社会を支える重要な施設となる為に、利用者を中心に多彩な専門職の職域を超え生活を支援する必要がある。更に、多彩な入所療養支援・地域のニードに応じたサービス提供を使命とし、今後も役割を果たしていきたい。
私たちフェニックスは、岐阜県各務原市に創立36年を迎える医療介護の複合体であり、住み慣れた地域で安心して生活が送れるよう、様々なサービスを提供している。2つの有床診療所を要に、3つの老健の特徴を最大限に生かし、ご利用者1人1人に対応した在宅復帰、在宅療養支援、および終末期に向けた介護者援助・看取り等も柔軟に対応している。いずれの施設も超強化型を算定しているが、2つの有床診療所から医療介護のハイブリッド施設である老健を活用し、「医療」から「生活」への移行を目指し、ご本人・ご家族の意向を重んじた在宅復帰・在宅療養支援に取り組んでいる活動を報告する。【取り組みと成果】
フェニックスの原点となる有床診療所は、1988年に開設され、患者様の要望で在宅チームを結成し、手探りで訪問看護、訪問リハビリを地域へ展開した。1994年在宅医療のバックアップとして、医療面と福祉面のサービスが一体として提供できる在宅支援型老健サンバレーかかみ野を開設した。在宅療養支援を継続しながら、急性期病院、有床診療所からの中間施設としての役割を果たし、在宅へ復帰されるご利用者・ご家族様の支援も果たすこととなった。地域医療の推進で多彩な病態を抱える状況に対応するため、2014年2つの有床診療所を中心とした複合型医療施設メディカルセンター・フェニックスを創設した。メディカルセンター内には、急性期からの主にリハビリ継続・在宅復帰支援を役割とする総合クリニック併設のリハビリ型小規模老健リハトピア、多彩な病態を持ち総合評価と医療関与が引き続き必要とする利用者様の生活復帰支援を目指す在宅支援クリニック併設の医療型小規模老健ハートピアがあり、139床の地域支援型のサンバレーかかみ野を合わせると、法人内に3つの老健を活用できることとなった。法人内の入院、入所、小規模多機能の泊りのベッドを合わせると422床を有し、フェニックス流連携をさらに強化する為の体制が整ったといえる。急性期から老健、更に地域への流れの中で、医療機関は「患者の生活の視点」で、介護施設は「医療の継続」が最重要視されている。令和5年度フェニックス全体における在宅復帰支援状況を、医療から在宅への流れに合わせてまとめてみた。2つの有床診療所には542名の受け入れがあり、退院は543名である。直接在宅退院される方は346名、その在宅復帰率は、総合クリニックは約87%、在宅支援クリニック約49%でした。老健へは158名が転所し、124名が在宅へもどられている。法人内で在宅復帰支援の役割を特に担っているリハビリ強化の老健リハトピア、地域包括ケアシステムの拠点となっている老健サンバレーかかみ野から75名が在宅復帰しており、地域との連携は欠かせない。老健の役割である看取りについてもご利用者の尊厳を守り、日頃から家族とのコミュニケーションをはかっている。法人では90名の看取りを対応しているが、139床を活かし充実した医療連携のもと、老健サンバレーかかみ野では42名、在宅支援クリニックとの連携を活かし医療に強みをもつ老健ハートピアでは10名を、その人らしい最終場面を家族とともに共有している。【考察】
この度の改定を機に、医療から生活へ支援する際の老健の使命を果たすためには何が大切か日頃の取り組みから考えると、病態・ADL・認知状態・今後の方向性などその人のALP(人生継続計画)・ACPの視点で、個々の価値観や人生観等も含めた情報共有が支援の軸として必要であると考えた。法人内の共通情報としてR4を利用してきたが、本年度から各務原市独自の意思決定支援「人生アルバム」を交換日記のように活用しながら、かかわる人々からの貴重な情報を「思いのかけら」を拾うように情報を重ねている。長谷川敏彦氏のケアサイクルによると、人は老年期に入ると加齢に伴う幾多の病気を繰り返しながら、やがて終末期を迎え、ケアサイクルの初期段階では、「人は治る、元にもどること」を目指すが、ケアサイクルが繰り返されていくと「人間の社会的存在感」をどのように再獲得していくかを目指していくといわれている。このケアサイクルを予後予測しながら、医療 保健 福祉の総合的な視点から個々のプラン作成が必須となるのが、その時その人の想いの足跡を人生アルバムからもくみとり活かしていく必要がある。更に法人内外共に連携をつなげるために「フェニックス 在宅復帰支援・在宅療養支援チーム」を発足させた。有床診療所、老健、地域連携室、包括支援センターと法人全体にまたがる12名の専門職がそれぞれの職域を超えて、「つなぐ」を合い言葉にご利用者1人1人に寄り添って活動し始めた。まさにフェニックス流連携を強化するための始動である。【終わりに】
今後の医療・介護連携の充実を考えると老人保健施設の役割は大きい。老人保健施設が地域共生社会を支える重要な施設となる為に、利用者を中心に多彩な専門職の職域を超え生活を支援する必要がある。更に、多彩な入所療養支援・地域のニードに応じたサービス提供を使命とし、今後も役割を果たしていきたい。