講演情報

[15-O-F003-03]レクリェーションについて職員の意識を探る

*神成 晃1、上田 裕子1、土井 敏之1、武田 郁子1 (1. 大阪府 介護老人保健施設 八尾徳洲苑)
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A老健Bフロアの介護職員8名に対して、レクリエーション(以下、レク)に関するアンケートを実施した。調査内容としては、レクに対する意識とその理由、レクを実施の課題、実施してみたいレクとした。結果から、職員の多くがレクを得意だとは捉えておらず、内容のマンネリ化などの課題を感じている。それらを踏まえ、職員の苦手意識を克服するための対策と、レクの内容を充実させるための対策を検討できるのではないかと考える。
1.背景
A老健Bフロアでは、レク(以下、レク)の時間に職員それぞれがホワイトボード・YouTube等を活用し、間違い探しや言葉遊び・体操等を実施している。恒例となっている体操があり、なじんだ利用者は積極的に運動として取組んでいる一方、飽きてきているという声もあった。個別の職員の工夫で新しい体操を導入すると、難易度が高い体操であっても楽しんで運動する利用者の姿も見られており、Bフロアの職員全体でレクの実施と向き合う必要性があるのではないかと考えた。
2.目的
利用者の心理・社会的フレイルの予防と活動継続動機を上げるために、レクの果たす役割は大きい。A老健Bフロア職員がもつレクについての意識を調査し、楽しんで心も身体もリフレッシュできるようなレクを実施するための課題を明らかにする。
3.方法
(1)対象と方法
1)対象
A老健Bフロアの介護職員8名(介護福祉士7名、介護初任者研修修了者1名)
2)方法
レクに関するアンケート調査を実施した。調査内容としては、「1.あなたはレクに対してどのような意識を持っていますか?(選択)」、「2.1の回答に至った理由をお書きください。(自由記載)」、「3.レクを実施する上での課題や困っていることをお書きください。(自由記載)」、「4.あなたが実施してみたいレク、理想的なレクについてお書きください。」の4項目とした。自由記載については、分類の上分析した。
4.倫理的配慮
本研究に先立ち、筆者の所属する施設の教育委員会に研究計画書をもって、本研究の目的、方法を文書で説明し、実施許可を得た。対象者には、本研究の主旨及び対象者の質を評価するものではない旨と、個人が特定されないことを文書で説明し、アンケートへの回答をもって同意を得た。
5.結果
「1.あなたはレクに対してどのような意識を持っていますか?(選択)」の回答は、大変得意である:0名、得意である:0名、どちらともいえない:6名、苦手である:1名、大変苦手である:1名であった。「2.1の回答に至った理由をお書きください。(自由記載)」の回答は、「人の前に出るのが苦手だから」という旨の回答が5名から得られた。
「3.レクを実施する上での課題や困っていることをお書きください。(自由記載)」の回答は、「レクのマンネリ化」に関する回答が5名から得られ、「レクの内容を考える時間がない、難しい」という回答が3名から得られた。
「4.あなたが実施してみたいレク、理想的なレクについてお書きください。」の回答は、「利用者様皆さんが楽しめるレクがしたい」という旨の回答が6名、「楽器、小道具を使いたい」という旨の回答が2名から得られた。
6.考察
結果から、Bフロア職員の多くがレクを得意だとは捉えておらず、レクに対する苦手意識を持っている職員もいることがわかった。他、レクを考える時間がない、内容のマンネリ化などの課題を感じている。一方で、多くの職員は利用者様が皆楽しめるレクを実施したいと思っていることも分かった。その2点を踏まえ、職員の苦手意識を克服するための対策と、レクの内容を充実させるための対策を検討できるのではないかと考える。職員の苦手意識を克服するための対策としては、複数の職員でレクを実施する、小規模レクを実施するなどが考えられる。また、レクの内容を充実させるための対策としては、事前にレクメニューを他職員へ相談する、部署でレクについて検討するなどが考えられる。どちらの対策においても、複数職員でレクについて一緒に考えることにより色々なアイデアも生まれやすく、レク実施の際のサポートも行いやすくなると思われる。
7.まとめ
今回のアンケート調査で職員のレクに対する意識と課題の一部が把握できた。この結果を踏まえて今後職員間で話し合い、利用者様皆で楽しむためにはどのようにレクを実施すべきかを考えたい。課題はまだまだ山積しているが、まずは楽しむということを目標にレクを検討し、心も身体もリフレッシュできるようなレク、ひいてはレクをきっかけに利用者の心理・社会的フレイルの予防と活動継続動機を上げることができるよう取組みを継続したい。