講演情報

[15-O-F002-05]音楽療法(リトミック)の取り組み~10年間を振り返って~

*樋口 早智子1、立野 里美1 (1. 東京都 介護老人保健施設 いちの杜)
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老健において「音楽療法」が注目されており、当施設では2013年より実施している。音楽療法に関連した資格を有したスタッフ等が、平日に療養棟及び通所リハビリテーションで、リトミックを実践している。高齢者の親しみのある歌を、身体を動かしながら楽しむことは、廃用症候群や寝たきり防止になり、生活リハビリを行う老健施設では有効なリハビリテーションと言える。当施設でのリトミックの実際について紹介する。
はじめに老健におけるリハビリの一環としての音楽療法、「介護リトミック、または若返りリトミック」が注目されている。音楽療法は、介護施設で高齢者の心身の健康をサポートするために広く利用されている。音楽療法には、音楽を聴いたり、歌ったり、楽器を演奏したりすることで、リラックス効果やストレス軽減、認知機能の向上などが期待できると言われている。当施設では、2013年より10年間以上音楽療法として「リトミック」導入し実施している。その取り組みと、効果について10年間を振り返り報告する。目的リトミックは、主に幼児教育において、楽しく音楽と触れ合いながら、基本的な音楽能力を伸ばすとともに、身体的、感覚的、知的にもあらゆる教育を吸収し、そこから個々の持っている潜在的な能力の発達を促すものと言われている。そのことから、高齢者に楽しみなら、親しみのある歌を通して、体を動かすことができないだろうかと思い、リトミックをリハビリテーションの一環として導入した。方法リトミックの方法は、平日 月曜日から金曜日 1日30分間 各フロアーで3~4人の音楽療法に関連した資格を有したスタッフ等が実施する。スタッフが、ピアノや楽器などを使用して、歌を歌ったり、リズムに合わせて体を動かすなどの指導を行っている。また、日々行われているリハビリテーションとの連携を図りながら行っている。毎日繰り返すことで、流れを覚えて、出来る事が増えていくように指導を行っている。 結果 10年前は、女性の利用者はすぐに興味を持ち、楽しく参加されていた。男性の利用者さんは参加される方は数名で、遠くから眺めていたり、眠っている方が多かった。しかし、毎日繰り返し行うことや、一人一人と会話をし、コミュニケーションを取ることで参加して下さるようになった。数ヶ月もたたないうちに利用者みんなが参加するようになり「リトミックが一番楽しみだ」と言って下さる利用者が増えてきた。現在では各フロアーで、男性の利用者の方たちの声が大きく響き渡っている。 始まりのテーマ曲が流れると、座席の向きを変え、拍手をして出迎えるなど、手拍子でリズムを取り「歌が始まるよ~!」と声を掛け合う姿が見られるようになった。楽しい時間だけでなく、一日の生活の中のひとつとなっている。音楽療法スタッフが、日々練習を重ね、心を込めて歌うことは、本当の音や歌声を生み出し。利用者の心を惹きつけることが認識できた。身体が府中になり、少しの表情しか出せなかた利用者が、微笑んだり、涙を流しながら歌っている。心に響き。気持ちがほぐれ、いろんな感情があふれているのを感じる。今後の課題音楽療法である介護におけるリトミックというのは、今までにない新しいプログラムである。今後は、こういった音楽療法が介護保険のリハビリのひとつとして認められるように働きかけていく必要があると思う。関係者との連携を取り、取り組んでいきたい。