講演情報

[15-O-R004-05]その夢一緒にかなえてあげたい~ 多職種、地域との連携で ~

*中島 麻矢1 (1. 岐阜県 老人保健施設西濃)
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脳出血発症後、「以前の生活、仕事に復帰したい」と当施設へ入所され、その後は当通所リハビリに通われ、仕事復帰に至ることができた事例を報告する。入所中は、「在宅復帰」、在宅復帰後は「仕事復帰」に対する課題抽出をそれぞれ行い、その克服に努めた。その中で、様々な職種や職場の人との連携の大切さを学んだ。現在は、週1回の通所リハビリをご利用され、復帰後の問題点を解決するための支援を継続している。
【はじめに】
ある日、脳出血を発症し、何気ない日常が一瞬で奪われ、仕事も住み慣れた家からも離れ突然の入院生活になり、気持ちも暗くなり笑顔も消えていった。しかし、その苦しさから立ち上がり「以前の生活に戻りたい、仕事に復帰したい」と諦めずに、当施設に入所。退所後は当通所リハビリに通いながら社会復帰に至ることのできた1人の女性利用者との関わりを紹介する。
【症例】
S様66歳女性。診断名:右被殻出血(令和5年8月8日)。
【現病歴】
自宅で倒れているところを発見。T病院へ緊急搬送される。軽度の左上下肢麻痺と左半側空間無視といった高次脳機能障害の症状が認められ、令和5年11月16日当施設へ入所。
【経過・入所期】
入所後、在宅復帰を目標にリハビリを開始。自宅では独居のため、日常生活を送っていく上で必要な課題の抽出を行った。1.左上肢の動きが不十分なこと2.自宅の外階段に手すりがない事3.注意が散漫で、他事が気になると目的と違う場所に行こうとされる行動が多い事、また左半側空間無視から移動時に、壁にあたる事がある。この大きく3つの問題点を中心に、リハビリ訓練を行った結果、少しずつ改善が見られ、令和5年12月26日に、在宅復帰することができた。
【経過・通所リハビリ期】
在宅復帰され、入所期より本人が想っていた夢である「仕事への復帰」を目標とした取り組みが始まった。初めに担当者会議を開き、多職種で検討し、仕事への復帰に必要な課題の抽出を行った。1.通勤のために自転車に乗れるようになること2.自宅生活の環境に適応できるようになること3.仕事内容を把握し本人が対応できるかどうか検討をしていくことを挙げた。また、支援相談員としてはリハビリ担当やケアマネジャーと情報共有を頻繁に行う事や本人への心のサポートを行っていった。しばらくするとS様は「自信が付いてきた。諦めずにリハビリを続けて良かった。仕事場に復帰出来る気がする」と自信に溢れた表情を見せられるようになった。
【まとめ】
令和6年4月1日、就労先のご理解もあり午前中のみ勤務体制で再就職を実現することができた。その1か月後には、仕事に慣れ、体力も向上した為、1日の就労と元の業務内容で仕事ができるようになった。現在は、週1回の通所リハビリを利用し、就労後、困っていることなどフォローすることで働くことを継続していけるよう支援している。S様の話では「充実した生活が送れている」との事でした。今回の経験で、施設内だけでなく地域住民や就労先など地域と協力して進めていくことの大切さを学ぶことができた。今後は、多職種、ケアマネジャー、会社の方と連携を取り、その克服に努めていきたいと考えている。