講演情報

[15-O-P107-02]ICT導入によって業務効率は上がったのか見守りカメラを導入しての2年

*小口 幸則1 (1. 長野県 介護老人保健施設コスモスさいなみ)
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当施設は令和4年度に見守り機器「見守りカメラ」を導入し業務効率化に取り組んでおり、その使い勝手の様子を発表する。調査はアンケートを導入半年後と1年半後の2回実施して職員から回答を得た。結果、業務効率は向上したなど設問の多くは概ね良好な回答だったが満足度は予想よりも上がらなかった。センサーの特性や機器の扱い難さに原因があり、その実情を発表する。
【はじめに】
当施設では令和4年、全床にセンサー内蔵の「見守りカメラ」を設置した。この機器はカメラに内蔵されたセンサーが利用者の動きを検知すると手元のスマートフォン(以下スマホ)に通知、カメラからの映像が画面に映し出され利用者の様子がわかる仕組みになっている。折しも今年度の介護報酬改定で生産性向上推進体制加算が新設され、算定要件の一つに見守り機器などのテクノロジー(ICT)導入が必要となっており、今後の導入を検討している施設の参考になればと考え実情を発表する。
【導入機器説明】
 機器名   アイホンナースコールシステムNLX
使用機器説明 親機(本体)と各ベッド頭側壁面に取り付けられたカメラ、スマホ、
       ナースコールボタンの4構成で使用。カメラの映像をプログラミング
       によるデータ解析で利用者が設定した動きをした場合にセンサーが
       検知しスマホに映像と共に通知する仕組み。動きの設定は「起き上が
       り」と設定した線を越えたら反応する「離床」の選択が出来る。スマ
       ホは4台で運用中。
【使用規模と使用状況】
  使用規模    一般棟60床
  使用期間    令和4年5月から現在
使用状況確認方法  アンケート形式。導入から半年後と1年半後に同じ内容のアン
          ケートを実施し回答を比較
 アンケート対象  一般棟全職員
アンケート実施人数 導入半年後 :介護士15名 看護師9名 計24名
          1年半後 :介護士12名 看護師8名 計20名
【半年後と1年半後の変化】
 [業務が効率化されたか]   87%→90%
 [カメラの設定が出来るか]  37%→45%
[業務にかかる時間は減ったか] 46%→75%
[事故防止に繋がっているか]  100%→90%
  [導入しての満足度]    56%→65%
【まとめ】
 導入してから2年経過し、職員がシステムの使い方に慣れたことで効率的な使用が出来るようになった。利用者の様子をスマホで確認しながら記録業務が行えるので業務の効率化に繋がっている状況がアンケート結果からも出ている。さらに、スマホとナースコールのマイクを通じて通話が出来るので、訪室せずに利用者のニーズを伺ったり指示が出来る事も大きい。しかしながらセンサーの反応が100%ではなく、夜間の暗い環境下や利用者の服装がダークカラーの場合反応が悪く、危険度が高い利用者には別のセンサー機器を併用している状況である。また、利用者の行動によってはセンサーが反応し続けたり離臥床時は一斉に反応してしまい、その都度スマホ操作をしなければならず煩わしいと感じる職員もおり満足度が65%に留まっている事も実情である。
 現在当施設では専門の係を設置してより良い使用方法の模索やメーカーと折衝しながら業務効率向上へ繋げる取り組みを続けています。今後さらなる発展があれば情報を発信したい。