講演情報
[15-O-F004-08]口腔体操・集団体操にYouTubeを取り入れて楽しく体操
*向山 彩1、藤本 かよ子1 (1. 兵庫県 介護老人保健施設ウエルハウス清和台)
セラピストによるリハビリ以外の時間に体操やレクリエーションを取り入れ、利用者の運動に対する満足度を上げ好評かを得られたため報告する。通所利用者60名に実施しその後アンケートにて評価を確認した。その結果、動画を利用することで好評を得ることができた。動画で行うことで表情や動きが明確になり同じ動作が行いやすく、ラジオ体操という高齢者のなじみのある体操を取り入れたことから抵抗なく行えたと考えられる
「はじめに」
当施設の通所リハビリでは食事前の口腔体操をスタッフが対面で行なっていた。しかし、フロアの見守りスタッフが一人であったため、途中でコール対応や電話対応等で中断する事が多くあった。お昼からも何もしない時間が多いと利用者からの意見も多く寄せられていた。そこで、スタッフ間で利用者の不満を解消するにはどのように工夫したらよいか検討した結果、YouTubeを利用してはどうかと言う意見があり実施した結果、利用者より好評を得たためここに報告する。
「目的」
セラピストによるリハビリ以外の時間で体操やレクを取り入れ、利用者の運動に対する満足度を上げ楽しく過ごせる。
「方法」
1.対象者
通所リハビリ 利用者全員(60名)
2.期間
令和5年10月~現在
3.介入方法
1) 時間
食前口腔体操 11:40~15分程度
起立・集団体操 14:00~14:50
2) 頻度 月~土(毎日)
3) 訓練内容
11:00~15分程度の口腔体操の動画を流す
14:00~ラジオ体操の動画を流し体操する
14:30~起立訓練、合間に運動レク・脳トレ等の実施
4)調査期間
令和5年12月 利用者を対象に体操に関するアンケート調査を実施(簡単に答えられるよう簡易的な物を作成)(表1)
4.倫理的配慮
利用者全員に対しアンケート結果はサービス向上にのみ利用することを説明し同意を得る。
「実施・結果」
通所では、以前より利用者から「もっとリハビリがしたい」・「テレビを観ている時間が長い」という意見があったが入浴中のフロアの見守りは業務リーダーが一人で行っている。そのため午前中はレクリエーション(以後、レクと略す)まで手が回らない状況であった。対面で行っていた食前口腔体操もトイレ介助や電話対応で中断してしまう事が多くあり、利用者からの不満の声が上がっていた。そこで通所スタッフで話し合い、口腔体操時には“口腔体操のYouTube動画”を流してみてはどうかという意見があり試みることにした。パソコンをテレビにを繋ぎ、口腔体操の動画を見ながら利用者に口腔体操をしてもらった。開始当初は「テレビが見えにくい」「音が小さい」等の声も聞かれたが、回を重ねるごとに利用者自身でテレビが見やすい場所まで移動し、音も聞こえやすい所まで利用者自身で移動するようになった。スタッフは口腔体操中の利用者の見守りをしながらトイレ対応や昼食時の準備等の業務に余裕ができた。次第に利用者達も動画の準備をしているとテレビの方に向きを変え口腔体操の準備をしてくれるようになった。(図1)
次に考えたのが、「午後からの時間はリハビリも終わり何もする事がない」と言う利用者(特に男性利用者)に対して、塗り絵や脳トレ・作業活動等を勧めたが拒否されることが多かった。そのため、13時から14時20分の起立訓練のまでの1時間で行うレクを考えてはどうかという意見があがった。そこでコロナ前に行っていたカラオケを再開したが、「恥ずかしい」「あまり好きではない」「お酒の場じゃないから嫌だ」等参加率は上がらなかった。次にカラオケの動画を流し、自由に口ずさんでもらうように試みた。しかし、テレビを使用するため「観たいテレビ番組が見られない」「動画の声がうるさくて気分が悪い」等不満の声が上がってきた。次に考えたのが起立訓練前の準備体操としての「ラジオ体操の動画」を流してみた。利用者には「起立訓練前の準備体操をしましょう」と声掛けし動画を流すと利用者は拒否することなく体操を始めた。回を重ねるごとに口腔体操と同様に13時半頃からラジオ体操の準備を始めると自席の椅子の向きを変え、テレビの見える場所へ移動される利用者もみられた。口腔体操・ラジオ体操が徐々に定着してきた頃より、ラジオ体操までの自由時間に、ハサミや貼り付け等手指の運動も兼ねた制作活動を企画し参加してもらい、「何もすることが無い時間」が徐々に縮小してきた。
さらに満足度を上げ楽しんでもらうため、起立訓練の時間には訓練の途中に運動レクを取り入れた。棒や輪を使ったレクやしりとり等の発声を促すゲームや歌体操等を実施した。
口腔体操・ラジオ体操等の取り組みを開始から2か月程経過した時点で、アンケート調査を実施。その結果からほとんどの利用者からは「体操は動画で良いと思う」という質問に対し「はい」という回答が78%、「いいえ」という回答が17%であった。(図2)「「集団体操中のレクやゲームの実施について良いと思うか」の質問に対しては「参加したい」という回答が67%という結果となった。(図3)
「考察」
高齢者は聴覚や視覚が徐々に低下する中、スタッフがマスクを着用している為、声が聞こえにくかったりマスクにより表情や口の動きが分かりにくかったり視覚に訴えることが難しかった。しかし、動画を使うことで体操の方法や表情が分かり易く、視覚にも訴えやすかった為、動画の導入は有効であったと考える。
また、「ラジオ体操」は準備運動として利用者の幼少期から慣れ親しんだ体操であるため、「回想」という部分よりスムーズに活用できたのではないかと考える。口腔体操やラジオ体操は、利用者の「もっと体操がしたい」「リハビリがしたい」「何もしない時間が長いから何かしたい」等の利用者の満足度につなげられと考える。
「まとめ 」
今回の動画や慣れ親しみのある体操を取り入れた事で利用者に抵抗なく行ってもらえた。また、利用者の運動に対しての満足度も得られている為、今後も利用者がうまく対応できる運動レクを取り入れ楽しく体を動かせられるよう、スタッフ間で検討・工夫し取り組んでいきたい。
当施設の通所リハビリでは食事前の口腔体操をスタッフが対面で行なっていた。しかし、フロアの見守りスタッフが一人であったため、途中でコール対応や電話対応等で中断する事が多くあった。お昼からも何もしない時間が多いと利用者からの意見も多く寄せられていた。そこで、スタッフ間で利用者の不満を解消するにはどのように工夫したらよいか検討した結果、YouTubeを利用してはどうかと言う意見があり実施した結果、利用者より好評を得たためここに報告する。
「目的」
セラピストによるリハビリ以外の時間で体操やレクを取り入れ、利用者の運動に対する満足度を上げ楽しく過ごせる。
「方法」
1.対象者
通所リハビリ 利用者全員(60名)
2.期間
令和5年10月~現在
3.介入方法
1) 時間
食前口腔体操 11:40~15分程度
起立・集団体操 14:00~14:50
2) 頻度 月~土(毎日)
3) 訓練内容
11:00~15分程度の口腔体操の動画を流す
14:00~ラジオ体操の動画を流し体操する
14:30~起立訓練、合間に運動レク・脳トレ等の実施
4)調査期間
令和5年12月 利用者を対象に体操に関するアンケート調査を実施(簡単に答えられるよう簡易的な物を作成)(表1)
4.倫理的配慮
利用者全員に対しアンケート結果はサービス向上にのみ利用することを説明し同意を得る。
「実施・結果」
通所では、以前より利用者から「もっとリハビリがしたい」・「テレビを観ている時間が長い」という意見があったが入浴中のフロアの見守りは業務リーダーが一人で行っている。そのため午前中はレクリエーション(以後、レクと略す)まで手が回らない状況であった。対面で行っていた食前口腔体操もトイレ介助や電話対応で中断してしまう事が多くあり、利用者からの不満の声が上がっていた。そこで通所スタッフで話し合い、口腔体操時には“口腔体操のYouTube動画”を流してみてはどうかという意見があり試みることにした。パソコンをテレビにを繋ぎ、口腔体操の動画を見ながら利用者に口腔体操をしてもらった。開始当初は「テレビが見えにくい」「音が小さい」等の声も聞かれたが、回を重ねるごとに利用者自身でテレビが見やすい場所まで移動し、音も聞こえやすい所まで利用者自身で移動するようになった。スタッフは口腔体操中の利用者の見守りをしながらトイレ対応や昼食時の準備等の業務に余裕ができた。次第に利用者達も動画の準備をしているとテレビの方に向きを変え口腔体操の準備をしてくれるようになった。(図1)
次に考えたのが、「午後からの時間はリハビリも終わり何もする事がない」と言う利用者(特に男性利用者)に対して、塗り絵や脳トレ・作業活動等を勧めたが拒否されることが多かった。そのため、13時から14時20分の起立訓練のまでの1時間で行うレクを考えてはどうかという意見があがった。そこでコロナ前に行っていたカラオケを再開したが、「恥ずかしい」「あまり好きではない」「お酒の場じゃないから嫌だ」等参加率は上がらなかった。次にカラオケの動画を流し、自由に口ずさんでもらうように試みた。しかし、テレビを使用するため「観たいテレビ番組が見られない」「動画の声がうるさくて気分が悪い」等不満の声が上がってきた。次に考えたのが起立訓練前の準備体操としての「ラジオ体操の動画」を流してみた。利用者には「起立訓練前の準備体操をしましょう」と声掛けし動画を流すと利用者は拒否することなく体操を始めた。回を重ねるごとに口腔体操と同様に13時半頃からラジオ体操の準備を始めると自席の椅子の向きを変え、テレビの見える場所へ移動される利用者もみられた。口腔体操・ラジオ体操が徐々に定着してきた頃より、ラジオ体操までの自由時間に、ハサミや貼り付け等手指の運動も兼ねた制作活動を企画し参加してもらい、「何もすることが無い時間」が徐々に縮小してきた。
さらに満足度を上げ楽しんでもらうため、起立訓練の時間には訓練の途中に運動レクを取り入れた。棒や輪を使ったレクやしりとり等の発声を促すゲームや歌体操等を実施した。
口腔体操・ラジオ体操等の取り組みを開始から2か月程経過した時点で、アンケート調査を実施。その結果からほとんどの利用者からは「体操は動画で良いと思う」という質問に対し「はい」という回答が78%、「いいえ」という回答が17%であった。(図2)「「集団体操中のレクやゲームの実施について良いと思うか」の質問に対しては「参加したい」という回答が67%という結果となった。(図3)
「考察」
高齢者は聴覚や視覚が徐々に低下する中、スタッフがマスクを着用している為、声が聞こえにくかったりマスクにより表情や口の動きが分かりにくかったり視覚に訴えることが難しかった。しかし、動画を使うことで体操の方法や表情が分かり易く、視覚にも訴えやすかった為、動画の導入は有効であったと考える。
また、「ラジオ体操」は準備運動として利用者の幼少期から慣れ親しんだ体操であるため、「回想」という部分よりスムーズに活用できたのではないかと考える。口腔体操やラジオ体操は、利用者の「もっと体操がしたい」「リハビリがしたい」「何もしない時間が長いから何かしたい」等の利用者の満足度につなげられと考える。
「まとめ 」
今回の動画や慣れ親しみのある体操を取り入れた事で利用者に抵抗なく行ってもらえた。また、利用者の運動に対しての満足度も得られている為、今後も利用者がうまく対応できる運動レクを取り入れ楽しく体を動かせられるよう、スタッフ間で検討・工夫し取り組んでいきたい。