講演情報
[15-O-P105-01]利用者の快適な入浴環境形成に向けた施設での取り組み
*加藤 由香理1、笹沼 祐介1 (1. 栃木県 介護老人保健施設 マロニエ苑)
当施設では入浴介助のペースが速く、職員間では焦りも伴い入浴の質の低下が懸念された。そこで利用者の入浴環境改善を目的に、入浴を1日1回から1日2回に分け、1回の入浴人数を減らした。変更後、利用者はゆっくりと入浴できると同時に職員は心に余裕ができ業務改善にも結びついた。さらに、職員が行うケアの質を改善、均一化するためにステーション内に設置した掲示板を用いた情報共有の取り組みに関しても報告する。
(目的)
当施設は、医療院併設の総合200床の4フロアで構成されており、3フロアが老健である。1フロアで42~46名の利用者に対して看護師、介護士が平均21名の職員でケアや業務を行っている。職員の多くが「忙しくて、時間に追われることが多い」と感じており、時間内に業務を終わらせるために「利用者優先」のはずが「業務優先」となってしまうこともある。また業務を行っていく中で、職員間で情報共有不足での提供方法が統一されていないことも問題点であった。年齢や介護観の違う人が働く中でも、統一されたケアを提供することは重要な課題である。そこで看護師、介護士がチームとして統一感のある介護サービスが提供できるための方法を明らかにすることを目的として職員間で検討を行った。また本検討により組織の成長や利用者の満足度向上、業務効率の向上も図れることを期待した。
(方法)
情報共有不足で提供方法の違いを統一するために、療養棟職員全員に無記名でのアンケート調査を行い、回答内容を全職員で共有した。アンケート調査書は以下の内容で作成、回収は療養棟責任者へ直接手渡ししてもらい職員全員の回答を得た。回答率は100%であった。
1.療養棟の課題、改善してほしいこと
2.自由記述
回答で、多くの意見があがったのは「時間内に終わらせなければと思い、余裕がない」など入浴時間に対してだった。そこで入浴時間の調整の見直しを行った。当施設では各階ごとに入浴の曜日と時間が割り振られており、1日1回の入浴時に入浴予定の利用者を全員誘導しなければならなかった。アンケート調査により、その方法では全員を誘導するための時間が十分に取れていないことが明らかになった。そこで入浴誘導を1日1回から、午前と午後の2回に分けて行うようにした。
次に情報の共有を図る時間が取れていないとの声が多く上がった。以前は業務連絡ノートを作成し、各自で情報収集を行っていたが職員間で連絡ノートを確認する頻度に差があり、情報の伝達不足で業務が統一されていないことを多く感じた。そこで、伝達事項をより正確に共有するため、療養棟のサービスステーションの入り口にホワイトボードを設置して伝達事項はそこに記入することにした。出勤時に業務連絡がすぐに確認できるようにして情報の伝達不足の解消を狙った。
(結果)
入浴時間を午前と午後の2回に分けたことにより「精神的余裕が生まれた。」「時間に追われて行っていたと感じていた入浴介助が気持ちにゆとりをもって行うことが出来た。」といった前向きな意見を職員から得られた。その一方で、1.入浴の曜日や時間が変更になったことにより、利用者の洗濯物提出日に変更が多く出てしまい、ご家族へ周知するために各部署との連携が大変であった。2.レクリエーションを行っていた時間に入浴時間が重なってしまったことにより職員の負担が増え、レクリエーションの実施時間も減少することになってしまったといった2点の問題が指摘された。
情報の伝達不足について、業務改善当初は業務連絡ノートを朝の申送り時に報告と、時間を確保し業務連絡カンファレンスを行っていた。しかし時間の確保困難や短縮で、業務連絡ノートを用いた報告の廃止やカンファレンスが行えない日が続いてしまった。時間の確保が困難であるという状況から、掲示板を用いた方法で情報の共有を図った。必要な業務連絡は出勤時にすぐに確認することができるようになった。変更した業務を行えていない職員がいた際には掲示板の確認が行えているかの声掛けをし、伝達不足を解消していった。
(考察と今後の課題)
時間内で入浴介助を終わらせようという焦りが軽減され、時間に余裕ができたことで新人指導や実習生指導に時間を設けることができた。また入浴介助時に、以前よりも皮膚の観察に時間を充てることができ、看護職と皮膚の状態の情報共有や、介護職でも処置の内容を把握し実施できた。以前よりも「ゆっくりと湯船に入れる。」という意見も利用者からたくさん頂いており、利用者の満足度向上にも繋がっていると感じる。今後も、利用者の快適な入浴環境形成にむけて他職種と連携していく。
情報の伝達不足については、ノートから目につきやすい掲示板に変更したことにより、以前に比べて改善されたが、出勤した際に掲示板を確認するという行為が習慣化していない職員もまだいるため声掛けを継続して行い、出勤したら自然と確認できる環境を目指していく。
今後の課題としては、入浴に時間を割いたことでレクリエーション時間の確保が難しくなってしまった。職員が少人数でも実施できるレクリエーションの提案や実施など今後の改善点として検討していく必要があると感じた。また業務改善について、職員間で声をかけ合い情報の共有がしやすい環境作りを目指し、統一感のある介護サービスが提供できるように他職種と連携していく。
今回行った業務改善の取り組みが生産性向上推進体制加算に繋がるきっかけの一つになることを期待している。
当施設は、医療院併設の総合200床の4フロアで構成されており、3フロアが老健である。1フロアで42~46名の利用者に対して看護師、介護士が平均21名の職員でケアや業務を行っている。職員の多くが「忙しくて、時間に追われることが多い」と感じており、時間内に業務を終わらせるために「利用者優先」のはずが「業務優先」となってしまうこともある。また業務を行っていく中で、職員間で情報共有不足での提供方法が統一されていないことも問題点であった。年齢や介護観の違う人が働く中でも、統一されたケアを提供することは重要な課題である。そこで看護師、介護士がチームとして統一感のある介護サービスが提供できるための方法を明らかにすることを目的として職員間で検討を行った。また本検討により組織の成長や利用者の満足度向上、業務効率の向上も図れることを期待した。
(方法)
情報共有不足で提供方法の違いを統一するために、療養棟職員全員に無記名でのアンケート調査を行い、回答内容を全職員で共有した。アンケート調査書は以下の内容で作成、回収は療養棟責任者へ直接手渡ししてもらい職員全員の回答を得た。回答率は100%であった。
1.療養棟の課題、改善してほしいこと
2.自由記述
回答で、多くの意見があがったのは「時間内に終わらせなければと思い、余裕がない」など入浴時間に対してだった。そこで入浴時間の調整の見直しを行った。当施設では各階ごとに入浴の曜日と時間が割り振られており、1日1回の入浴時に入浴予定の利用者を全員誘導しなければならなかった。アンケート調査により、その方法では全員を誘導するための時間が十分に取れていないことが明らかになった。そこで入浴誘導を1日1回から、午前と午後の2回に分けて行うようにした。
次に情報の共有を図る時間が取れていないとの声が多く上がった。以前は業務連絡ノートを作成し、各自で情報収集を行っていたが職員間で連絡ノートを確認する頻度に差があり、情報の伝達不足で業務が統一されていないことを多く感じた。そこで、伝達事項をより正確に共有するため、療養棟のサービスステーションの入り口にホワイトボードを設置して伝達事項はそこに記入することにした。出勤時に業務連絡がすぐに確認できるようにして情報の伝達不足の解消を狙った。
(結果)
入浴時間を午前と午後の2回に分けたことにより「精神的余裕が生まれた。」「時間に追われて行っていたと感じていた入浴介助が気持ちにゆとりをもって行うことが出来た。」といった前向きな意見を職員から得られた。その一方で、1.入浴の曜日や時間が変更になったことにより、利用者の洗濯物提出日に変更が多く出てしまい、ご家族へ周知するために各部署との連携が大変であった。2.レクリエーションを行っていた時間に入浴時間が重なってしまったことにより職員の負担が増え、レクリエーションの実施時間も減少することになってしまったといった2点の問題が指摘された。
情報の伝達不足について、業務改善当初は業務連絡ノートを朝の申送り時に報告と、時間を確保し業務連絡カンファレンスを行っていた。しかし時間の確保困難や短縮で、業務連絡ノートを用いた報告の廃止やカンファレンスが行えない日が続いてしまった。時間の確保が困難であるという状況から、掲示板を用いた方法で情報の共有を図った。必要な業務連絡は出勤時にすぐに確認することができるようになった。変更した業務を行えていない職員がいた際には掲示板の確認が行えているかの声掛けをし、伝達不足を解消していった。
(考察と今後の課題)
時間内で入浴介助を終わらせようという焦りが軽減され、時間に余裕ができたことで新人指導や実習生指導に時間を設けることができた。また入浴介助時に、以前よりも皮膚の観察に時間を充てることができ、看護職と皮膚の状態の情報共有や、介護職でも処置の内容を把握し実施できた。以前よりも「ゆっくりと湯船に入れる。」という意見も利用者からたくさん頂いており、利用者の満足度向上にも繋がっていると感じる。今後も、利用者の快適な入浴環境形成にむけて他職種と連携していく。
情報の伝達不足については、ノートから目につきやすい掲示板に変更したことにより、以前に比べて改善されたが、出勤した際に掲示板を確認するという行為が習慣化していない職員もまだいるため声掛けを継続して行い、出勤したら自然と確認できる環境を目指していく。
今後の課題としては、入浴に時間を割いたことでレクリエーション時間の確保が難しくなってしまった。職員が少人数でも実施できるレクリエーションの提案や実施など今後の改善点として検討していく必要があると感じた。また業務改善について、職員間で声をかけ合い情報の共有がしやすい環境作りを目指し、統一感のある介護サービスが提供できるように他職種と連携していく。
今回行った業務改善の取り組みが生産性向上推進体制加算に繋がるきっかけの一つになることを期待している。