講演情報
[15-O-R008-03]回復期と老健のリハスタッフ間の意識の差
*松井 翼1、熊谷 泰臣1 (1. 愛知県 老人保健施設シルピス大磯)
回復期のリハスタッフへ老健に関する認知度を調査し、実際の状況と認知度の差があったため報告する。回復期スタッフにアンケート調査を行い、老健についての認知度を調査した結果、当法人の老健の臥床時間について、実際の状況とは認知度の差があり、入所前に重要視する情報について意識の差を認めた。今後利用前のカンファレンス方法について再検討が必要であることが指摘された。
【目的】
当老人保健施設(以下、老健)は、同法人の回復期リハビリテーション病院(以下、回復期)が隣接しており、回復期退院後の患者を多く受け入れている。また、教育的な見地からもリハビリテーションスタッフ(以下、リハスタッフ)の法人内での異動も実施している。当法人では回復期から老健へ入所する際、円滑な入所生活への移行を目指し、利用前カンファレンス(以下、利用前カンファ)を行っている。利用前カンファとは、回復期入院中に老健リハスタッフと回復期リハスタッフが、入所予定者の基本情報、リハビリテーション(以下、リハ)の状況、生活での注意点などを共有する場である。コロナウイルス流行前は、入所予定者と回復期スタッフが老健を訪れ、実際に生活する環境で日常生活動作を観察し情報共有を行っていたが、現在はスタッフ同士での情報共有のみとなっている。利用前カンファを行っていても、入所後になって情報共有が不十分であったり、入所者が回復期と老健のイメージの差に戸惑う姿が見られたりした。また、回復期には経験年数が浅いリハスタッフが多く、老健のことを十分に理解できていない可能性が予測された。
そのため今回、回復期リハスタッフへ老健に関する認知度をアンケートにて調査を行い、そこで、回復期スタッフの認知度と実際の状況に違いがあり、回復期と老健リハスタッフ間での、入所前に重要視する情報内容に差がみられ、課題が明らかとなったため報告する。
【方法】
回復期リハスタッフにアンケート調査を実施し、46名の回答が得られた。アンケート内容は、1)老健で仕事をした経験の有無、老健での2)リハの時間、3)リハの内容、4)余暇活動、5)臥床時間、6)利用前カンファでの情報共有内容とした。
【結果】
回復期リハスタッフへのアンケートより、
1)「老健で仕事をした経験がある」と答えた者は、10.9%(5名)であった。
2)「リハ時間は老健の方が短くなる」と答えた者は、100%であった。
3)「リハ内容は回復期と老健で違いがある」と答えた者は、89.1%(41名)であり、老健のリハは日常生活動作、機能訓練、在宅復帰支援であるとの意見が多かった。
4)「余暇活動は回復期と老健で違いがある」と答えた者は、60.9%(28名)であり、余暇時間が長く、集団活動で行い、レクリエーションの要素が強いとの意見が多かった。
5)「臥床時間は老健の方が長い」と答えた者は67.4%(31名)であったが、実際は当法人の老健の臥床時間は短いため、認知度に差を認めた。
6)利用前カンファについて、しているADL、できるADL、自室の環境設定、問題行動、余暇活動については重要視し、情報共有をしていることが多く、尿意や便意の有無、ナースコールの可否、ポジショニングやシーティングについては情報共有していることが少なかった。
【考察】
今回の結果より、老健についておおよそではあるが認識されているという結果が出た。しかし、臥床時間などの生活面において十分に理解されていない可能性があり、老健についての説明会を開催することや、法人内リハスタッフの異動を活用するなどの必要性があると考えられる。また臥床時間が長い印象があることと、利用前カンファにおいて離床時間での過ごし方やポジショニング、シーティングの情報共有は50.0%と半分のスタッフが重要視できていないことに関係があるのではないかと思われた。6年前にも同じアンケート調査を行ったところ、臥床時間について今回と同様に認知度の差を認めており、今後は老健での生活状況を、より共有していくことが必要であると考えられた。老健でのリハは限られた時間の中で支援をしていく必要があり、離床時間の過ごし方やシーティングは速やかに設定し、すぐに運動リハや生活支援、在宅支援をしていく必要があると考えている。コロナウイルス流行により、老健での生活がイメージしにくい環境であったと考えており、今後は利用前カンファの方法について再検討を行い、老健への円滑な入所支援を目指していきたい。
当老人保健施設(以下、老健)は、同法人の回復期リハビリテーション病院(以下、回復期)が隣接しており、回復期退院後の患者を多く受け入れている。また、教育的な見地からもリハビリテーションスタッフ(以下、リハスタッフ)の法人内での異動も実施している。当法人では回復期から老健へ入所する際、円滑な入所生活への移行を目指し、利用前カンファレンス(以下、利用前カンファ)を行っている。利用前カンファとは、回復期入院中に老健リハスタッフと回復期リハスタッフが、入所予定者の基本情報、リハビリテーション(以下、リハ)の状況、生活での注意点などを共有する場である。コロナウイルス流行前は、入所予定者と回復期スタッフが老健を訪れ、実際に生活する環境で日常生活動作を観察し情報共有を行っていたが、現在はスタッフ同士での情報共有のみとなっている。利用前カンファを行っていても、入所後になって情報共有が不十分であったり、入所者が回復期と老健のイメージの差に戸惑う姿が見られたりした。また、回復期には経験年数が浅いリハスタッフが多く、老健のことを十分に理解できていない可能性が予測された。
そのため今回、回復期リハスタッフへ老健に関する認知度をアンケートにて調査を行い、そこで、回復期スタッフの認知度と実際の状況に違いがあり、回復期と老健リハスタッフ間での、入所前に重要視する情報内容に差がみられ、課題が明らかとなったため報告する。
【方法】
回復期リハスタッフにアンケート調査を実施し、46名の回答が得られた。アンケート内容は、1)老健で仕事をした経験の有無、老健での2)リハの時間、3)リハの内容、4)余暇活動、5)臥床時間、6)利用前カンファでの情報共有内容とした。
【結果】
回復期リハスタッフへのアンケートより、
1)「老健で仕事をした経験がある」と答えた者は、10.9%(5名)であった。
2)「リハ時間は老健の方が短くなる」と答えた者は、100%であった。
3)「リハ内容は回復期と老健で違いがある」と答えた者は、89.1%(41名)であり、老健のリハは日常生活動作、機能訓練、在宅復帰支援であるとの意見が多かった。
4)「余暇活動は回復期と老健で違いがある」と答えた者は、60.9%(28名)であり、余暇時間が長く、集団活動で行い、レクリエーションの要素が強いとの意見が多かった。
5)「臥床時間は老健の方が長い」と答えた者は67.4%(31名)であったが、実際は当法人の老健の臥床時間は短いため、認知度に差を認めた。
6)利用前カンファについて、しているADL、できるADL、自室の環境設定、問題行動、余暇活動については重要視し、情報共有をしていることが多く、尿意や便意の有無、ナースコールの可否、ポジショニングやシーティングについては情報共有していることが少なかった。
【考察】
今回の結果より、老健についておおよそではあるが認識されているという結果が出た。しかし、臥床時間などの生活面において十分に理解されていない可能性があり、老健についての説明会を開催することや、法人内リハスタッフの異動を活用するなどの必要性があると考えられる。また臥床時間が長い印象があることと、利用前カンファにおいて離床時間での過ごし方やポジショニング、シーティングの情報共有は50.0%と半分のスタッフが重要視できていないことに関係があるのではないかと思われた。6年前にも同じアンケート調査を行ったところ、臥床時間について今回と同様に認知度の差を認めており、今後は老健での生活状況を、より共有していくことが必要であると考えられた。老健でのリハは限られた時間の中で支援をしていく必要があり、離床時間の過ごし方やシーティングは速やかに設定し、すぐに運動リハや生活支援、在宅支援をしていく必要があると考えている。コロナウイルス流行により、老健での生活がイメージしにくい環境であったと考えており、今後は利用前カンファの方法について再検討を行い、老健への円滑な入所支援を目指していきたい。