講演情報
[15-O-R008-07]通所リハビリが地域で求められること地域における私達の役割
*村居 法子1、島田 優1、今藤 尚1、中野 文江1、西堀 悦子1 (1. 滋賀県 介護老人保健施設長浜メディケアセンター)
当施設通所リハの現状を見直す目的で、新規に利用開始となった71名の特性等について調査し、過去の調査結果との比較も行った。利用者特性は、平均年齢78.8歳と前回より若く、男性利用者が62%と多くなっていた。主な原因疾患も骨関節疾患28%、脳血管疾患23%に次ぎ進行性の神経疾患が23%と多い結果となった。退院後の通所リハ利用開始までの期間については、平均6.46日と過去の調査や全国データより早い結果であった。
【はじめに(目的)】
国は、2025年を目途に「高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、医療や介護などの支援を包括的に提供する」地域包括ケアシステム構築の充実を目指している。地域でリハビリテーション(リハビリ)を主軸にサービス提供を行っている通所リハ事業所として、最大限の力を発揮し求められる役割を果たすことが地域包括ケアシステムの充実につながると考え、当施設通所リハの現状を見直すために、利用者の特性等について調査を行った。2019年にも同様の調査を実施し本大会で報告している。今回は前回の調査等との比較も含め、当事業所の魅力とは何か、地域における役割とは何かを検討したので報告する。
【調査方法】
対象は、令和3年4月から令和6年3月までの期間に通所リハを新規に利用開始となった71名。利用者の特性等については、年齢、性別、要介護度、身障高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度、主たる疾患、リハビリ会議実施の有無、退院前に利用相談があった利用者26名については退院から通所開始までの期間を調査した。今回得た結果と前回調査時の結果や全国データとの比較を行った。
【結果】
調査対象利用者は、平均年齢78.8歳、男性44名(62%)女性27名(38%)、平均要介護度2.09,身障高齢者の日常生活自立度はAランク37%、Bランク35%、認知症高齢者の日常生活自立度は正常42%、Iが30%であった。通所リハにいたる主な原因疾患は、骨関節疾患28%、脳血管疾患23%、進行性の神経疾患23%であった。リハビリ会議実施については要介護者において医師の参加のもと実施しているものが82%と多い結果であった。退院後から通所リハ利用開始までの期間については、平均6.46日で1週間以内が68%、2週間以内が19%、2週間以上が12%で長い人で20日であった。
2019年実施の調査との比較では、平均年齢は前回調査に比べ今回の結果が1.2歳若く、男性が52%から62%と増えていた。平均要介護度は前回調査や全国平均と比較しても大きな差はみられなかった。身障高齢者の日常生活自立度は前回Aランクが多かったのに対し、今回は前回に比べAランクの割合が減り、Bランクが増えたことでAランクBランクが同等の割合となっていた。認知症高齢者の日常生活自立度は前回正常とIを合わせて69%、今回は72%と大きな差はなかった。通所リハとなる主な原因疾患は前回調査時には骨関節疾患が44%に対し、今回は28%と減少していた。また、進行性の神経疾患については23%と全国データ5%の約4倍と多い結果となった。退院後の通所リハ利用開始までの期間については、1週間以内が前回54%に対し今回68%、2週間以内が前回25%に対し今回19%、2週間以上が前回21%に対し今回12%であり、前回調査時より早期利用を開始できた結果となった。全国平均は2週間未満の開始が56%であり、全国と比較しても利用開始が早い結果となった。
【考察】
退院後早期に通所リハを利用しリハビリを開始するとADLの改善がより得られることが報告されている。前回の我々の調査においても利用開始が早い利用者はADL等の改善がより得られることが示された。前回調査以降も早期利用開始に向け居宅介護支援相談員や医療機関との連携に図り取り組んでおり、今回の調査からも前回調査時より早期に利用開始できていることがわかった。令和6年度の介護保険改正においては、新たに早期の利用開始に向けて退院時共同指導加算や入院時リハビリ実施計画書入手の義務化などにより退院後の速やかで円滑なリハビリが推進されている。当施設においては以前より積極的に退院時カンファレンスに参加し早期利用開始に努めていた。また、通所リハ利用開始時のリハビリ専門職による自宅訪問や介助指導、環境調整等実生活を踏まえた関わりやリハビリ会議を開催することで生活における問題の明確化やリハビリの目標を本人、家族、関係事業者に説明し認識してもらえることもADLの改善に繋がり介護支援専門員の早期通所リハの利用必要性認識にも繋がっていると思われる。
当事業所では新たに進行性の神経疾患の利用者が増加していることが判明した。進行性の神経疾患は進行スピードも多様であり状態変化も著明である。リハビリ職員による状態評価と状態に応じた生活設定や運動の提供や、医療的なケアが必要な場合も多く、医師や看護職員が配置され医療ケアが充実していることが利用の多い一因となっていると思われる。
前回利用時よりも男性利用者の割合も増加をしていた。一般に男性は通所利用に繋がりにくいとされている。その一因が男性は目的が明確でない利用を好まないことがあげられることから、男性利用者が増加していることについては、利用目的や効果を理解していただけている結果と考える。
通所リハの役割とは、地域包括ケアシステムにおける安定した在宅生活の再構築を図り地域のサービスへ繋ぐこと、また医療的なサービス利用が必要な利用者にも安心してより住み慣れた地域で暮らし続けていくために支援をすることである。今回の調査の結果、当事業所の魅力とは医療ケアの充実や、リハビリ会議等を通し状態説明の充実を図り、生活における問題を明確にすることで本人、家族、関係事業者とリハビリの目標を段階的、具体的に設定し共通認識し取り組めることである。生活に基づいた具体的な目標を設定することで、本人自身も意欲的に取り組むことができると考える。令和6年度介護報酬改定においては、より医療と介護の連携を図り、連続的に質の高いリハビリを行うことが示されているため、通所リハの特性を認識してもらえるよう通所リハの役割について今後も情報発信し、地域包括ケアシステムの中においても中核的役割を果たしていけるように家族、居宅介護支援事業所、介護サービス事業所、地域等と多職種で連携をしていきたい。
国は、2025年を目途に「高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、医療や介護などの支援を包括的に提供する」地域包括ケアシステム構築の充実を目指している。地域でリハビリテーション(リハビリ)を主軸にサービス提供を行っている通所リハ事業所として、最大限の力を発揮し求められる役割を果たすことが地域包括ケアシステムの充実につながると考え、当施設通所リハの現状を見直すために、利用者の特性等について調査を行った。2019年にも同様の調査を実施し本大会で報告している。今回は前回の調査等との比較も含め、当事業所の魅力とは何か、地域における役割とは何かを検討したので報告する。
【調査方法】
対象は、令和3年4月から令和6年3月までの期間に通所リハを新規に利用開始となった71名。利用者の特性等については、年齢、性別、要介護度、身障高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度、主たる疾患、リハビリ会議実施の有無、退院前に利用相談があった利用者26名については退院から通所開始までの期間を調査した。今回得た結果と前回調査時の結果や全国データとの比較を行った。
【結果】
調査対象利用者は、平均年齢78.8歳、男性44名(62%)女性27名(38%)、平均要介護度2.09,身障高齢者の日常生活自立度はAランク37%、Bランク35%、認知症高齢者の日常生活自立度は正常42%、Iが30%であった。通所リハにいたる主な原因疾患は、骨関節疾患28%、脳血管疾患23%、進行性の神経疾患23%であった。リハビリ会議実施については要介護者において医師の参加のもと実施しているものが82%と多い結果であった。退院後から通所リハ利用開始までの期間については、平均6.46日で1週間以内が68%、2週間以内が19%、2週間以上が12%で長い人で20日であった。
2019年実施の調査との比較では、平均年齢は前回調査に比べ今回の結果が1.2歳若く、男性が52%から62%と増えていた。平均要介護度は前回調査や全国平均と比較しても大きな差はみられなかった。身障高齢者の日常生活自立度は前回Aランクが多かったのに対し、今回は前回に比べAランクの割合が減り、Bランクが増えたことでAランクBランクが同等の割合となっていた。認知症高齢者の日常生活自立度は前回正常とIを合わせて69%、今回は72%と大きな差はなかった。通所リハとなる主な原因疾患は前回調査時には骨関節疾患が44%に対し、今回は28%と減少していた。また、進行性の神経疾患については23%と全国データ5%の約4倍と多い結果となった。退院後の通所リハ利用開始までの期間については、1週間以内が前回54%に対し今回68%、2週間以内が前回25%に対し今回19%、2週間以上が前回21%に対し今回12%であり、前回調査時より早期利用を開始できた結果となった。全国平均は2週間未満の開始が56%であり、全国と比較しても利用開始が早い結果となった。
【考察】
退院後早期に通所リハを利用しリハビリを開始するとADLの改善がより得られることが報告されている。前回の我々の調査においても利用開始が早い利用者はADL等の改善がより得られることが示された。前回調査以降も早期利用開始に向け居宅介護支援相談員や医療機関との連携に図り取り組んでおり、今回の調査からも前回調査時より早期に利用開始できていることがわかった。令和6年度の介護保険改正においては、新たに早期の利用開始に向けて退院時共同指導加算や入院時リハビリ実施計画書入手の義務化などにより退院後の速やかで円滑なリハビリが推進されている。当施設においては以前より積極的に退院時カンファレンスに参加し早期利用開始に努めていた。また、通所リハ利用開始時のリハビリ専門職による自宅訪問や介助指導、環境調整等実生活を踏まえた関わりやリハビリ会議を開催することで生活における問題の明確化やリハビリの目標を本人、家族、関係事業者に説明し認識してもらえることもADLの改善に繋がり介護支援専門員の早期通所リハの利用必要性認識にも繋がっていると思われる。
当事業所では新たに進行性の神経疾患の利用者が増加していることが判明した。進行性の神経疾患は進行スピードも多様であり状態変化も著明である。リハビリ職員による状態評価と状態に応じた生活設定や運動の提供や、医療的なケアが必要な場合も多く、医師や看護職員が配置され医療ケアが充実していることが利用の多い一因となっていると思われる。
前回利用時よりも男性利用者の割合も増加をしていた。一般に男性は通所利用に繋がりにくいとされている。その一因が男性は目的が明確でない利用を好まないことがあげられることから、男性利用者が増加していることについては、利用目的や効果を理解していただけている結果と考える。
通所リハの役割とは、地域包括ケアシステムにおける安定した在宅生活の再構築を図り地域のサービスへ繋ぐこと、また医療的なサービス利用が必要な利用者にも安心してより住み慣れた地域で暮らし続けていくために支援をすることである。今回の調査の結果、当事業所の魅力とは医療ケアの充実や、リハビリ会議等を通し状態説明の充実を図り、生活における問題を明確にすることで本人、家族、関係事業者とリハビリの目標を段階的、具体的に設定し共通認識し取り組めることである。生活に基づいた具体的な目標を設定することで、本人自身も意欲的に取り組むことができると考える。令和6年度介護報酬改定においては、より医療と介護の連携を図り、連続的に質の高いリハビリを行うことが示されているため、通所リハの特性を認識してもらえるよう通所リハの役割について今後も情報発信し、地域包括ケアシステムの中においても中核的役割を果たしていけるように家族、居宅介護支援事業所、介護サービス事業所、地域等と多職種で連携をしていきたい。