講演情報
[15-O-F001-01]認知症高齢者に及ぼすBPSDの変化と効果認知症高齢者への集団・少人数レクリエーション
*大隈 都佑乃1、小島 香子1 (1. 大阪府 介護老人保健施設竜間之郷)
認知症高齢者は、中核症状に伴い睡眠障害、徘徊、暴言などBPSDを発症しやすい。今回、特に症状が強く集中力が乏しい5名を対象に集団レクリエーションに加え、少人数レクリエーションを実施した。個別の関わりを通じて、対象者個人に寄り添うことは、BPSDが軽減し睡眠障害、不安、自己評価の行動が改善できたため報告する。
【はじめに】
高齢化の進展に伴い認知症高齢者は増加の一途をたどり、2040年には950万人、5人に1人、24.6%が認知症になると見込まれている。
A施設においても利用者の9割が認知症を有し増加傾向にある。認知症の中核症状を伴い精神的不安や様々なストレスから、行動・心理症状(以下BPSDとする)が出ている方も多く、BPSDによりケア介入の困難さが課題となっている。A施設でも毎日、集団レクを提供しているが、少人数でのレクリエーション(以下レク)は行っていない。そこで、少人数レクを加えるとBPSDが特徴的に変化するのではないかと考え研究に取り組んだ。
【研究目的】
レクリエーションが認知症高齢者に及ぼすBPSDの変化の検証
【方法】
1.研究対象者
1)認知症高齢者日常生活自立度は3aレベル以上
2)障害日常生活自立度ランクA、ランクBの利用者
3)認知症のためBPSDを有する 男性3名、女性2名の5名
2.データ収集期間
2023年8月8日~9月7日まで
3.データ収集方法
1)対象者に研究開始時と1カ月後に「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)(以下、長谷川式とする)」、「認知症行動障害尺度(Dementia Behavior Disturbance Scale:DBD13)認知症初期集中支援チーム版(資料1)(以下、DBDスケールとする)」を基に行動評価する。
2)参加観察法とし、共有スペースで行い少人数レクは、比較的明るい窓際で行った。集団レクは、14時から行い15時30分から16時30分少人数レクを行った。歌、風船バレー、風船釣り、塗り絵、折り紙、体操とした。集団レク、少人数レクに参加中の様子を担当者が観察し記録に残した。
4.データ分析方法
1)長谷川式、DBDスケールの単純集計
2)DBDスケールを項目別に分析
3)観察による行動分析
5.倫理的配慮
施設長および倫理審査委員会の審査を受け、承認を得て実施した。研究対象に対しては、家族に研究の趣旨や意義について説明し同意を得た。その際には、研究参加は任意であり、参加を拒否した場合または途中で参加を取りやめた場合でも不利益を被ることはないことを説明、プライバシーに努めた。
【研究結果】
1)対象の属性
平均年齢87.4歳、ADL全介助5名(うち独歩3名、車椅子使用2名)であった。
2)スケール評価
長谷川式は、研究開始時5名の平均は6点であった。1か月後平均6.6点、C氏は6点から9点に増加した。他4名は変化がなかった。
DBDスケールは研究開始時5名の平均39点、1か月後平均35点であった。A氏は2点増加、他4名は平均5.5点下がった。
3)参加観察法について
集団レク、少人数レクに参加中の様子を担当者が観察し記録に残した。集団レク中は、途中まで歩きまわる行動があった。少人数レクは常時声掛けが行えるため最後まで参加していた。
【考察】
スケール評価
長谷川式は、5名の平均が6点であった。研究開始前後の比較ではC氏が3点上がり他4名は変化が見られなかった。対象者は、長谷川式10点未満であり重度認知症であり遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体的ADLに関する認知面の低下が著名であった。また、DBDスケール評価についてA氏は合計2点増加「特別な理由がないのに夜中に歩き回る」「根拠無しに人に言いがかりをつける」の項目から睡眠障害、攻撃的行動が示された。BPSDは、対象者によっては惹起した高揚し気分、興奮が続く不良反応の報告もある。点数が増加したことは、認知機能が低下し精神的興奮にも影響したと評価する。
DBDスケールから「特別な理由がないのに夜中に歩き回る」「やたら歩き回る」など睡眠障害に関する行動。また「同じ動作をいつまでも繰り返す」ことは、多動や不安や異同行動の要素が改善したと考える。「根拠無しに人に言いがかりをつける」「暴力を振るう」「引き出しやタンスの中身をみんな出してしまう」ことは、興奮や易怒性の現れ、自身のなさの裏返しの行動。「明らかな理由なしに物をため込む」「理由もなく金切り声を上げる」
行動は、記憶障害や不安が減少した。「世話されるのを拒否する」「食事を拒否する」自己評価の行動にも変化があった。すなわち、DBDスケールの質問項目から睡眠障害、不安、記憶障害、自己評価の行動が改善し認知機能行動に変化があったことから5.5点減少した。
観察評価
集団レク中は、途中歩き回る行動があった。塗り絵、折り紙は、手や指を使い脳へ刺激し認知症の進行を抑えるが重度の認知症高齢者は複雑な内容であったと考察する。一方、風船バレー、風船釣り、体操は楽しく行えていた。楽しみながら身体を使うことは、上肢、下肢筋力を維持し運動機能効果が期待できたと思われる。結果、「特別な理由がないのに夜中に歩き回る」「やたら歩き回る」など睡眠障害に関する項目が改善された。童謡は、馴染みのある懐かしい曲であり歌詞を思い出し口ずさむことは認知機能の維持が期待できる。
少人数レク時は、担当者と一緒に行いコミュニケーションが図れる環境から途中、歩き出すことはなかった。また、利用者同士が顔馴染みとなり、関係性を構築することでコミュニケーションが保たれ不安な気持ちや孤独感が減少し安心して過ごせる場の提供に繋がったと考える。DBDスケールでは、睡眠障害、不安、自信のなさ自己評価が改善しBPSDの軽減に繋がり認知機能が維持できるレクを生活に取り入れ残存機能の活性化ができる関りを行って活きたい。
【結論】
認知症高齢者は、少人数レクリエーションが効果的であり、睡眠障害、不安、自己評価の行動が改善、それに伴いBPSDが軽減した。
高齢化の進展に伴い認知症高齢者は増加の一途をたどり、2040年には950万人、5人に1人、24.6%が認知症になると見込まれている。
A施設においても利用者の9割が認知症を有し増加傾向にある。認知症の中核症状を伴い精神的不安や様々なストレスから、行動・心理症状(以下BPSDとする)が出ている方も多く、BPSDによりケア介入の困難さが課題となっている。A施設でも毎日、集団レクを提供しているが、少人数でのレクリエーション(以下レク)は行っていない。そこで、少人数レクを加えるとBPSDが特徴的に変化するのではないかと考え研究に取り組んだ。
【研究目的】
レクリエーションが認知症高齢者に及ぼすBPSDの変化の検証
【方法】
1.研究対象者
1)認知症高齢者日常生活自立度は3aレベル以上
2)障害日常生活自立度ランクA、ランクBの利用者
3)認知症のためBPSDを有する 男性3名、女性2名の5名
2.データ収集期間
2023年8月8日~9月7日まで
3.データ収集方法
1)対象者に研究開始時と1カ月後に「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)(以下、長谷川式とする)」、「認知症行動障害尺度(Dementia Behavior Disturbance Scale:DBD13)認知症初期集中支援チーム版(資料1)(以下、DBDスケールとする)」を基に行動評価する。
2)参加観察法とし、共有スペースで行い少人数レクは、比較的明るい窓際で行った。集団レクは、14時から行い15時30分から16時30分少人数レクを行った。歌、風船バレー、風船釣り、塗り絵、折り紙、体操とした。集団レク、少人数レクに参加中の様子を担当者が観察し記録に残した。
4.データ分析方法
1)長谷川式、DBDスケールの単純集計
2)DBDスケールを項目別に分析
3)観察による行動分析
5.倫理的配慮
施設長および倫理審査委員会の審査を受け、承認を得て実施した。研究対象に対しては、家族に研究の趣旨や意義について説明し同意を得た。その際には、研究参加は任意であり、参加を拒否した場合または途中で参加を取りやめた場合でも不利益を被ることはないことを説明、プライバシーに努めた。
【研究結果】
1)対象の属性
平均年齢87.4歳、ADL全介助5名(うち独歩3名、車椅子使用2名)であった。
2)スケール評価
長谷川式は、研究開始時5名の平均は6点であった。1か月後平均6.6点、C氏は6点から9点に増加した。他4名は変化がなかった。
DBDスケールは研究開始時5名の平均39点、1か月後平均35点であった。A氏は2点増加、他4名は平均5.5点下がった。
3)参加観察法について
集団レク、少人数レクに参加中の様子を担当者が観察し記録に残した。集団レク中は、途中まで歩きまわる行動があった。少人数レクは常時声掛けが行えるため最後まで参加していた。
【考察】
スケール評価
長谷川式は、5名の平均が6点であった。研究開始前後の比較ではC氏が3点上がり他4名は変化が見られなかった。対象者は、長谷川式10点未満であり重度認知症であり遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体的ADLに関する認知面の低下が著名であった。また、DBDスケール評価についてA氏は合計2点増加「特別な理由がないのに夜中に歩き回る」「根拠無しに人に言いがかりをつける」の項目から睡眠障害、攻撃的行動が示された。BPSDは、対象者によっては惹起した高揚し気分、興奮が続く不良反応の報告もある。点数が増加したことは、認知機能が低下し精神的興奮にも影響したと評価する。
DBDスケールから「特別な理由がないのに夜中に歩き回る」「やたら歩き回る」など睡眠障害に関する行動。また「同じ動作をいつまでも繰り返す」ことは、多動や不安や異同行動の要素が改善したと考える。「根拠無しに人に言いがかりをつける」「暴力を振るう」「引き出しやタンスの中身をみんな出してしまう」ことは、興奮や易怒性の現れ、自身のなさの裏返しの行動。「明らかな理由なしに物をため込む」「理由もなく金切り声を上げる」
行動は、記憶障害や不安が減少した。「世話されるのを拒否する」「食事を拒否する」自己評価の行動にも変化があった。すなわち、DBDスケールの質問項目から睡眠障害、不安、記憶障害、自己評価の行動が改善し認知機能行動に変化があったことから5.5点減少した。
観察評価
集団レク中は、途中歩き回る行動があった。塗り絵、折り紙は、手や指を使い脳へ刺激し認知症の進行を抑えるが重度の認知症高齢者は複雑な内容であったと考察する。一方、風船バレー、風船釣り、体操は楽しく行えていた。楽しみながら身体を使うことは、上肢、下肢筋力を維持し運動機能効果が期待できたと思われる。結果、「特別な理由がないのに夜中に歩き回る」「やたら歩き回る」など睡眠障害に関する項目が改善された。童謡は、馴染みのある懐かしい曲であり歌詞を思い出し口ずさむことは認知機能の維持が期待できる。
少人数レク時は、担当者と一緒に行いコミュニケーションが図れる環境から途中、歩き出すことはなかった。また、利用者同士が顔馴染みとなり、関係性を構築することでコミュニケーションが保たれ不安な気持ちや孤独感が減少し安心して過ごせる場の提供に繋がったと考える。DBDスケールでは、睡眠障害、不安、自信のなさ自己評価が改善しBPSDの軽減に繋がり認知機能が維持できるレクを生活に取り入れ残存機能の活性化ができる関りを行って活きたい。
【結論】
認知症高齢者は、少人数レクリエーションが効果的であり、睡眠障害、不安、自己評価の行動が改善、それに伴いBPSDが軽減した。