講演情報
[15-O-P109-06]ICT導入後の業務改善
*土屋 嵩登1、伊藤 和乃1 (1. 岐阜県 介護老人保健施設ひざし)
日々の業務に電子カルテが導入されて以降、パソコンやタブレットでの入力となったが、入力に苦手意識のある職員も多く、かえって手間が増えたという意見があった。課題を抽出し、検討、実施した事でタブレット入力の苦手意識が軽減した。また、情報共有システムを使用し、会議時間が短縮出来た。ICTを活用して業務の効率化が図れた為これを報告する。
【はじめに】
令和4年、日々の業務に電子カルテが導入されて以降、ケア記録はパソコン・タブレットでの入力になった。記録業務がスムーズになったと感じる職員がいる一方で苦手意識のある職員も多く、手間が増えたという意見があった。令和5年1月に法人内のICT委員会が行った記録システム効果測定アンケートでも、通所リハビリの職員は「効率が図れているか」の問いに「有効」「非常に有効」という意見があった一方、「どちらともいえない」「あまり有効ではない」という意見が半数以上みられた。
また、家族への連絡帳を作成する業務を行っていた職員と、行っていなかった職員との間で入力に関する満足度に差が出ていた。作成業務を行っていない職員は、今まで排泄、リハビリのチェック表に手書きでレ点を記入するだけだったが、電子カルテ導入後は、ケア内容を入力する必要が生じた為、業務が増えたと感じたようだ。
ICTの導入により一定の業務の効率化が図れたが、更に業務の効率化を図り、且つ職員の心的負担が軽減できないか検討し取り組んだ事で、良い成果に繋がった為これを報告する。
【期間】
令和5年4月から現在
【対象者】
看護師2名 介護職員12名(20代3名、30代5名、40代3名、50代3名)
【方法】
・業務内容についてのアンケート調査を実施し、職員が不満に感じている事、難しいと感じている事を抽出し、その中から下記の4点について対策を検討、実施。
(1) バイタル測定時、入力の為に、利用者の席とタブレットが置いてある場所を何度も行き来する為非効率である。
⇒車輪付台車にタブレットやバイタル測定機を設置し席の間を通りながら測定。
(2) 入力にかかる時間に個人差がある。
⇒入力が得意な職員が苦手な職員にアドバイスし入力方法を統一する。
(3) タブレットを使用したいときに他の職員が入力していると入力が出来ず忘れてしまう。
⇒昼間利用頻度の少ない他部署から1台タブレットを借りる。
(4) 通所リハビリ会議にて施設内の各委員会活動の報告や事故報告内容の再確認を行う為平均2時間以上かかっている。会議への参加は、集合形式に加えオンラインで参加を可能とした為職員の参加率は向上したが、全職員の意見を反映できていない。
⇒情報共有システムを使用、システム内の掲示板機能に事前に会議議題を掲示し、議題に対する各職員の意見や業務における課題などに対する意見を募る。また通所リハビリ会議内では事前入力されている内容は省略する。
【結果】
(1) 車輪付台車にタブレットやバイタル測定機を設置し、利用者の席の間を通りながら測定及び入力ができるようにした事により、以前は席とタブレットの場所を6~8往復していたが、3往復で完了することができ移動距離が半分以下になった。
(2) タブレットでの入力が苦手な職員には入力が得意な職員がアドバイスし、入力方法を統一することで入力が早くなり記録にかかる時間の削減に繋がった。
(3) 通所リハビリで記録が集中する時間帯に、他部署からタブレットを1台借りて、利用者の入浴、トイレ、リハビリの入力に使用することにより「入力を待つ時間が減った。」「記録を詳しく記入する事が出来ている。」「連絡帳作成時に記録の転記がスムーズになった。」と職員の意見が好評に転じた。
(4) 情報共有システム内の掲示板を活用する事により、全職員の意見を会議に反映でき、事前に掲示板にて意見、報告された内容は省略する事ができた為、平均で1時間程短縮できた。議事録の作成も情報共有システム内にある掲示板から転記できることで議事録の作成にかかる時間の短縮化に繋がった。
以上の取り組みを行った事で、10月の記録システム効果測定アンケートでは、「効率が図れているか」という問いに、通所リハビリの職員は「非常に有効」「有効」を合わせて100%という結果になった。業務の効率化と共に職員の入力に対する苦手意識を軽減することができた。
【まとめ】
今回ICT導入後の業務の効率化、負担軽減に向けた業務改善に取り組んだ事で良い結果に繋がった。しかしICT機器の使用で情報の共有がスムーズになった反面、情報を共有していると過信した確認不足が原因のヒヤリハットや事故報告が起きている。
また情報共有がスムーズになった中でも、もっと活用できる場面があると思われる。
業務改善に対する意識が芽生え始めた今こそ、業務改善の視点を常に持ち多職種との連携を図りながら、業務の効率化や職員の負担軽減に向けて取り組んでいきたい。
令和4年、日々の業務に電子カルテが導入されて以降、ケア記録はパソコン・タブレットでの入力になった。記録業務がスムーズになったと感じる職員がいる一方で苦手意識のある職員も多く、手間が増えたという意見があった。令和5年1月に法人内のICT委員会が行った記録システム効果測定アンケートでも、通所リハビリの職員は「効率が図れているか」の問いに「有効」「非常に有効」という意見があった一方、「どちらともいえない」「あまり有効ではない」という意見が半数以上みられた。
また、家族への連絡帳を作成する業務を行っていた職員と、行っていなかった職員との間で入力に関する満足度に差が出ていた。作成業務を行っていない職員は、今まで排泄、リハビリのチェック表に手書きでレ点を記入するだけだったが、電子カルテ導入後は、ケア内容を入力する必要が生じた為、業務が増えたと感じたようだ。
ICTの導入により一定の業務の効率化が図れたが、更に業務の効率化を図り、且つ職員の心的負担が軽減できないか検討し取り組んだ事で、良い成果に繋がった為これを報告する。
【期間】
令和5年4月から現在
【対象者】
看護師2名 介護職員12名(20代3名、30代5名、40代3名、50代3名)
【方法】
・業務内容についてのアンケート調査を実施し、職員が不満に感じている事、難しいと感じている事を抽出し、その中から下記の4点について対策を検討、実施。
(1) バイタル測定時、入力の為に、利用者の席とタブレットが置いてある場所を何度も行き来する為非効率である。
⇒車輪付台車にタブレットやバイタル測定機を設置し席の間を通りながら測定。
(2) 入力にかかる時間に個人差がある。
⇒入力が得意な職員が苦手な職員にアドバイスし入力方法を統一する。
(3) タブレットを使用したいときに他の職員が入力していると入力が出来ず忘れてしまう。
⇒昼間利用頻度の少ない他部署から1台タブレットを借りる。
(4) 通所リハビリ会議にて施設内の各委員会活動の報告や事故報告内容の再確認を行う為平均2時間以上かかっている。会議への参加は、集合形式に加えオンラインで参加を可能とした為職員の参加率は向上したが、全職員の意見を反映できていない。
⇒情報共有システムを使用、システム内の掲示板機能に事前に会議議題を掲示し、議題に対する各職員の意見や業務における課題などに対する意見を募る。また通所リハビリ会議内では事前入力されている内容は省略する。
【結果】
(1) 車輪付台車にタブレットやバイタル測定機を設置し、利用者の席の間を通りながら測定及び入力ができるようにした事により、以前は席とタブレットの場所を6~8往復していたが、3往復で完了することができ移動距離が半分以下になった。
(2) タブレットでの入力が苦手な職員には入力が得意な職員がアドバイスし、入力方法を統一することで入力が早くなり記録にかかる時間の削減に繋がった。
(3) 通所リハビリで記録が集中する時間帯に、他部署からタブレットを1台借りて、利用者の入浴、トイレ、リハビリの入力に使用することにより「入力を待つ時間が減った。」「記録を詳しく記入する事が出来ている。」「連絡帳作成時に記録の転記がスムーズになった。」と職員の意見が好評に転じた。
(4) 情報共有システム内の掲示板を活用する事により、全職員の意見を会議に反映でき、事前に掲示板にて意見、報告された内容は省略する事ができた為、平均で1時間程短縮できた。議事録の作成も情報共有システム内にある掲示板から転記できることで議事録の作成にかかる時間の短縮化に繋がった。
以上の取り組みを行った事で、10月の記録システム効果測定アンケートでは、「効率が図れているか」という問いに、通所リハビリの職員は「非常に有効」「有効」を合わせて100%という結果になった。業務の効率化と共に職員の入力に対する苦手意識を軽減することができた。
【まとめ】
今回ICT導入後の業務の効率化、負担軽減に向けた業務改善に取り組んだ事で良い結果に繋がった。しかしICT機器の使用で情報の共有がスムーズになった反面、情報を共有していると過信した確認不足が原因のヒヤリハットや事故報告が起きている。
また情報共有がスムーズになった中でも、もっと活用できる場面があると思われる。
業務改善に対する意識が芽生え始めた今こそ、業務改善の視点を常に持ち多職種との連携を図りながら、業務の効率化や職員の負担軽減に向けて取り組んでいきたい。