講演情報

[15-O-P107-06]ご利用者のためのワンチームケア~その人らしさを求めて~

*山内 剛志1、宮川 拓海1 (1. 埼玉県 介護老人保健施設 ケアステーション所沢)
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職員の突発の休みが出た際、勤務調整が困難であった。この問題を職員全体で解決する為に各課の職員に説明し理解を促した。結果として、ご利用者の様子、職員の動きについて理解ができたこと各専門職種と相談しやすい環境になった。入所課全体で多職種協同を行い、ご利用者の日常を守り、職員の負担軽減にも効果がみられ、他職種連携においても良い影響があった。看護師や相談員の欠員を補い業務を滞りなく進めることが出来ている。
入所部門では、医師1名 介護課33名 看護課7名 リハビリ課3名(うちリハ助手1名) 栄養課2名(うち産休1名) 相談課2名。介護課は変則勤務、その他の部署では日勤のみの勤務となっている。 目的職員の体調不良、家庭の事情などによる突発的な休みが出た場合、とくに介護課においては変則勤務のため、勤務調整が困難となる場合がある。調整が出来ない場合は、タイムスケジュールを変更するなど行い、日によっては残業を依頼することもあった。この問題を入所課全体の課題とし、「ご利用者のために自分たちは何が出来るのか?」「多職種協同」という考えのもと、職員全体にアプローチする必要があると考えた。【ご利用者のための“ワンチームケア”】を目指し取り組んだ結果を報告する。 方法 課題認識各課の役職者による会議体にて、まずは【ご利用者のための“ワンチームケア”】は入所課全体での課題であるということを共通認識とし、各部署長より現場職員へ丁寧に説明し理解を促した。 依頼内容欠員が出た際に業務調整が必要となることが多いのは介護課であり、ご利用者の生活リズムなどに影響が出てしまう。そのため、どの場面でのフォローが必要なのかを会議体で検討し、介護課から他部署へ依頼する際は“リスク者の見守り”をお願いすることとなった。 実施見守りといっても、誰がどのようなリスクがあるのかなどさまざまな注意点があるため、その注意点を書面にて作成・共有し、急遽の依頼であってもスムーズに見守り業務が行えるようにご利用者の状態把握やその他の業務内容の説明、実際の見守りを介護職と一緒におこなってもらった。 評価実施後関連する介護課、看護課、栄養課、相談課にアンケートを取り行った。アンケート内容は『ご利用者へ滞りなくサービス提供ができたか』を5段階で評価を行い、選択した理由についても記述してもらい、この取り組みに対する各個人の捉え方についても確認した。評価は以下のグラフのとおりである。 アンケートの理由の一部を以下に抜粋する。『まあまあできた』の意見・全体で調整を行う事で、見守り人員を確保しながら、その他の業務を普段関わっている介護中心で行うことが出来るので、御利用者にとっては余り普段と変わりなくサービス提供が出来ていると思う。ただ、見守りに入った時に不慣れなところがあり、いつも通り(十分)ではないかなと思う事もあった。・介護職だから看護師だからと線引きせず、とくに看護師は介護分野も可能な為、協力出来ていると思う。・突発で休みや、勤務変更があっても協力できたと思います。職種に関係なく入ったことで、普段の利用者の様子を知る機会になったと思う。・普段から昼礼時などでもご利用者の事を多職種交えて話しているので、突発なことがあっても頼みやすい雰囲気がある。日頃からのコミュニケーションが取れているからだと思う『どちらともいえない』の意見・排泄、食事等のサービスはできているが個人的なこまかなサービスまでは至らなかった。・基本の業務(食事、入浴、住環境の整備)はできたとは思うがご利用者の要望は応えられていない印象があった。・欠員を他部署の方にフォローして頂くことにより通常業務は滞りなく行えるが、フォローして下さった職員の方の業務はその間出来ない。・何とか業務はこなしているとは思うが、滞りなく行えたかどうかは分からない。・サービス提供に関して施設やフロアでの運営困難には至らなかったが「サービスの質を落とさずに」と言った面では多大な欠如があったように感じる。 結果アンケート結果からの考察グラフを見てわかる通り『まあまあできた』との回答が過半数を超え67%あり、その中の意見として各部署の専門業務だけでは知る事のなかったご利用者の様子、職員の動きについても理解を深める事ができたなどがあった。さらに、他職種の連携についての意見もあり、各専門職種と相談しやすい環境が作れているという声も多くあった。『どちらともいえない』の意見も27%見られた。『あまりできなかった』との意見は6%という結果となった。職員としては現状の対応では満足しておらず、ご利用者にもっと喜んでもらえるサービスを提供したい想いがあるとアンケート結果を通してわかり、今後の課題となった。 まとめ入所課全体で【ワンチーム】となり多職種協同を行う事でご利用者の日常を守ると同時に職員の負担軽減にも効果があった。ご利用者の生活状況を各専門職が把握することで、多角的な視点で対応方法などを考えることができた。情報を共有することでケアの質、他職種連携においても良い影響がみられている。現在介護課だけでなく、看護師や相談員の欠員においてもバイタル測定や、家族連絡の代行などを補い業務を滞りなく進めることが出来ている。今後はご利用者のニーズに応えられるようなサービスの充実を課題とし、今よりも更に喜んでいただける【ご利用者のための“ワンチームケア”】を入所課全体で目指し、取り組んでいきたいと考える。