講演情報

[15-O-P105-05]整いました!5Sのききめ

*小崎 美奈1、高野 めぐみ1 (1. 栃木県 介護老人保健施設しらさぎ荘)
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ムダをなくし環境改善・意識改革を図る目的で、5Sに取り組み環境整備・コスト削減を図った。小グループに分かれ6エリアの整理を行い、定量・定数化を行った結果、3Mがなくなり、職員同士のコミュニケーションの活性化、個別レクリエーションの充実に繋がり、5Sが日常の業務にも良い影響を与えることができたと考えられたので報告する。
【はじめに】
しらさぎ荘は100人定数の多床室で2フロアに分かれ、当フロアは47人定数である。フロアでは、備品管理の場所が複数カ所あり、使用時どこにあるのかわからない、備品を余分に発注してしまうといったことが多々起きていた。備品の場所を探す時間のムダ、余分な発注によるコストのムダが起こっていた為、業務改善の必要性を感じた。そこで5Sに取り組み、環境整備を行うことで効果が表れてきたことをまとめてみたい。
【目的】
3M(ムリ・ムダ・ムラ)をなくし環境改善・意識改善を図る
【期間】
2024年1月~2024年6月
【取り組み内容】
1)スタッフへ5Sとは、5Sの必要性の周知
「整理・整頓・清掃・清潔・躾」についてフロア全体へ周知することで、目的の明確化と認識共有する。
2)環境整備箇所の分担を決める
改善対象エリアを配膳室・休憩室・洗濯室・レクリエーション用品棚・おむつ倉庫・リネン庫とし、整備箇所ごとに担当を決める。役割を持つことで職員それぞれが責任を持ち環境整備に取り組めるようにする。
3)備品保管場所の現状把握・環境整備箇所の整理
改善対象エリアの現状と課題を挙げ、計画書を作成する。期限を設け、いつまでに行うかを決め整理整頓に取り組む。
4)整理整頓の習慣化・在庫の定数化
整理整頓したルールに基づき、誰でも使ったものは元の場所に戻すことを徹底。日頃から意識して定量・定数を守ることで、コストを抑える。
【経過と結果】
1)スタッフへ5Sとは、5Sの必要性の周知
全体ミーティングでフロアスタッフに5Sとは何かを説明し、順序立てて業務環境を整備することで生産性と効率が向上出来ることを周知した。1人1人が意識し、協力して環境整備することを習慣化していくことが重要であると共通認識を持てるよう周知した。
2)環境整備箇所の分担を決める
改善対象エリアを物品管理している6カ所に決め、各場所ごとにリーダーとメンバーを割り振った。少人数でグループを組みリーダーを決めることで、一人ひとりが5Sについて考え、責任をもって整理整頓に取り組むようにした。「こうした方がいいんじゃないか」と積極的な意見が上がるようになった。
3)備品保管場所の現状把握・計画書作成・環境整備
5Sの5つの視点から計画書を作成、現状・課題・改善点を挙げた。取り組み前の写真を撮影し、課題を見える化することで整頓後と比較できるようにした。計画から終了までの期日を設け、具体的な目標をグループ内で共有したことで、各グループが計画的に整理整頓を行う事が出来た。
レクリエーション用品棚・休憩室・洗濯室・リネン庫は消耗品、レクリエーション用品が入り混じって管理されていたため、必要なもの・不必要なもののルールを明確にし、整理整頓することとした。エリアを跨いで整理する必要があった為、グループリーダー間で早い段階で声を掛け合うことで、滞りなく物品の移動・整理を行うことができた。オムツ倉庫は半分以上が物置となっていて、10畳の床が不必要なもので殆ど埋め尽くされ、年単位で使用していないものや劣化が激しいものなどが多く保管されていた。不要なものは破棄し、整理整頓を行ったことでスペースが確保され、オムツ倉庫兼7名分の更衣室として使用できるまでになった。
4)整理整頓の習慣化・在庫の定数化
どのエリアも物が乱雑でどこに何があるかわからず、全体的に在庫管理がしにくくなっていた。物品請求の基準も大まかだったことで、請求数は担当者の感覚頼りになっていた為、必要以上の物品を抱えていた。整理整頓するにあたり、収納場所や収納の見直しを行いラベル表示することで、何がどこにあるか明確にするようにした。在庫の把握もしやすく、誰でも出し入れしやすい様な整理を心掛けたことにより、物品の使用・片付け・管理が安易になり時間のムダが減った。時間のムダが削減できたことにより、個別レクリエーションの時間にあてることができるようになった。職員からは、「利用者様の表情が明るくなった」「落ち着いて過ごしている時間が多くなった」という声が多く聞かれるようになった。
また、必要以上に在庫を抱えない為に、オムツ・消耗品・レクリエーション用品の請求に関しては使用量・使用頻度を把握し請求の目安を設け、定量の把握・定数化を図る事とした。定数化を図った結果、管理に手間取らず、月ごとの発注額にバラつきがあったものが平均的になった。消耗品に関しては、毎月の発注額が平均的になっただけでなく、発注額が安くなるという結果が得られた。
【考察】
5Sの取り組みをしたことで第1に(1)物品収納場所を探す時間のムダ、(2)不要な請求の減少によるコストのムダが減った。第2に小グループで活動したことから、グループ内やグループ間で声を掛け合い職員同士のコミュニケーションが活発化した。第3は時間のムダを削減できたことにより個別レクリエーションの時間に充てられるようになった。以上のことから5Sが日常の業務にも良い影響を与えることができたと考えられる。
【今後の課題】
5Sの取り組みで、3Mを削減したことにより職員・利用者ともに充足した時間がとれるようになった。この結果を継続していく為に、5Sの「清潔・躾」が重要になる。その場限りのサービス提供で終わらず質の高いサービス提供が継続できるよう、利用者との時間を作ることを第一に考えながら取り組むことを念頭に置き、フロア全体で取り組みを習慣化し定着させていきたいと思う。