講演情報
[15-O-P107-07]「ノー残業デー」による業務効率の改善の試みセラピストの働き方改革を考える
*加藤 千春1、酒井 敬1、高松 寛史1、崎 将大1、和田 福広1、並河 俊弘1 (1. 大阪府 吹田徳洲苑)
働き方改革として「ノー残業デー」を毎週火曜日に取り入れ、時間外労働時間数の短縮、業務効率の改善を図ることを目的として実施した。療法士一人あたりの時間外労働時間数を算出し設定曜日とそれ以外で前年度と今年度で比較した。結果、設定曜日の時間外労働時間数が減少した。また、業務効率の改善を図ることができたか分析し、意識付けや多職種とのコミュニケーションの効率化から全体の業務効率の改善に繋がったと考える。
【はじめに】
吹田徳洲苑リハビリテーション科では一日におよそ15人前後の利用者数を実績とする時間制の業務を排泄・入浴や食事・おやつの時間、外来受診等の時間を避けてリハビリを提供している。その他カルテ記載、委員会やカンファレンスの出席があり時間に追われている。前年度3月から働き方改革として「ノー残業デー」を毎週火曜日に取り入れ、検証した後に導入後は設定曜日の時間外労働時間数の減少がみられた。今回、時間外労働時間の短縮や業務効率の改善を図ることを目的とした「ノー残業デー」の取り組みが一年以上経過した現状でも職員間で徹底されているのか、「意識付け」が維持されているのか検証すべく、時間外労働時間数の算出とアンケートを用いて検証したので報告する。
【方法】
方法は、1)勤怠管理表より一ヶ月の各療法士の時間外労働時間数の算出を行った。2023年3月~6月と2024年3月~6月の2回に渡って行い、「ノー残業デー」の火曜日とそれを除く月曜日~金曜日の療法士一人あたりの時間外労働時間数を比較した。2023年3月の「ノー残業デー」設定以降(各年度4ヶ月間データを基に)時間外労働時間数の合計から平均を割出し、平日月曜日~金曜日の曜日毎に比較した。2)業務効率について2023年5月・2024年5月にアンケートを実施した。対象は老健リハビリテーション科職員(10名)を対象とした。業務効率についてのアンケートの結果から、どのような業務効率の改善を図ることができたか分析した。
【結果】
結果は、1)時間外労働時間の変化について、療法士一人あたりの時間外労働時間数の火曜日平均は2023年は2.78時間、2024年火曜日は1.91時間。火曜日を除く月曜日~金曜日の時間外労働時間数の平均は2023年は2.44時間、2024年は2.33時間であった。一年後の取り組み以降に火曜日の時間外労働時間数が減少した。アンケートを実施した各年度5月以降に効果があったように思われる。2)アンケート内容では問1.「ノー残業デー」により日々の業務効率は全体でどう変化しましたかの設問は、改善した・やや改善したが5人、変わらなかったが5人となった。問2.問1で改善した方で、変化のあった業務があればお答え下さいの設問は、看護・介護・相談員・介護支援専門員とのコミュニケーションが増えた・フロア間移動時間が短縮した・担当利用者数が増えたと答えた方が多かった。その他自由記載で、「より時間を意識するようになった」「業務効率を上げるよう意識や自己でふりかえりを行った」「設定後は自身の業務時間の意識が変わった」「スタッフとの情報共有を行うことが業務効率の改善に繋がった」との意見が出た。問3.「ノー残業デー」の設定は今後も続けていくべきと感じますかの設問は思う・条件付きで思うが10人中9人で、条件に関しては、「月の残業時間が一定以下に収まっているかを評価し達成できた人を評価する」「担当フロアによって業務が異なるためフロア毎に曜日を設定する」「書類作成等の業務が残業となるため月末ではなく、週の後半曜日に設定する」「毎週は大変なので隔週の曜日や頻度を改める」「具体的に残業時間をどう減らせるかの意識付けやアドバイスが必要だと感じる」などが意見として挙げられた。問4.「ノー残業デー」の曜日をお答えください(意識調査)の設問は、「火曜日」が2023年は6人の一致、2024年では10人全員の認識ができていた。
【考察】
今回「ノー残業デー」を職員による多数決で火曜日に設定し、時間外労働時間数の短縮や業務効率の改善を図る取り組みを行い火曜日の時間外労働時間数は減少した。加えて、時間外労働時間数の短縮に関する意識付けを試みることや全体的な時間外労働時間数を減らす意識を高めたことにより火曜日以外の曜日にも効果がみられた。フロア時間の短縮や多職種とのコミュニケーションの効率化などから全体の業務効率の改善に繋がったと考える一方で、半数が業務効率は変化していないとの意見が出た。中には「ノー残業デー」の設定にプレッシャーを感じる者もいた。火曜日の残業数が「0」にならないのは、それぞれの職員の業務量の調整が難しいとも考える。
【終わりに】
総体的な時間外労働時間数の減少を図ることはできたが、「ノー残業デー」の設定だけでは業務効率の改善を図ることは難しいと感じた。業務内容の見直しや、各個人の働き方の満足度を上げるために根本的なシステムを変える必要がある。 今以上に、一人一人の意識付けを徹底することが今後の課題となった。本例の様な取り組みは時間外労働時間数の短縮だけでなく業務効率の改善に繋がる効果も期待されるため、今後も科内全員で積極的に取り組むべき事象と考える。
吹田徳洲苑リハビリテーション科では一日におよそ15人前後の利用者数を実績とする時間制の業務を排泄・入浴や食事・おやつの時間、外来受診等の時間を避けてリハビリを提供している。その他カルテ記載、委員会やカンファレンスの出席があり時間に追われている。前年度3月から働き方改革として「ノー残業デー」を毎週火曜日に取り入れ、検証した後に導入後は設定曜日の時間外労働時間数の減少がみられた。今回、時間外労働時間の短縮や業務効率の改善を図ることを目的とした「ノー残業デー」の取り組みが一年以上経過した現状でも職員間で徹底されているのか、「意識付け」が維持されているのか検証すべく、時間外労働時間数の算出とアンケートを用いて検証したので報告する。
【方法】
方法は、1)勤怠管理表より一ヶ月の各療法士の時間外労働時間数の算出を行った。2023年3月~6月と2024年3月~6月の2回に渡って行い、「ノー残業デー」の火曜日とそれを除く月曜日~金曜日の療法士一人あたりの時間外労働時間数を比較した。2023年3月の「ノー残業デー」設定以降(各年度4ヶ月間データを基に)時間外労働時間数の合計から平均を割出し、平日月曜日~金曜日の曜日毎に比較した。2)業務効率について2023年5月・2024年5月にアンケートを実施した。対象は老健リハビリテーション科職員(10名)を対象とした。業務効率についてのアンケートの結果から、どのような業務効率の改善を図ることができたか分析した。
【結果】
結果は、1)時間外労働時間の変化について、療法士一人あたりの時間外労働時間数の火曜日平均は2023年は2.78時間、2024年火曜日は1.91時間。火曜日を除く月曜日~金曜日の時間外労働時間数の平均は2023年は2.44時間、2024年は2.33時間であった。一年後の取り組み以降に火曜日の時間外労働時間数が減少した。アンケートを実施した各年度5月以降に効果があったように思われる。2)アンケート内容では問1.「ノー残業デー」により日々の業務効率は全体でどう変化しましたかの設問は、改善した・やや改善したが5人、変わらなかったが5人となった。問2.問1で改善した方で、変化のあった業務があればお答え下さいの設問は、看護・介護・相談員・介護支援専門員とのコミュニケーションが増えた・フロア間移動時間が短縮した・担当利用者数が増えたと答えた方が多かった。その他自由記載で、「より時間を意識するようになった」「業務効率を上げるよう意識や自己でふりかえりを行った」「設定後は自身の業務時間の意識が変わった」「スタッフとの情報共有を行うことが業務効率の改善に繋がった」との意見が出た。問3.「ノー残業デー」の設定は今後も続けていくべきと感じますかの設問は思う・条件付きで思うが10人中9人で、条件に関しては、「月の残業時間が一定以下に収まっているかを評価し達成できた人を評価する」「担当フロアによって業務が異なるためフロア毎に曜日を設定する」「書類作成等の業務が残業となるため月末ではなく、週の後半曜日に設定する」「毎週は大変なので隔週の曜日や頻度を改める」「具体的に残業時間をどう減らせるかの意識付けやアドバイスが必要だと感じる」などが意見として挙げられた。問4.「ノー残業デー」の曜日をお答えください(意識調査)の設問は、「火曜日」が2023年は6人の一致、2024年では10人全員の認識ができていた。
【考察】
今回「ノー残業デー」を職員による多数決で火曜日に設定し、時間外労働時間数の短縮や業務効率の改善を図る取り組みを行い火曜日の時間外労働時間数は減少した。加えて、時間外労働時間数の短縮に関する意識付けを試みることや全体的な時間外労働時間数を減らす意識を高めたことにより火曜日以外の曜日にも効果がみられた。フロア時間の短縮や多職種とのコミュニケーションの効率化などから全体の業務効率の改善に繋がったと考える一方で、半数が業務効率は変化していないとの意見が出た。中には「ノー残業デー」の設定にプレッシャーを感じる者もいた。火曜日の残業数が「0」にならないのは、それぞれの職員の業務量の調整が難しいとも考える。
【終わりに】
総体的な時間外労働時間数の減少を図ることはできたが、「ノー残業デー」の設定だけでは業務効率の改善を図ることは難しいと感じた。業務内容の見直しや、各個人の働き方の満足度を上げるために根本的なシステムを変える必要がある。 今以上に、一人一人の意識付けを徹底することが今後の課題となった。本例の様な取り組みは時間外労働時間数の短縮だけでなく業務効率の改善に繋がる効果も期待されるため、今後も科内全員で積極的に取り組むべき事象と考える。