講演情報

[15-O-F002-06]ポイントカードを導入して

*赤松 恵1、竹垣 美穂1 (1. 兵庫県 老人保健施設老人ケアセンター緑ヶ丘)
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新型コロナウィルスにより、レクリエーションや面会、外出が制限され、買い物に行く事や外部との交流がなくなった。また、利用者が主体的に行動することや自己決定する機会も減ったため、お金を使い事、選ぶ事の楽しさを感じてほしいと考え、「ポイントカード」を導入した。結果、様々な活動を通して自分で選択できる機会が増え、貯めたポイントで好きなものが購入できる喜びや、やりがいを感じることにつながった事を報告する。
【はじめに】
新型コロナウイルスの影響により、日々のレクリエーション(以下「レク」という。)や、面会・外出が制限され買い物に行く事や外部との交流がなくなった。感染対策に追われるともに制限も多く、今まで出来ていたレク活動が出来にくい状況になり、職員のレクへの意識も減少した。
【倫理的配慮】
今回の発表にあたり、利用者の個人情報と肖像権については家族から書面にて同意を得た。また倫理委員会で承認を得た。
【目的】
買い物や外との交流が減少した利用者にお金を使う事の楽しさ・選ぶことの楽しさを感じてほしい。そして稼ぐ、貯める、使う事で頭のリハビリも兼ね「ポイントカード」を導入した過程と結果を報告する。
【経過】
2023年4月 毎日のレクを充実させるため、利用者の趣味や興味のある事をプライマリーにアンケートを行う。
2023年5月1週間のグループレクの内容を決定し、開始する。ホワイトボードにレクの内容を記入し、利用者に参加・不参加の有無を聞く。不参加の方も楽しめるように全体レクを行う。
2023年6月グループレクが定着した頃に、グループレクについて再度アンケートを行う。困った点や改善点があれば、都度話し合いを行う。
2023年9月職員にポイントカードのデザインや大きさ、管理方法についてアンケートを行い、ポイントカードを作成。
2024年1月よりポイントカードの運用を開始。ポイントの付与は、グループレクの参加、間食準備や職員の手伝い、畑仕事や調理に参加などを基本とした。
認知機能や身体機能の低下により、レクへの参加が難しい方は、個々の能力に合わせ付与する基準を工夫した。
2024年2月全利用者を対象にポイント還元としてお菓子バイキングを開催。上位3名には希望を尋ね、外食や買い物の機会を作った。4位5位は地域交流であるふれあいサロンに参加した。
【結果】     
少人数で活動する機会を作り、利用者にレク参加の希望を聞く事で、自分で選択する機会が増え、レク内容が充実し、利用者の笑顔が増え活気が出たり、意外な一面が見られ新たな発見に繋がった。また、偏った利用者のみポイントが貯まるのではなく、全ての利用者が楽しみながらポイントを貯める事が出来た。さらにポイントカード導入により職員のレクへの意識が高まり、利用者の趣味や興味のある事を取り入れるなどレクを協力して行い、達成感に繋がった。意欲的に楽しみながら活動に参加し、貯めたポイントで好きな物を自分で選び、貯まっていく喜びや使う楽しみを感じる事が出来た。
【考察】
利用者の生活歴や成育歴などを把握し、個々の能力に応じたレクや活動を企画すると共に、自己選択・自己決定の機会を作った事で、利用者から「手伝うわ」と自発的な発言が聞かれ、意欲的に楽しみながら取り組む事ができたと考える。またポイントカードを導入した事で、視覚的にポイントが貯まる事への満足感や達成感が味わえ、ポイントを還元した事で日常生活の中に目標ができ、利用者同士の交流にも繋がったのではないかと考える。
【おわりに】
当初の目的であったポイントを貯める楽しみ、様々な活動を通して自分で選択できる機会が増え、貯めたポイントで好きなものが購入できる喜びややりがいを感じることに繋がった。
認知症だから出来ないと決めつけるのではなく、持っている力を発揮する為の環境作りや関わりを今後も続けていきたい。