講演情報
[15-O-P107-03]課題を見える化し業務改善に導いた生産性向上の取組み自分たちで働きやすい魅力ある職場にしよう
*白石 靖弥1、安藤 あゆみ1、山崎 剛1、徳本 英紀1、竹田 しのぶ1 (1. 愛媛県 老人保健施設ミネルワ)
サービスの質の向上への阻害要因となっていた課題を見える化し、最優先課題に取り組むことにより、業務の手順やケアの質が一定に保たれた一連の経緯を報告する。グルーピングした課題を原因分析し、因果関係図より多機能ベッド導入の手順書作成に取り組む。その結果、より安心/安全に、より正確に、より早く、より楽に業務を行えるようになる。最優先課題解決の取り組みにより、サービスの質の向上/量的な効率化が確認できた。
【はじめに】
地域包括ケアシステムに向けて、地域医療と福祉の拠点を目指し、『地域のために』をスローガンとして、令和3年度ICT機器導入により『法人内包括ケアシステム』を構築し、令和4年度介護ロボット見守り機器導入により地域包括システムの機能を有する『老健内包括ケアシステム』に取り組む。
在宅介護サービス事業所との連携/情報を共有する『地域包括ケアシステム』に向け、地域の中心的役割を老人保健施設が担うことを目指し、積極的に業務改善に取り組み、ICT化を推進している。
【目的】
地域包括ケアシステムの機能を有する老健内包括ケアシステムにて、専門職としての業務が行われていることを理解しながら、生産性向上(業務改善及び職場環境改善)に取り組む中で、現場の課題を見える化して原因分析し、因果関係図作成の結果、古いベッドが多いことに起因する利用者・職員への悪影響がサービスの質の向上への阻害要因となっていた。
最優先課題である多機能ベッド導入手順書作成に取り組むことにより、業務の手順が新しく改善され、ケアの質が一定に保たれ、リーダーの偏りのない指導を目指す。
【方法】
働きやすい魅力ある職場は自分たちで作るとの認識を持つ機会として、実施/収集したアンケート(気づきシート)より職員の声を見える化/チームでの共有を目指す。
152枚の気づきシートを9項目に分類し、更に因果関係図を整理し、施設としての原因と悪影響に二分する。悪影響を現場の表面的な不満と利用者への悪影響、スタッフへの悪影響に分類することにより、コミュニケーション不足、人間関係/接遇、業務/勤務の偏り、人員不足、設備、清掃の6項目に『現場の課題』を整理した。
原因分析の結果、古いベッドが多いことに起因する利用者/職員への悪影響が多数抽出され、課題解決策として『多機能ベッドの導入』を最優先課題解決テーマとして取り組む。
プロジェクトチームを立ち上げ、6ヶ月にわたりPDCAサイクルを基本に業務改善活動に取り組み、まずPLAN(計画)にて、手順1で現場の推進体制を立ち上げる。手順2で現場の課題を見える化し問題点/課題等を洗い出し、課題の原因分析と因果関係図より共通目標をたて課題解決策を検討/具体化する。手順3で現場の実行計画を立て、ベッド選定までのプロセス/実施体制/役割分担/スケジュールの過程で導入業者を決定する。課題解決策の進捗を確認しながら新業務の具体化に向け、動画操作手順書/動画業務手順書の作成を計画する。
そしてDO(実行)にて、手順4で現場の改善活動に取り組み、新旧ベッドの業務をビフォー/アフター動画で作成し、多機能ベッド導入の新業務手順書7項目をYouTubeに限定公開する。
最後にCHECK(評価)ACTION(改善)にて、手順5、6で現場の改善活動を振り返り/練り直し、ベッド導入前のリスクとベッド導入後の感じている効果、取組成果/効果確認のため職員アンケートを実施し、取組概要、取組過程、取組課題、課題解決策、課題解決策目標、質の向上、量的な効率化、新たな課題取組の一連の流れを評価した。
【結果】
働きやすい魅力ある職場に変える一つの手段として、小さな業務改善に取り組んだ多機能ベッド導入/手順書作成よる一連の経緯で、新人や初心者が理解しやすい業務の手順を決めることによりサービスの質が一定に保たれ、リーダーが統一した指導ができるようなった。
職員アンケート調査にて、導入前に挙がっていたリスク評価の15項目に対しては、『平均89%が改善した・やや改善』の評価であった。
利用者の柵外しにおける事故の原因改善については72%と改善の必要がみられたが、移動における身体的負担軽減と食事対応/誤嚥リスクについては100%の高評価を得る。
ベッド導入後に感じている効果に対しては、『平均92%がそう思う・やや思う』の評価であった。在宅復帰の促進については89%の評価で今後の長期間の使用評価とする。
業務改善の基本となる職員の介護負担軽減については、移動/移乗/介助が楽になったと100%の高い評価を得る。
多機能ベッドを導入し、操作/業務各手順書を作成することで、より安心/安全に、より正確に、より早く、より楽に業務を行えるようになった。
【考察】
量的な効率化としての取組成果/効果面からみると、事故/無理な移動による電気系統破損の予防ができ、在宅復帰(リハビリ)が促進し、環境整備(部屋掃除)/災害時(訓練)の移動がより早く行えるようになり、介護負担が軽減し、移動/移乗/介助が楽になった。
業務改善の効果は、働きやすい職場ができることによって魅力ある職場に変わっていくことである。またそれぞれの専門性に応じた仕事が割り当てられていけば、介護の質が上がり効果も見込める。
業務改善及び職場環境改善をうまく進めるためには、具体的に小さな課題からまずは取り組み、そして振り返りPDCAサイクルを回し更に行う。この繰り返しが生産性向上の取り組みである。施設は、規則、道具、組織/人で事業を運営しているが、今回は、道具導入とそれに伴なう規則変更がメインとなる。
今回、職員から提出されたアンケート(気づきシート)の課題のなかには、組織/人の資質に関するテーマもあり、業務改善は継続的に取り組む必要がある。ITリテラシーの問題、これらのスキルアップや底上げをどうするか今後見直し/検討する必要がある。
【終わりに】
地域包括ケアシステムの構築に向け進んできた業界では、医療介護連携が当たり前になり、一人ひとりの利用者について『どのように地域で支えていくか』同じ視点で話し合えるようになった。
ICT化が進む中、最終的に入口と出口は人が対応し、過程はICTや介護ロボットの力を借り、職員の負担軽減を図る。そして効率的なサービスの質の向上に努め、人材育成とチームケアを基本に、令和6年4月1日、生産性向上委員会を設置し、業務改善及び職場環境改善に取り組んでいる。
地域包括ケアシステムに向けて、地域医療と福祉の拠点を目指し、『地域のために』をスローガンとして、令和3年度ICT機器導入により『法人内包括ケアシステム』を構築し、令和4年度介護ロボット見守り機器導入により地域包括システムの機能を有する『老健内包括ケアシステム』に取り組む。
在宅介護サービス事業所との連携/情報を共有する『地域包括ケアシステム』に向け、地域の中心的役割を老人保健施設が担うことを目指し、積極的に業務改善に取り組み、ICT化を推進している。
【目的】
地域包括ケアシステムの機能を有する老健内包括ケアシステムにて、専門職としての業務が行われていることを理解しながら、生産性向上(業務改善及び職場環境改善)に取り組む中で、現場の課題を見える化して原因分析し、因果関係図作成の結果、古いベッドが多いことに起因する利用者・職員への悪影響がサービスの質の向上への阻害要因となっていた。
最優先課題である多機能ベッド導入手順書作成に取り組むことにより、業務の手順が新しく改善され、ケアの質が一定に保たれ、リーダーの偏りのない指導を目指す。
【方法】
働きやすい魅力ある職場は自分たちで作るとの認識を持つ機会として、実施/収集したアンケート(気づきシート)より職員の声を見える化/チームでの共有を目指す。
152枚の気づきシートを9項目に分類し、更に因果関係図を整理し、施設としての原因と悪影響に二分する。悪影響を現場の表面的な不満と利用者への悪影響、スタッフへの悪影響に分類することにより、コミュニケーション不足、人間関係/接遇、業務/勤務の偏り、人員不足、設備、清掃の6項目に『現場の課題』を整理した。
原因分析の結果、古いベッドが多いことに起因する利用者/職員への悪影響が多数抽出され、課題解決策として『多機能ベッドの導入』を最優先課題解決テーマとして取り組む。
プロジェクトチームを立ち上げ、6ヶ月にわたりPDCAサイクルを基本に業務改善活動に取り組み、まずPLAN(計画)にて、手順1で現場の推進体制を立ち上げる。手順2で現場の課題を見える化し問題点/課題等を洗い出し、課題の原因分析と因果関係図より共通目標をたて課題解決策を検討/具体化する。手順3で現場の実行計画を立て、ベッド選定までのプロセス/実施体制/役割分担/スケジュールの過程で導入業者を決定する。課題解決策の進捗を確認しながら新業務の具体化に向け、動画操作手順書/動画業務手順書の作成を計画する。
そしてDO(実行)にて、手順4で現場の改善活動に取り組み、新旧ベッドの業務をビフォー/アフター動画で作成し、多機能ベッド導入の新業務手順書7項目をYouTubeに限定公開する。
最後にCHECK(評価)ACTION(改善)にて、手順5、6で現場の改善活動を振り返り/練り直し、ベッド導入前のリスクとベッド導入後の感じている効果、取組成果/効果確認のため職員アンケートを実施し、取組概要、取組過程、取組課題、課題解決策、課題解決策目標、質の向上、量的な効率化、新たな課題取組の一連の流れを評価した。
【結果】
働きやすい魅力ある職場に変える一つの手段として、小さな業務改善に取り組んだ多機能ベッド導入/手順書作成よる一連の経緯で、新人や初心者が理解しやすい業務の手順を決めることによりサービスの質が一定に保たれ、リーダーが統一した指導ができるようなった。
職員アンケート調査にて、導入前に挙がっていたリスク評価の15項目に対しては、『平均89%が改善した・やや改善』の評価であった。
利用者の柵外しにおける事故の原因改善については72%と改善の必要がみられたが、移動における身体的負担軽減と食事対応/誤嚥リスクについては100%の高評価を得る。
ベッド導入後に感じている効果に対しては、『平均92%がそう思う・やや思う』の評価であった。在宅復帰の促進については89%の評価で今後の長期間の使用評価とする。
業務改善の基本となる職員の介護負担軽減については、移動/移乗/介助が楽になったと100%の高い評価を得る。
多機能ベッドを導入し、操作/業務各手順書を作成することで、より安心/安全に、より正確に、より早く、より楽に業務を行えるようになった。
【考察】
量的な効率化としての取組成果/効果面からみると、事故/無理な移動による電気系統破損の予防ができ、在宅復帰(リハビリ)が促進し、環境整備(部屋掃除)/災害時(訓練)の移動がより早く行えるようになり、介護負担が軽減し、移動/移乗/介助が楽になった。
業務改善の効果は、働きやすい職場ができることによって魅力ある職場に変わっていくことである。またそれぞれの専門性に応じた仕事が割り当てられていけば、介護の質が上がり効果も見込める。
業務改善及び職場環境改善をうまく進めるためには、具体的に小さな課題からまずは取り組み、そして振り返りPDCAサイクルを回し更に行う。この繰り返しが生産性向上の取り組みである。施設は、規則、道具、組織/人で事業を運営しているが、今回は、道具導入とそれに伴なう規則変更がメインとなる。
今回、職員から提出されたアンケート(気づきシート)の課題のなかには、組織/人の資質に関するテーマもあり、業務改善は継続的に取り組む必要がある。ITリテラシーの問題、これらのスキルアップや底上げをどうするか今後見直し/検討する必要がある。
【終わりに】
地域包括ケアシステムの構築に向け進んできた業界では、医療介護連携が当たり前になり、一人ひとりの利用者について『どのように地域で支えていくか』同じ視点で話し合えるようになった。
ICT化が進む中、最終的に入口と出口は人が対応し、過程はICTや介護ロボットの力を借り、職員の負担軽減を図る。そして効率的なサービスの質の向上に努め、人材育成とチームケアを基本に、令和6年4月1日、生産性向上委員会を設置し、業務改善及び職場環境改善に取り組んでいる。