講演情報
[15-O-P109-08]紙媒体を減らし楽々業務をしようスキャナー活用で生まれた改善策とその効果について
*齊藤 紀子1 (1. 神奈川県 介護老人保健施設かまくらしるばーほーむ)
当施設に電子カルテが導入されて1年半が経ち、扱っている情報を紙媒体から電子化へ少しずつ移行していき電子化に利便性を感じていた。しかし未だに紙媒体で残っている書類もあり、特に職員間で取り扱う書類は紙媒体を使用することに職員が慣れてしまっており、電子化が進まない現状がある。私はそれらを電子化することで皆が今より働きやすくなることを伝えたいと思い、電子化に取り組み業務改善に繋がった事例を発表を報告する。
はじめに
当施設は、神奈川県鎌倉市にあり併設病院がある老健施設である。
老健の事務職は、主に窓口機能、施設運営の基礎となる部分であり、介護のケア現場とは異なりご利用者と接する機会は少なくデスクワークが主な業務である。現在、請求事務を担当しながら、職員間で扱う書面の作成や管理を行っている。今までは主に紙媒体で業務を行ってきたが、令和5年6月に電子カルテを導入した。同時期に併設病院も導入している。その電子カルテシステムは株式会社ソフトウェアサービスが提供している楓ソフトで、インターネット分離システムである。導入後、ご利用者に承諾をいただき、個人情報など病院や当施設で得られた書類を、電子媒体等を使用してスキャン保存で取り込み、少しずつだが紙媒体を減らす努力をしてきた。だが、未だに職員間での業務書類等が紙媒体のまま運用していることが多いことが分かった。今回、施設の中でも課題である「紙媒体の業務を減らし電子媒体に移行すること」を目標とし、施設で実際取り組むことで業務改善に繋がった事例を発表とする。
問題点
事務所内の業務について各職員にヒヤリングを行い、問題点として下記の3点にまとめ、計画を立てた。
1つ目は、施設を利用する前の判定会議には、利用者の資料を各部署ごとに印刷して準備し配布する作業が必要で、判定会議を行うのに時間がかかってしまうこと。また、支援相談員が1名体制なので不在時に資料が回らなく、判定会議が遅れてしまうことがある。
2つ目は、各委員会、会議等などの議事録を各部署ごとに印刷しているが、全職員に回覧することに時間が掛かり、周知が遅れてしまうこと。
3つ目は、既存の施設のマニュアル・指針等を各部署に書面で保管をしていたが、最新のものに更新された際に、書面の入れ替えができていない部署があり、最新の情報を職員間で共有できていないことあった。
方 法
当施設では出退勤を行う際に電子カルテのシステムを使用しており、出退勤をする際に電子カルテが同時に起動されるようになっている。またカルテ内には「個人メール確認機能」があり、毎日届く申し送り等を出勤時に読むことができるようになっている。メール内容確認をすることから業務開始となるため、今回の問題解決方法に使用できると考えた。
1つ目の解決方法として、入所相談があった際はFAX等で医療情報等を頂くことが多いので、受け取ってすぐに電子媒体のスキャナーで情報を取り込み、画像を添付してメールを必要な職員に一斉送信するよう、変更をした。また、そのメールには既読システムもあるため必要な職員が読んだかどうか確認もできるようになった。メール内容に質問があった場合、質問内容と回答内容も各職員が共有できるようになっているため、前よりスムーズに判定会議を行えるようになった。また、相談員不在時でも事務所内いる職員で対応できるよう、取り込んだ判定前資料を各部署にメールするように、先行して情報を回すようにした。
2つ目の解決方法として、委員会議事録の周知方法の改善を行った。今までは、委員会で決まったことのみ翌日、朝礼で報告をしていたが、一部の周知だったため、全職員に内容で決まったことのみ一斉メールをした。議事録については、スキャナーで取り込み後、各委員会の責任者に報告し、各委員会から、再度議事録を添付し全職員に周知した。
3つ目の解決方法として、既存のマニュアルや規定などについては、それぞれ変更したものを、スキャナーに取り込み、最新のデータとして閲覧できるよう変更を行った。紙媒体のものは、各部署には配布せず事務所内1か所にまとめて誰でも閲覧できるよう保管している。
結 果
1つ目の結果としてメール機能によって、紙媒体を使用せずに、円滑に判定会議が行えるようになった。相談員不在日でも対応を取ることが可能となり、申込から利用開始まで期間を短縮することが出来た。
2つ目の結果として
共有フォルダーを使用することにより、委員会の決定事項を迅速に周知徹底できるようになった。また、議事録や会議録等を年度毎に閲覧することができるようにしたため、確認しやすくなり、委員会のメンバーの変更があっても、引き継ぎ等しやすくなった。
3つ目の結果として、委員会や規定なども最新のスキャナーに取り込み閲覧できたことで、職員が常に新しい情報のみ閲覧することができるようになった。再度見返したい時にも、年度毎にフォルダーに分けしているので見やすくなっている。過去の規定集については、消去せず過去フォルダーに取り込み、事務所内でデータ保管している。
考 察
スキャナー機能とメール機能活用により、以前よりも無駄な作業が減り、作業効率があがった。
特に、スキャナーの利点として以下の3点があげられる。
1)取り込んだ日時が明記されることで、最新情報を把握しやすい。
2)目的の資料を短時間で見つけることができる。
3)電子カルテの中に取り込んだことで、災害が発生しても紛失の心配がなく、BCP対策にも繋がる。
まとめ
電子カルテを導入してから、約1年半ほど経過したが、現場にはパソコンに不慣れな職員も多いため
「やっぱり紙の方が良かった」という声も少なくない。また、新しい機能があっても今まで試すことが出来ず、上手く活用できていない点も多くあった。既存のやり方が決して間違えているのではなく、事務所内で、新しい方法を考えだし、報告・連絡・相談のシステムを少し変えるだけでも、今回のように作業効率あがり、働きやすい環境を作ることができることを実感した。事務職員は、利用者と直接関わることは少ないが、現場の環境を良くすることは利用者様のためにもなるため、今あるシステムを上手く活用して、少しでも円滑に回る環境をこれからも整えていきたいと思います。
当施設は、神奈川県鎌倉市にあり併設病院がある老健施設である。
老健の事務職は、主に窓口機能、施設運営の基礎となる部分であり、介護のケア現場とは異なりご利用者と接する機会は少なくデスクワークが主な業務である。現在、請求事務を担当しながら、職員間で扱う書面の作成や管理を行っている。今までは主に紙媒体で業務を行ってきたが、令和5年6月に電子カルテを導入した。同時期に併設病院も導入している。その電子カルテシステムは株式会社ソフトウェアサービスが提供している楓ソフトで、インターネット分離システムである。導入後、ご利用者に承諾をいただき、個人情報など病院や当施設で得られた書類を、電子媒体等を使用してスキャン保存で取り込み、少しずつだが紙媒体を減らす努力をしてきた。だが、未だに職員間での業務書類等が紙媒体のまま運用していることが多いことが分かった。今回、施設の中でも課題である「紙媒体の業務を減らし電子媒体に移行すること」を目標とし、施設で実際取り組むことで業務改善に繋がった事例を発表とする。
問題点
事務所内の業務について各職員にヒヤリングを行い、問題点として下記の3点にまとめ、計画を立てた。
1つ目は、施設を利用する前の判定会議には、利用者の資料を各部署ごとに印刷して準備し配布する作業が必要で、判定会議を行うのに時間がかかってしまうこと。また、支援相談員が1名体制なので不在時に資料が回らなく、判定会議が遅れてしまうことがある。
2つ目は、各委員会、会議等などの議事録を各部署ごとに印刷しているが、全職員に回覧することに時間が掛かり、周知が遅れてしまうこと。
3つ目は、既存の施設のマニュアル・指針等を各部署に書面で保管をしていたが、最新のものに更新された際に、書面の入れ替えができていない部署があり、最新の情報を職員間で共有できていないことあった。
方 法
当施設では出退勤を行う際に電子カルテのシステムを使用しており、出退勤をする際に電子カルテが同時に起動されるようになっている。またカルテ内には「個人メール確認機能」があり、毎日届く申し送り等を出勤時に読むことができるようになっている。メール内容確認をすることから業務開始となるため、今回の問題解決方法に使用できると考えた。
1つ目の解決方法として、入所相談があった際はFAX等で医療情報等を頂くことが多いので、受け取ってすぐに電子媒体のスキャナーで情報を取り込み、画像を添付してメールを必要な職員に一斉送信するよう、変更をした。また、そのメールには既読システムもあるため必要な職員が読んだかどうか確認もできるようになった。メール内容に質問があった場合、質問内容と回答内容も各職員が共有できるようになっているため、前よりスムーズに判定会議を行えるようになった。また、相談員不在時でも事務所内いる職員で対応できるよう、取り込んだ判定前資料を各部署にメールするように、先行して情報を回すようにした。
2つ目の解決方法として、委員会議事録の周知方法の改善を行った。今までは、委員会で決まったことのみ翌日、朝礼で報告をしていたが、一部の周知だったため、全職員に内容で決まったことのみ一斉メールをした。議事録については、スキャナーで取り込み後、各委員会の責任者に報告し、各委員会から、再度議事録を添付し全職員に周知した。
3つ目の解決方法として、既存のマニュアルや規定などについては、それぞれ変更したものを、スキャナーに取り込み、最新のデータとして閲覧できるよう変更を行った。紙媒体のものは、各部署には配布せず事務所内1か所にまとめて誰でも閲覧できるよう保管している。
結 果
1つ目の結果としてメール機能によって、紙媒体を使用せずに、円滑に判定会議が行えるようになった。相談員不在日でも対応を取ることが可能となり、申込から利用開始まで期間を短縮することが出来た。
2つ目の結果として
共有フォルダーを使用することにより、委員会の決定事項を迅速に周知徹底できるようになった。また、議事録や会議録等を年度毎に閲覧することができるようにしたため、確認しやすくなり、委員会のメンバーの変更があっても、引き継ぎ等しやすくなった。
3つ目の結果として、委員会や規定なども最新のスキャナーに取り込み閲覧できたことで、職員が常に新しい情報のみ閲覧することができるようになった。再度見返したい時にも、年度毎にフォルダーに分けしているので見やすくなっている。過去の規定集については、消去せず過去フォルダーに取り込み、事務所内でデータ保管している。
考 察
スキャナー機能とメール機能活用により、以前よりも無駄な作業が減り、作業効率があがった。
特に、スキャナーの利点として以下の3点があげられる。
1)取り込んだ日時が明記されることで、最新情報を把握しやすい。
2)目的の資料を短時間で見つけることができる。
3)電子カルテの中に取り込んだことで、災害が発生しても紛失の心配がなく、BCP対策にも繋がる。
まとめ
電子カルテを導入してから、約1年半ほど経過したが、現場にはパソコンに不慣れな職員も多いため
「やっぱり紙の方が良かった」という声も少なくない。また、新しい機能があっても今まで試すことが出来ず、上手く活用できていない点も多くあった。既存のやり方が決して間違えているのではなく、事務所内で、新しい方法を考えだし、報告・連絡・相談のシステムを少し変えるだけでも、今回のように作業効率あがり、働きやすい環境を作ることができることを実感した。事務職員は、利用者と直接関わることは少ないが、現場の環境を良くすることは利用者様のためにもなるため、今あるシステムを上手く活用して、少しでも円滑に回る環境をこれからも整えていきたいと思います。