講演情報
[15-O-P109-05]職場環境改善に努めるリハビリクラークの役割と必要性
*浦籔 葉月1、渡辺 健太1 (1. 大阪府 アロンティアクラブ)
リハビリクラークは、事務作業やリハビリ助手としての業務を担うこと、それに職場環境を整えることが必要な役割であると考える。そこで、皆が居心地の良い職場環境を作るために、定期的なアンケート調査をして、改善に向けた取り組みを行った。 その結果、皆が求めていることが明確になり、職場風土改善に繋がった。事務業務だけでなく、職場の雰囲気を作っていく重要な役割でもあると考えられたため、ここに報告する。
【はじめに】
当施設リハビリテーション専門職の在籍数は多く、その分の事務作業や業務補助の後方支援をリハビリクラークが担っている。リハビリクラークの主な業務内容としては、カルテチェックや入力、実績確認、書類作成、リハビリ業務の補助などがある。
社会情勢において現在、介護人材不足や医師の働き方改革もあり、介護助手の活用や各職種の専門性を活かして対象者により質の高い介護を提供するタスクシフト/シェアが推進されている。そこで、リハビリテーション専門職のタスクシフトとして、当施設ではリハビリクラークが活動している。
厚生労働省によると、職場環境改善には、仕事のストレス要因や健康状態が改善したり、あるいは生産性が向上したりすることが国内外の多くの研究によって報告されている。
当法人全体で風土改善に力を入れており、まずはコミュニケーションが良好になるような居心地の良い環境作りをしようと考えた。そして、スタッフ一丸となれるように良い関係性を築き、心身健康に長く働くことのできる老健を目指していきたいという思いである。そこで今回、リハビリクラークが職場環境の改善に向けて行った取り組みについて、ここに報告する。
【目的】
職場環境改善に向けて取り組んだ内容について、報告することを目的とする。また、当施設リハビリテーション部における職場環境改善に努めるという視点から、リハビリクラークの役割や必要性を明らかにすることを目的とする。
【方法】
当法人全体で取り組んでいる毎月のPDCAサイクルを回し、それを基に実行した。
まず、リハビリテーション部の現状を調査するために、職場についてのアンケート調査を年度初め、中間、年度末と年3回実施した。内容としては、今の職場環境への感じ方を、選択式、記述式、採点式で回答を求めた。また、年度末には職場環境が上半期より良くなったと感じたかをリハビリテーション部19名を対象に、5点満点として調査した。5点に近いほど良くなったと感じているということとした。そして、部内全体にも現状を周知してもらうために、集計したものと今後の動きについて共有した。
具体的な取り組み内容の一つ目は、スタッフの休憩場所と機能訓練室に、音楽やラジオなどを流し、少しでも心地の良い空間にしようと考えた。
二つ目は、甘味処という名の「置き菓子コーナー」を設置した。これは、スタッフの休憩時間や業務後に、糖分を補給して一息つける環境を作った。お菓子の費用については、毎月徴収している部費を活用したり、外部や各個人からお菓子の寄付などもあり、皆が自由に使えるように準備した。
三つ目は、気持ちの良い環境を保つために、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を心がけるように呼びかけた。毎月の第3水曜日に、各自のデスク周りを5分間で片付けるという時間を設けた。
四つ目は、リハビリテーション部内の研修会にて、コミュニケーションの質やレジリエレスの鍛え方などについてパワーポイントでまとめ、発表した。そこで、グループディスカッションを行い、理解を深める場を設けた。
また、当施設全体として接遇の向上を目標に掲げており、各目標期間ごとに掲示物を作成し、呼びかけを行った。その一つに、日頃スタッフの間で感謝の気持ちを伝えるという目標があった。そこで、「感謝の木」という掲示物を用いて、それぞれが感謝のメッセージを書いた付箋を貼り付けていき、そのメッセージを増やして木を育てていくという、可視化された方法をとった。
その他の活動内容では、一年間で最も活躍した職員が投票により選ばれるMVP賞や主任賞といったモチベーションが上がるようなイベントを設けている。また、部内の交流会の開催や誕生日のお祝いなども行った。
【結果】
アンケート結果より、人間関係と職場へ向かう気持ちについての項目は、年度初めに比べて年度末の方が前向きな回答の割合が増えた傾向が見られた。そして、職場環境は上半期より良くなったと感じたかの平均点数では5点満点中3.3となり、良くなっていると言える。
【考察】
職場環境改善の取り組みを始める前と比べて、スタッフ同士の会話が増え、距離が縮まり心理的安全性が高まったといえる。これは、スタッフにとって居心地の良い環境に繋がり、取り組みへの理解を深めあった結果と考える。
甘味処の設置に関しては、大好評で皆の憩いの場となり、「仕事頑張ろうという活力になる」、「とても癒しになっている」、「今後も継続してほしい」など、好評の声が多数上がった。
掲示物の「感謝の木」については、そこでのコミュニケーションも増え、気軽に気遣いや感謝を伝える場になったと考える。
コミュニケーションとレジリエンスについての研修会後には、レジリエンスという言葉が周知され、意識を向けるという環境作りができたと考える。
しかし、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の取り組みに関しては、業務の都合上、実行することが難しい場面が多かったので、今後の課題である。
このように部内での需要を把握するため、アンケート調査の実施、集計、共有をして、それを基に行動を起こしていくこと、客観的に状況を見るこができるリハビリクラークが活動したことには、有効であったと考える。
【結語】
リハビリクラークは、リハビリテーション専門職におけるあらゆる後方支援を行い、職場環境改善にも寄与する可能性が示唆された。
今後、さらに追究し、取り組みの意味を浸透させて皆で考え行動できる環境作りを検討していきたい。
当施設リハビリテーション専門職の在籍数は多く、その分の事務作業や業務補助の後方支援をリハビリクラークが担っている。リハビリクラークの主な業務内容としては、カルテチェックや入力、実績確認、書類作成、リハビリ業務の補助などがある。
社会情勢において現在、介護人材不足や医師の働き方改革もあり、介護助手の活用や各職種の専門性を活かして対象者により質の高い介護を提供するタスクシフト/シェアが推進されている。そこで、リハビリテーション専門職のタスクシフトとして、当施設ではリハビリクラークが活動している。
厚生労働省によると、職場環境改善には、仕事のストレス要因や健康状態が改善したり、あるいは生産性が向上したりすることが国内外の多くの研究によって報告されている。
当法人全体で風土改善に力を入れており、まずはコミュニケーションが良好になるような居心地の良い環境作りをしようと考えた。そして、スタッフ一丸となれるように良い関係性を築き、心身健康に長く働くことのできる老健を目指していきたいという思いである。そこで今回、リハビリクラークが職場環境の改善に向けて行った取り組みについて、ここに報告する。
【目的】
職場環境改善に向けて取り組んだ内容について、報告することを目的とする。また、当施設リハビリテーション部における職場環境改善に努めるという視点から、リハビリクラークの役割や必要性を明らかにすることを目的とする。
【方法】
当法人全体で取り組んでいる毎月のPDCAサイクルを回し、それを基に実行した。
まず、リハビリテーション部の現状を調査するために、職場についてのアンケート調査を年度初め、中間、年度末と年3回実施した。内容としては、今の職場環境への感じ方を、選択式、記述式、採点式で回答を求めた。また、年度末には職場環境が上半期より良くなったと感じたかをリハビリテーション部19名を対象に、5点満点として調査した。5点に近いほど良くなったと感じているということとした。そして、部内全体にも現状を周知してもらうために、集計したものと今後の動きについて共有した。
具体的な取り組み内容の一つ目は、スタッフの休憩場所と機能訓練室に、音楽やラジオなどを流し、少しでも心地の良い空間にしようと考えた。
二つ目は、甘味処という名の「置き菓子コーナー」を設置した。これは、スタッフの休憩時間や業務後に、糖分を補給して一息つける環境を作った。お菓子の費用については、毎月徴収している部費を活用したり、外部や各個人からお菓子の寄付などもあり、皆が自由に使えるように準備した。
三つ目は、気持ちの良い環境を保つために、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を心がけるように呼びかけた。毎月の第3水曜日に、各自のデスク周りを5分間で片付けるという時間を設けた。
四つ目は、リハビリテーション部内の研修会にて、コミュニケーションの質やレジリエレスの鍛え方などについてパワーポイントでまとめ、発表した。そこで、グループディスカッションを行い、理解を深める場を設けた。
また、当施設全体として接遇の向上を目標に掲げており、各目標期間ごとに掲示物を作成し、呼びかけを行った。その一つに、日頃スタッフの間で感謝の気持ちを伝えるという目標があった。そこで、「感謝の木」という掲示物を用いて、それぞれが感謝のメッセージを書いた付箋を貼り付けていき、そのメッセージを増やして木を育てていくという、可視化された方法をとった。
その他の活動内容では、一年間で最も活躍した職員が投票により選ばれるMVP賞や主任賞といったモチベーションが上がるようなイベントを設けている。また、部内の交流会の開催や誕生日のお祝いなども行った。
【結果】
アンケート結果より、人間関係と職場へ向かう気持ちについての項目は、年度初めに比べて年度末の方が前向きな回答の割合が増えた傾向が見られた。そして、職場環境は上半期より良くなったと感じたかの平均点数では5点満点中3.3となり、良くなっていると言える。
【考察】
職場環境改善の取り組みを始める前と比べて、スタッフ同士の会話が増え、距離が縮まり心理的安全性が高まったといえる。これは、スタッフにとって居心地の良い環境に繋がり、取り組みへの理解を深めあった結果と考える。
甘味処の設置に関しては、大好評で皆の憩いの場となり、「仕事頑張ろうという活力になる」、「とても癒しになっている」、「今後も継続してほしい」など、好評の声が多数上がった。
掲示物の「感謝の木」については、そこでのコミュニケーションも増え、気軽に気遣いや感謝を伝える場になったと考える。
コミュニケーションとレジリエンスについての研修会後には、レジリエンスという言葉が周知され、意識を向けるという環境作りができたと考える。
しかし、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の取り組みに関しては、業務の都合上、実行することが難しい場面が多かったので、今後の課題である。
このように部内での需要を把握するため、アンケート調査の実施、集計、共有をして、それを基に行動を起こしていくこと、客観的に状況を見るこができるリハビリクラークが活動したことには、有効であったと考える。
【結語】
リハビリクラークは、リハビリテーション専門職におけるあらゆる後方支援を行い、職場環境改善にも寄与する可能性が示唆された。
今後、さらに追究し、取り組みの意味を浸透させて皆で考え行動できる環境作りを検討していきたい。