講演情報

[15-O-Q002-06]安心して働ける施設であるための職場安全パトロール

*並河 俊弘1、松岡 明1、望月 千尋1、大橋 充典1、酒井 敬1 (1. 大阪府 吹田徳洲苑)
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安全衛生パトロールとは職場に潜在する危険要因を見つけ出すため、職場内を巡視しその結果に基づき設備や作業方法などの改善を行うことにより、災害の防止を図るためのものです。昨年より吹田徳洲苑では老健労働安全衛生委員会の委員でメンバーを選出して職場安全パトロールを開始した。今回はその経過について振り返り今後安心して働ける施設のあるべき姿を考察する。
【はじめに】
 職場安全パトロールは、職場の状況を安全・衛生の両面から点検し、安全衛生上の問題点を見つけ出して改善することを目的とした取り組みです。事前に作成したチェックリストを基に、職場に潜むハザードや想定されるリスクを考えながらさまざまな角度・視点でパトロールします。労働安全衛生法(以下「安衛法」という)および労働安全衛生規則(以下「安衛則」という)では、安全管理者、衛生管理者、産業医の職務として職場巡視を義務付けています。法令順守はもちろんのこと、災害防止の観点からも欠かせない取り組みであり、職場の安全な環境を確保するうえで重要な役割を果たします。吹田徳洲苑では昨年から老健労働安全衛生委員会を立ち上げて必要な対策をとっています。それまでは併設病院の労働安全衛生委員会に参加し、老健は「病院の一部署」として活動してきましたが、病院とは切り離して老健内で組織作りを行い、委員会内で討議すべき内容も再度精査して従業者が安心して働ける施設づくりを目指して老健独自の労働安全衛生委員会を立ち上げました。それに合わせて職場安全パトロールも内容を再検討しました。内容に関しては今後も検討の余地は多々あるが、必要な項目と方向性に関しては概ね道筋を作ることができたので、その過程を振り返りながら、職員が安心して働ける職場にするための取り組みについて検討してきたことについて報告する。
【目的】
  吹田徳洲苑における職場安全パトロールの活動を振り返り、必要な検討課題を列挙し、求められる安全安心な職場環境作りとはどういうものなのかを明確にしていくことを目的とします。
【方法】
  職場安全パトロールは、職場の生の実態を把握するための有効なツールと言えます。年間を通じて組織的・計画的に行い、リスクアセスメント等の取組につなげていくとより効果的と言われている。
1.チェック項目職場安全パトロールのチェックリストの重点事項は1. 4S(整理・整頓・清掃・清潔)について 2.危険物の管理、重量物の取り扱い、廃棄物の扱いについて 3. パソコン・プリンター、電源及びLANコード類等について 4.空調設備、騒音・照明・室内温度、設備(室内)について 5.機械の安全側面、備品の管理、作業環境管理について 6.人事労務、個人情報保護、衛生管理について 7.緊急・緊急時対応について 8.薬品、有害物取り扱いについて 9.情報伝達について の9項目としました。これらの項目の中には、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づき老健においてもメンタルヘルス対策、過重労働による健康障害の防止パワハラ、セクハラの実態把握、心の健康の保持増進のための取り組みについても項目として取り入れることにした。 
2.実施頻度実施頻度は毎月1回とした。年間計画で毎月の担当グループを決めて該当月の労働安全衛生委員会で結果が報告できるようにスケジュールを組んでパトロールを行うこととした。月に1回パトロールをすることで、問題があった箇所を放置していれば翌月のパトロール時再度指摘されるため、その部署の担当者が早急に対応することができるようになった。
3.担当グループ
 メンバーは労働安全衛生委員会の委員で行っている。担当グループはそれぞれの視点から部署の評価に関しての意見を出してもらうことを目的として3、4人一組でできるだけ多職種が入るように設定した。しかし、実際は勤務が合わないことが多く、全メンバーが揃って回るということが難しく、月によっては2人で実施したということも認めざるを得ないこともあった。グループ内でリーダーを決めてもらい、意見を集約してもらい労働安全衛生委員会で結果発表をしてもらった。
4.評価
 評価は「良」、「要改善」、「要検討」の3段階とした。そこに改善すべき点など気づいたことを記載する自由記載欄をつけた。例えば「ガスボンベの管理」のように事務所など部署によっては評価の対象外となるポイントもあるので「非該当」もつけた。
【結果】
 職場安全パトロールを実施して最も多かった指摘事項は、「棚の上に物が置かれている」であった。これは地震の際に非常に危険であり、その都度指摘をして改善してもらうが、時間が経つと、「いつの間にか誰かが載せていた」と再発していることが多かった。次に多かったのは「PCの不具合」である。これはシステム管理課に修理、交換をしてもらうが年数が経つと順番に不具合が起こり常に満足できる状態にはならない。また、「電源やLANケーブルなどが乱雑に床に散乱している」、「タコ足配線」なども頻繁にみられる。これらは職員の転倒の危険性に直結しており危険である。また外部の方が来られた時には非常に見栄えが悪く管理状態が疑われかねない。これらは設備係に改善してもらうようにして順次解決している。
【結論】
 職場安全パトロールを開始して2年が経過した。普段自部署の環境については「慣れ」が起きてしまい、いろんなところに不具合があっても気づかなかったり、無関心になったりしてしまう。定期的に他者からの目で確認し、指摘してもらうことは重要だと感じた。まだまだ調整が必要なところが多くあるが、働きやすい職場環境づくりに全員で取り組み、また職員一人一人に目を配り、メンタルヘルスの不調に早期に気づき適切に対応していけるよう、着実に実績を積んでより良い働きやすい職場環境づくりに取り組んで行きたい。