講演情報
[15-O-P106-07]眠りスキャン活用推進への取り組み
*北岡 丞1 (1. 和歌山県 介護老人保健施設和佐の里)
眠りスキャンの活用を推進した結果、業務を効率化しケアの質を向上させることができたので報告する。職員へのアンケートの結果使用方法さえ理解していない職員がいることが明確となった。機器の機能周知から取り組みを開始し、利用者の睡眠の質を向上、さらには業務の効率も高めることができた。機器の有効活用は業務改善・効率化を推進することができ、ケアの向上に繋げることもできる。
(目的)
超高齢化社会となった日本において労働人口の減少は、待ったなしの状態である。そのため介護分野のICT化・DX化は喫緊の課題となっている。自施設では令和3年に眠りスキャンを導入した。導入後約3年が経過したが有効に活用できていない状況にあると感じた。そこで、眠りスキャンを有効活用し日々の繁忙さを少しでも解消できればと考え取り組むこととした。
(方法)
施設サービス課所属の職員26名(介護福祉士、介護員、看護師、准看護)に対し、眠りスキャンの活用状況に関するアンケートを実施した。20名の回答が得られ、「眠りスキャンの使用方法自体がわからない」という回答が複数名あった。そこで、まず眠りスキャン活用方法を周知させたいと考え業者による勉強会を開催した。業務の都合上参加できたのは日常業務でリーダーを担うスタッフと役職者のみであったが、他施設での活用事例の情報も得ることができた。即日、いただいた資料を全員に配布した。この勉強会では、眠りスキャンを身近に活用できると実感してもらうため、夜間不眠傾向にある利用者(以後N様と略す)について眠りスキャンのデータを用いての睡眠状態の分析も実施した。N様は、平均睡眠時間が6時間27分と時間の確保はできていた。しかし深夜帯での覚醒が多く熟睡できていない状況が読み取れた。また、日中の臥床時間が長いことも明らかとなった。この分析結果を後日のカンファレンスにおいて多職種で意見交換し、対応方法を検討した。N様は日中の離床時、車椅子からの立上り行為がよく見られた。スタッフは安全を守る為毎回座るように促していたが、立ち上がった理由を聞き状況に応じ歩行の付き添いをしたり、中庭に散歩に行ったりなど体を動かすことを取り入れた。眠剤を服用しているが熟睡できていないことに関しいては、医師に相談し内服薬を変更したり、看護師は内服時間を調整したりした。
(結果)
眠りスキャンの睡眠日誌のデータを用い、取り組み開始2週間と開始後2週間でN様の睡眠状態の比較をした。睡眠時間が6時間27分から9時間35分となった。中途覚醒は56.9分から35.9分に減少、睡眠潜時37分から14分、睡眠効率が77%から89%となり睡眠状態の改善がデータ上で明らかとなった。日中の傾眠傾向が減少し、食事を自己摂取される事が多くなった。言葉数が少なかったN様であったが、次第に言葉数が多くなった。日中活動し、夜間入眠するというN様の生活リズムを整えることができた。
(考察)
可視化されたデータを用いることは、職種が違っても共通の認識・理解をすることができる。そのため、今回のカンファレンスでも時間を要さずケアに繋げることができた。日中の活動量の向上、適切な薬剤の使用が夜間のN様の睡眠の質を向上させた。N様の生活リズムを整えることはセンサーコールの回数の減少に繋がり職員の業務負担の軽減にも繋がった。適切なケアの実施は自分たちの業務負担の軽減に繋がってくるのである。
(おわりに)
介護分野のICT化・DX化が求められている。機器が導入されても、その使用方法や活用方法を職員が理解していなければ業務改善・業務の効率化には繋がらない。繁忙な日々ではあるが積極的にICT化・DX化に取り組むことは自分たちの業務負担を軽減し、専門職としてのやりがいを見いだせるケアの時間を増加させることができる。
超高齢化社会となった日本において労働人口の減少は、待ったなしの状態である。そのため介護分野のICT化・DX化は喫緊の課題となっている。自施設では令和3年に眠りスキャンを導入した。導入後約3年が経過したが有効に活用できていない状況にあると感じた。そこで、眠りスキャンを有効活用し日々の繁忙さを少しでも解消できればと考え取り組むこととした。
(方法)
施設サービス課所属の職員26名(介護福祉士、介護員、看護師、准看護)に対し、眠りスキャンの活用状況に関するアンケートを実施した。20名の回答が得られ、「眠りスキャンの使用方法自体がわからない」という回答が複数名あった。そこで、まず眠りスキャン活用方法を周知させたいと考え業者による勉強会を開催した。業務の都合上参加できたのは日常業務でリーダーを担うスタッフと役職者のみであったが、他施設での活用事例の情報も得ることができた。即日、いただいた資料を全員に配布した。この勉強会では、眠りスキャンを身近に活用できると実感してもらうため、夜間不眠傾向にある利用者(以後N様と略す)について眠りスキャンのデータを用いての睡眠状態の分析も実施した。N様は、平均睡眠時間が6時間27分と時間の確保はできていた。しかし深夜帯での覚醒が多く熟睡できていない状況が読み取れた。また、日中の臥床時間が長いことも明らかとなった。この分析結果を後日のカンファレンスにおいて多職種で意見交換し、対応方法を検討した。N様は日中の離床時、車椅子からの立上り行為がよく見られた。スタッフは安全を守る為毎回座るように促していたが、立ち上がった理由を聞き状況に応じ歩行の付き添いをしたり、中庭に散歩に行ったりなど体を動かすことを取り入れた。眠剤を服用しているが熟睡できていないことに関しいては、医師に相談し内服薬を変更したり、看護師は内服時間を調整したりした。
(結果)
眠りスキャンの睡眠日誌のデータを用い、取り組み開始2週間と開始後2週間でN様の睡眠状態の比較をした。睡眠時間が6時間27分から9時間35分となった。中途覚醒は56.9分から35.9分に減少、睡眠潜時37分から14分、睡眠効率が77%から89%となり睡眠状態の改善がデータ上で明らかとなった。日中の傾眠傾向が減少し、食事を自己摂取される事が多くなった。言葉数が少なかったN様であったが、次第に言葉数が多くなった。日中活動し、夜間入眠するというN様の生活リズムを整えることができた。
(考察)
可視化されたデータを用いることは、職種が違っても共通の認識・理解をすることができる。そのため、今回のカンファレンスでも時間を要さずケアに繋げることができた。日中の活動量の向上、適切な薬剤の使用が夜間のN様の睡眠の質を向上させた。N様の生活リズムを整えることはセンサーコールの回数の減少に繋がり職員の業務負担の軽減にも繋がった。適切なケアの実施は自分たちの業務負担の軽減に繋がってくるのである。
(おわりに)
介護分野のICT化・DX化が求められている。機器が導入されても、その使用方法や活用方法を職員が理解していなければ業務改善・業務の効率化には繋がらない。繁忙な日々ではあるが積極的にICT化・DX化に取り組むことは自分たちの業務負担を軽減し、専門職としてのやりがいを見いだせるケアの時間を増加させることができる。