講演情報
[15-O-F003-05]ピエタの秋まつり~家族とのかけがえのない時間を提供~
*吉田 晴香1 (1. 愛知県 介護老人保健施設ピエタ)
住み慣れた家屋や家族と離れ、施設で過ごす日々。そんな入所者や家族に素敵な時間や思い出を贈りたい。そんな思いから大きなイベントを開催した。健康関連イベント、お楽しみブース、屋台を作り、施設全体での秋祭りを開催した。
はじめに】2020年以降、新型コロナウイルスの流行により、外部との接触や家族との面会規制等、入所者を取り巻く環境は大きく変わっていた。徐々に規制緩和されつつも、時間制限や限られた場所での面会となっていた。入所者は「家族に会いたい」「いつ家に帰れるの」等、家族に会いたいとの声が多く聞かれていた。そんな中、少しでも家族とのかけがえのない時間を過ごしていただく為に、健康関連イベント、お楽しみブース、屋台を作り、施設全体での秋祭りを開催した事を報告する。【実施方法】1.秋祭りの日時及び、催事内容を検討・日時、2023年11月4日 13:30~15:00 ※混雑緩和の為に、2部制で開催 ・開催ブース(お楽しみイベント) 射的、わなげ、パターゴルフ(健康関連イベント) コグニサイズ、握力測定、運動機能検査、脳トレ(屋台) ミニうどん、豆腐ぜんざい、ムースパフェ※スタンプカードを作成し、各ブースに毎にスタンプを押印して言葉が浮き出てくる等、より楽しめる工夫を行った。2.入所者家族へのご案内1か月前より入所者家族へ秋祭りのポスター及び案内を配布して、参加者を募った。※家族の参加は2名まで 3.職員によるシミュレーションお楽しみブースの配置や人の流れを検討しながら、わなげや射的等を使用してシミュレーションを行う事で事故発生がないように話し合いを行った。【結果】参加された家族:40家族(69人)/79家族。入所されている約半数のご家族が参加された。予想を超える参加者数となり、混雑緩和の為に13:30~14:15、14:15~15:00の二部制で対応し、事故発生なく開催を行う事ができた。来所されたご家族と入所者が「会えてよかった」「久しぶりに顔がみれてうれしかった」等、とても喜ばれる声が聞かれた。また、普段の面会とは違い、わなげや射的、屋台の参加できるブースがあったことで、利用者とご家族が一緒に楽しむことができる空間を提供できた。限られた時間ではあったが、入所者は時間一杯、家族と一緒に過ごされていた。入所者の表情もいつもよりも柔らかく、普段の生活では見る事ができない満面の笑みと活気があった。また、ご家族が来所する事ができなかった入所者にも職員が付き添い、参加する事で入所者全員に秋祭りを楽しんでもらうことができた。参加されたご家族からは、「普段の入所者との接し方を見る事ができ、安心した」「提供している食べ物を見る事ができて良かった」との声があった。中でも、寝たきりや状態が低下してからは家族と一緒に食事をする機会がなく、看護師や介護士の専門職がいる安心できる環境下で一緒に過ごせるのはとても良かったという意見があった。秋祭り開催にあたり、見守り体制の徹底、応援職員の配置、職員全体に情報共有を行った事で転倒等の大きな事故発生なく終える事ができた。【考察】今回の秋祭りの開催を土曜日に設定し、1か月前から入所者家族へ案内を行っていた事で家族の都合もつけやすく、より多くの入所者家族が参加できたと考える。日頃から当施設でもレクリエーションは開催しているが、家族と一緒に参加することができるレクリエーションは新型コロナウイルスが流行してからは開催していない。その為、普段の姿とは違う表情が見え、入所者の活気に繋がった。また、入所者家族としても施設内で職員もいるという安心感がある環境で一緒に過ごされ、かけがえのない時間を支援する事ができた。この秋祭りの開催を通し、入所者は家族との繋がりを感じる事ができる機会にになった。コロナの規制が緩和され、今後も家族が参加する事ができるイベント等を検討し提供していくことができるよう努めていく。