講演情報
[15-O-R004-02]地域療養支援の最大効率化を!~有床診と老健の連携~
*玉野 千奈1、長縄 伸幸1 (1. 岐阜県 サンバレーかかみ野)
当法人の所在地である岐阜県各務原市の高齢化率は2040年には34%まで上昇し、同時に90歳以上人口や死亡者数も増える事が予測されている。
超高齢者が増えていく一方で市内の総ベッド数には限界があり、効率よく在宅復帰を進めなければいけない。そのためにはかかりつけ医と連携し、地域内の社会資源の連携を大切にする必要がある。老健の特性を生かした事例の紹介により当法人の地域における取り組みを報告する。
超高齢者が増えていく一方で市内の総ベッド数には限界があり、効率よく在宅復帰を進めなければいけない。そのためにはかかりつけ医と連携し、地域内の社会資源の連携を大切にする必要がある。老健の特性を生かした事例の紹介により当法人の地域における取り組みを報告する。
《はじめに》
私たちフェニックスグループは、有床診療所(以下有床診)を母体とする保健・医療・福祉の複合体である。2つの有床診を要とし3つの老健を開設しているが、それぞれ異なった役割を持ちながらも超強化型算定をしている。その維持には在宅療養を支援するかかりつけ医、特に強化型在宅療養支援医療機関と協力して在宅療養にも力を入れる必要がある。高齢化が加速する中で市内にあるベッド数の増加には限りがあり、老健の地域における使命は極めて重要になると思われる。
《私たちの考える老健の使命(長所)》
市内には強化型在宅支援診療所チームが2つ存在し、そのうちの1つが当法人の有床診を中心とするチームである。
超高齢化社会が進む中、地域の高齢化率はさらに上昇するが、市内における公的なベッド数の増加は大幅に見込まれない。当法人でも今まで老健が担ってきた一部の機能を在宅療養支援チームに移譲する事が多くなっている。市内での看取り数を経時的に調査すると、在宅医療の看取り数は、サ高住・有料老人ホームや訪問看護ステーションの増加を伴って増加している。
医療と介護の機能を併せ持つ老健はその地域のニードに最適に応えられる医療介護のハイブリッド施設である。そこで私どもはその使命に効率よく応えるために、『在宅復帰支援・在宅療養支援チ―ム』を法人内で立ち上げました。私はその一員として新たな気持ちで地域と老健との橋渡しをする役割を担っている。私どもの考える老健の使命とは、1.在宅療養支援機能、在宅復帰支援、自立維持と重度化予防を合わせた3つの機能を有効に利用して地域共生社会を支える、2.多彩な専門職がその職種を越えて協働・連携・融合して、利用者様中心とした生活支援をする、3.多彩な入所療養の支援とし、リハビリ・療養生活・認知症・在宅療養支援などを実施する、4.地域の多彩なニードに応じたサービスの提供を行い柔軟性のある在宅療養生活支援等を行うこと、の4つです。
近年本人・家族のニーズが多様化・複雑化してきており老健退所後の新たな在宅生活を迎えると、さらにニーズが変わっていることも少なくなく、専門職も敏感にその変化を感じ更なる支援していく必要がある。次にその事例について報告する。
《事例1》
I様、76歳男性、妻と二人暮らし。左広範囲脳梗塞後、胃瘻造設状態となり、ADL全介助状態。意思疎通困難。誤嚥性肺炎等を含む肺炎で複数回入院。常に口腔内等の吸引処置が必要。経緯:H25に脳梗塞発症。その後胃瘻造設されたが、在宅療養の希望により当法人の有床診に入院され準備を行った。複数の在宅支援サービスを併用して在宅療養を継続してきたが、R3の妻の脳梗塞発症を契機に当施設に入所される。やがて後遺症が少ない妻が自宅での自立生活に自信をもち始めた頃、「話せなくても夫のそばにいたい・介護したい」という思いに加え、頑張りすぎて自分の体調悪化にも気が付けなくなってしまう性格を配慮したサービスを実行することとした。妻の体調に合わせ二人きりで過ごす自宅時間の充実を図る一方、妻のレスパイトの為にショートステイを適切に組み合わせて在宅医療を行っている。
《事例2》
T様、93歳女性、二人息子との三人暮らし。コロナ罹患後食欲不振、ADL低下。
経緯:主介護者のコロナ罹患に伴い自宅療養中に本人も罹患し、ADLの低下著しくリハビリ目的で入院。その後食思不振が持続し、ADLも不十分で臥床生活が続いた。また、主介護者の体調も悪く一時老健入所を考慮した。その後も頑固に摂食拒否され補液のみの対応が続き、やがて「最後の時は家に連れ帰り一緒に過ごしたい」とご家族がより希望があり、在宅での看取りを覚悟して在宅療養支援を開始した。医療の直接援助は補液のみで訪問看護ステーションとの連携で在宅療養を継続したが、徐々に笑顔や自発的な会話も多くなり、経口摂取量も驚くほどに増加してきた。オムツ使用から車椅子での排泄援助で離床時間を増加させるとともに、さらに離床が進むに従い補液も中止になった。主介護者の介護負担軽減のため短時間のデイサービス利用開始した所、通所サービスの回数増加と共に医療支援は最小限となり現在快適な自宅の療養生活を楽しんでいる。
《考察》
2例を通して共通している点は、1.入院や入所中から多職種が連携し在宅療養をプランニングし家族を含む生活支援することが重要であること、2.多彩なニードに応じたサービス提供を柔軟に行っていくこと、であった。そこでご利用者様やそのご家族様が何を望み、どんな支援が必要であるかを考え、早期に情報共有し多職種でスムーズに対応するために、『在宅復帰支援・在宅療養支援チ―ム』を法人グループ一体で立ち上げた。ご利用者様、ご家族様の病態や想いがどんどん変化する中で、現状に素早く呼応するためにも職種の垣根を越え協働、融合することはとても大切であると考える。
《まとめ》
今後、在宅復帰支援・在宅療養支援のニーズも多様化・複雑化していく中、4つの使命を念頭に置き、地域資源を利用しつつ地域ぐるみで地域における超高齢化社会に立ち向かっていく重要性を学びました。今後も地域における老健の使命を念頭に、本人・ご家族様の思いを実現できるようチームの一員として地域につなげていけるようにしていくことが、私の役目だと感じている。
私たちフェニックスグループは、有床診療所(以下有床診)を母体とする保健・医療・福祉の複合体である。2つの有床診を要とし3つの老健を開設しているが、それぞれ異なった役割を持ちながらも超強化型算定をしている。その維持には在宅療養を支援するかかりつけ医、特に強化型在宅療養支援医療機関と協力して在宅療養にも力を入れる必要がある。高齢化が加速する中で市内にあるベッド数の増加には限りがあり、老健の地域における使命は極めて重要になると思われる。
《私たちの考える老健の使命(長所)》
市内には強化型在宅支援診療所チームが2つ存在し、そのうちの1つが当法人の有床診を中心とするチームである。
超高齢化社会が進む中、地域の高齢化率はさらに上昇するが、市内における公的なベッド数の増加は大幅に見込まれない。当法人でも今まで老健が担ってきた一部の機能を在宅療養支援チームに移譲する事が多くなっている。市内での看取り数を経時的に調査すると、在宅医療の看取り数は、サ高住・有料老人ホームや訪問看護ステーションの増加を伴って増加している。
医療と介護の機能を併せ持つ老健はその地域のニードに最適に応えられる医療介護のハイブリッド施設である。そこで私どもはその使命に効率よく応えるために、『在宅復帰支援・在宅療養支援チ―ム』を法人内で立ち上げました。私はその一員として新たな気持ちで地域と老健との橋渡しをする役割を担っている。私どもの考える老健の使命とは、1.在宅療養支援機能、在宅復帰支援、自立維持と重度化予防を合わせた3つの機能を有効に利用して地域共生社会を支える、2.多彩な専門職がその職種を越えて協働・連携・融合して、利用者様中心とした生活支援をする、3.多彩な入所療養の支援とし、リハビリ・療養生活・認知症・在宅療養支援などを実施する、4.地域の多彩なニードに応じたサービスの提供を行い柔軟性のある在宅療養生活支援等を行うこと、の4つです。
近年本人・家族のニーズが多様化・複雑化してきており老健退所後の新たな在宅生活を迎えると、さらにニーズが変わっていることも少なくなく、専門職も敏感にその変化を感じ更なる支援していく必要がある。次にその事例について報告する。
《事例1》
I様、76歳男性、妻と二人暮らし。左広範囲脳梗塞後、胃瘻造設状態となり、ADL全介助状態。意思疎通困難。誤嚥性肺炎等を含む肺炎で複数回入院。常に口腔内等の吸引処置が必要。経緯:H25に脳梗塞発症。その後胃瘻造設されたが、在宅療養の希望により当法人の有床診に入院され準備を行った。複数の在宅支援サービスを併用して在宅療養を継続してきたが、R3の妻の脳梗塞発症を契機に当施設に入所される。やがて後遺症が少ない妻が自宅での自立生活に自信をもち始めた頃、「話せなくても夫のそばにいたい・介護したい」という思いに加え、頑張りすぎて自分の体調悪化にも気が付けなくなってしまう性格を配慮したサービスを実行することとした。妻の体調に合わせ二人きりで過ごす自宅時間の充実を図る一方、妻のレスパイトの為にショートステイを適切に組み合わせて在宅医療を行っている。
《事例2》
T様、93歳女性、二人息子との三人暮らし。コロナ罹患後食欲不振、ADL低下。
経緯:主介護者のコロナ罹患に伴い自宅療養中に本人も罹患し、ADLの低下著しくリハビリ目的で入院。その後食思不振が持続し、ADLも不十分で臥床生活が続いた。また、主介護者の体調も悪く一時老健入所を考慮した。その後も頑固に摂食拒否され補液のみの対応が続き、やがて「最後の時は家に連れ帰り一緒に過ごしたい」とご家族がより希望があり、在宅での看取りを覚悟して在宅療養支援を開始した。医療の直接援助は補液のみで訪問看護ステーションとの連携で在宅療養を継続したが、徐々に笑顔や自発的な会話も多くなり、経口摂取量も驚くほどに増加してきた。オムツ使用から車椅子での排泄援助で離床時間を増加させるとともに、さらに離床が進むに従い補液も中止になった。主介護者の介護負担軽減のため短時間のデイサービス利用開始した所、通所サービスの回数増加と共に医療支援は最小限となり現在快適な自宅の療養生活を楽しんでいる。
《考察》
2例を通して共通している点は、1.入院や入所中から多職種が連携し在宅療養をプランニングし家族を含む生活支援することが重要であること、2.多彩なニードに応じたサービス提供を柔軟に行っていくこと、であった。そこでご利用者様やそのご家族様が何を望み、どんな支援が必要であるかを考え、早期に情報共有し多職種でスムーズに対応するために、『在宅復帰支援・在宅療養支援チ―ム』を法人グループ一体で立ち上げた。ご利用者様、ご家族様の病態や想いがどんどん変化する中で、現状に素早く呼応するためにも職種の垣根を越え協働、融合することはとても大切であると考える。
《まとめ》
今後、在宅復帰支援・在宅療養支援のニーズも多様化・複雑化していく中、4つの使命を念頭に置き、地域資源を利用しつつ地域ぐるみで地域における超高齢化社会に立ち向かっていく重要性を学びました。今後も地域における老健の使命を念頭に、本人・ご家族様の思いを実現できるようチームの一員として地域につなげていけるようにしていくことが、私の役目だと感じている。