講演情報
[15-O-R006-07]通所型サービスCにおけるフレイルへの関りについて~簡易版フレイルの判定基準を活用した取り組み~
*小野寺 大悟1、佐々木 成大1、佐藤 幸恵1、田澤 睦夫1 (1. 岩手県 介護老人保健施設 さわなり苑)
令和5年度岩手県平泉町の通所型サービスCにおいて、利用者10名に対し、簡易版フレイルの判定基準を用いて能力に合わせた自主トレーニングの指導を行った。その結果、支援後のフレイル有病者が0名となり、アンケートにて約半数が運動プログラムを継続できたことが示された。今後、取り組みに向けた支援の継続が課題として挙げられた。
【はじめに】
岩手県平泉町の通所型サービス C(以下,通所 C)の「らく楽バランスアップ&健口教室」は、地域のデイサービスセンターが委託をうけ、当苑が運動指導の専門家として、リハビリテーション職員の派遣要請に応え、地域と連携して実施している。講師としての活動は、これまで運動機器使用時の注意点の説明、利用者の個別相談と日常生活のアドバイス、自主トレーニングの指導、全体への講和などを行ってきた。活動内容に関しては保健センターや地域包括支援センター、デイサービスセンターの各担当者から意見を頂きながら決定しており、令和5年度は「簡易版フレイルの判定基準」を活用した取り組みを実施した。以下に実施内容と効果について報告する。
【実施概要】
・全日程:令和5年9月7日~令和5年12月28日
・回数:全13回(週1回)、その内9月7日・10月12日・12月21日の3回参加
・参加スタッフ:当施設リハビリテーションスタッフ(理学療法士・作業療法士)
・取組内容:簡易版フレイルの判定基準を用いて能力に合わせた自主トレーニングの指導
【対象と支援内容】
【対象】利用人数:10名。性別:男性0名、女性10名。平均年齢:86.6歳。介護度:事業対象者6名、支援者4名。環境因子:独居5名、日中独居4名、常時同居1名。参加回数:初回6名、継続利用4名。
【1回目】9月7日:面談形式で簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニングを実施。項目毎に日常生活での不具合も聴取し、生活動作に沿った運動プログラム(自主トレーニング)を指導。
【2回目】10月12日:利用者全体に対し、フレイルと栄養に着目した講話を実施。その後、1回目で行ったスクリーニング結果からフレイル・プレフレイル・ロバストの3群に分け、機能レベルに応じた運動プログラム(自主トレーニング)を指導。フレイル高齢者は立位の運動において転倒の危険性があることから、なるべく座位で行える運動を指導。プレフレイル高齢者は座位と立位の運動を併用して指導。ロバスト高齢者には立位にて負荷を強めた運動を指導。その他リハビリテーションスタッフが参加しない回において、それぞれの機能レベルに応じた指導が他支援者でも継続できるように別途資料を作成した。
【3回目】12月21日: 面談形式での簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニングを再度実施。サービス利用中の自主トレーニングの継続についてアンケートを実施し、指導内容等の振り返りを行う。
【結果】
1回目での簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニング結果ではフレイル:2名、プレフレイル:6名、ロバスト:2名。項目1:体重減少の該当者2名、項目2:身体活動量減少の該当者3名、項目3:活力低下の該当者4名、項目4:自覚的な記憶力低下の該当者2名、項目5:自覚的な歩行速度低下の該当者6名。
3回目での簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニング結果ではフレイル:0名、プレフレイル:8名、ロバスト:2名。項目1:体重減少の該当者1名、項目2:身体活動量減少の該当者1名、項目3:活力低下の該当者1名、項目4:自覚的な記憶力低下の該当者1名、項目5:自覚的な歩行速度低下の該当者6名。3回目でのアンケートにて、サービス利用中の自主トレーニングが継続できた方は6名であった。
【考察】
平泉町からのフレイルに着目した依頼内容と地域在住高齢者という利用者の特性を踏まえた支援として、簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニングを実施した。結果としてフレイル有病者は0名となり、ほぼ全ての項目において該当者が減少した。運動指導の中でフレイル高齢者から「あっち(ロバスト高齢者)のように立って運動するのは大変だな」という声も聞かれ、機能レベルに応じた指導を行えたことがフレイル有病割合の減少と自主トレーニング継続に寄与したと考えられる。また、フレイル高齢者はフレイルの前段階(プレフレイル)や健常な状態(ロバスト)へ改善させることが可能と考えられており、この可逆性を意識した関りが重要だと改めて理解することができた。課題として、運動継続の取組に向けた支援の継続、充実を図る必要性が挙げられた。通所型サービスC終了後に運動教室・サロン・趣味サークルなどにつなぐことを目標に取り組んでいる地域もあることから行政・包括支援センター・関連事業所と連携し、そのような仕組みづくりに努めていきたい。
岩手県平泉町の通所型サービス C(以下,通所 C)の「らく楽バランスアップ&健口教室」は、地域のデイサービスセンターが委託をうけ、当苑が運動指導の専門家として、リハビリテーション職員の派遣要請に応え、地域と連携して実施している。講師としての活動は、これまで運動機器使用時の注意点の説明、利用者の個別相談と日常生活のアドバイス、自主トレーニングの指導、全体への講和などを行ってきた。活動内容に関しては保健センターや地域包括支援センター、デイサービスセンターの各担当者から意見を頂きながら決定しており、令和5年度は「簡易版フレイルの判定基準」を活用した取り組みを実施した。以下に実施内容と効果について報告する。
【実施概要】
・全日程:令和5年9月7日~令和5年12月28日
・回数:全13回(週1回)、その内9月7日・10月12日・12月21日の3回参加
・参加スタッフ:当施設リハビリテーションスタッフ(理学療法士・作業療法士)
・取組内容:簡易版フレイルの判定基準を用いて能力に合わせた自主トレーニングの指導
【対象と支援内容】
【対象】利用人数:10名。性別:男性0名、女性10名。平均年齢:86.6歳。介護度:事業対象者6名、支援者4名。環境因子:独居5名、日中独居4名、常時同居1名。参加回数:初回6名、継続利用4名。
【1回目】9月7日:面談形式で簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニングを実施。項目毎に日常生活での不具合も聴取し、生活動作に沿った運動プログラム(自主トレーニング)を指導。
【2回目】10月12日:利用者全体に対し、フレイルと栄養に着目した講話を実施。その後、1回目で行ったスクリーニング結果からフレイル・プレフレイル・ロバストの3群に分け、機能レベルに応じた運動プログラム(自主トレーニング)を指導。フレイル高齢者は立位の運動において転倒の危険性があることから、なるべく座位で行える運動を指導。プレフレイル高齢者は座位と立位の運動を併用して指導。ロバスト高齢者には立位にて負荷を強めた運動を指導。その他リハビリテーションスタッフが参加しない回において、それぞれの機能レベルに応じた指導が他支援者でも継続できるように別途資料を作成した。
【3回目】12月21日: 面談形式での簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニングを再度実施。サービス利用中の自主トレーニングの継続についてアンケートを実施し、指導内容等の振り返りを行う。
【結果】
1回目での簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニング結果ではフレイル:2名、プレフレイル:6名、ロバスト:2名。項目1:体重減少の該当者2名、項目2:身体活動量減少の該当者3名、項目3:活力低下の該当者4名、項目4:自覚的な記憶力低下の該当者2名、項目5:自覚的な歩行速度低下の該当者6名。
3回目での簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニング結果ではフレイル:0名、プレフレイル:8名、ロバスト:2名。項目1:体重減少の該当者1名、項目2:身体活動量減少の該当者1名、項目3:活力低下の該当者1名、項目4:自覚的な記憶力低下の該当者1名、項目5:自覚的な歩行速度低下の該当者6名。3回目でのアンケートにて、サービス利用中の自主トレーニングが継続できた方は6名であった。
【考察】
平泉町からのフレイルに着目した依頼内容と地域在住高齢者という利用者の特性を踏まえた支援として、簡易版フレイルの判定基準を用いたスクリーニングを実施した。結果としてフレイル有病者は0名となり、ほぼ全ての項目において該当者が減少した。運動指導の中でフレイル高齢者から「あっち(ロバスト高齢者)のように立って運動するのは大変だな」という声も聞かれ、機能レベルに応じた指導を行えたことがフレイル有病割合の減少と自主トレーニング継続に寄与したと考えられる。また、フレイル高齢者はフレイルの前段階(プレフレイル)や健常な状態(ロバスト)へ改善させることが可能と考えられており、この可逆性を意識した関りが重要だと改めて理解することができた。課題として、運動継続の取組に向けた支援の継続、充実を図る必要性が挙げられた。通所型サービスC終了後に運動教室・サロン・趣味サークルなどにつなぐことを目標に取り組んでいる地域もあることから行政・包括支援センター・関連事業所と連携し、そのような仕組みづくりに努めていきたい。