講演情報
[15-O-Z001-04]過疎地域へ居住している高齢者の現状と課題2回の在宅復帰を経て見えてくるもの
*渡邉 恭嗣1 (1. 岐阜県 介護老人保健施設 仙寿なごみ野)
当施設退居後、過疎地域で独居生活を再スタートした利用者が、わずか1か月程度で体の不調を訴え再入居することになった。本人や娘に経緯を確認すると過疎地域が抱える現状と本人が抱える課題が関連していた。施設や居住サービス単位では解決できず行政の支援が必要であった。事前に現状と課題を把握していれば、それに合わせた支援が出来ていた可能性があった。課題が残る在宅復帰となった事例を報告する。
【はじめに】
当法人は岐阜市を中心にサービスを展開している。そのため必然的に岐阜市もしくは周辺地域からの入居依頼が多い。しかし、近年は満足した医療や介護を受けることが困難な過疎地域からの入居依頼も増えている。今回は過疎地域に居住している入居者が一旦は自宅復帰したが、わずか1カ月で再入居となった経緯からみえてきた過疎地域の現状と課題を報告する。
【対象】
A 様 84歳 女性 要介護1 HDS-R 24点
既往歴:胸腰椎圧迫骨折後、変形性脊椎症、両変形性膝関節症、骨粗鬆症
人口1200人の小さな村で岐阜市内在住の娘様の支援を受けながら独居にて生活していた。令和4年12月に膝関節痛増強や冬場の生活への不安から当施設に入居。令和5年4月に膝関節痛が改善し暖かい季節となった為、自宅復帰した。しかし、わずか1カ月で膝関節痛が増強し、体重の減少みられ自宅生活の継続が困難となり再入居となる。
【居住地域の現状】
A 様の居住している地域では在宅復帰を行う上で以下の点が障害となる。
・総人口が少なく高齢者の割合が高い。地域柄、近所の住人や友人と助け合いながらの生活。
・近くに食品販売店は無くタクシーでの移動が必要。宅食サービスも範囲外。
・医療機関や介護施設の数が少なく、限られたサービスしか選ぶことができない。
【生活課題】
4月に再入居した際に自宅での生活について確認をしたところ、以下の生活を送っていた。
・食事は娘様が用意した食料や冷凍食品などには手を付けず友人からの差し入れを中心に食べていた。
・ヘルパーに食材を使用して調理の依頼をしていたが本人が拒否をしていた。
・友人が頻繁に自宅へ出入りをしていた為、身の周りの事を手伝ってもらうことが多く、本人の活動量が低下していた。また次第に通所予定だったデイサービスにも理由をつけて通わなくなった。
【結果・まとめ】
再入居後の令和5年9月に再度自宅復帰をしている。その際食事面だけは事前にヘルパーが冷凍食品を解凍するようにしたが、地域に利用できるサービスが少なく課題の全てを解決するには至らなかった。
年々、高齢化が進む状況で地域の平均年齢は上がり人口は減少する見込みにある。それに伴い近隣住民同士での支援は満足に行えなくなり、選択できる介護サービスの種類も減り続ける。今回の在宅復帰に向けての支援を経て、過疎地域が抱える課題を再把握することができた。今後も同様のケースで入居される可能性がある為、今回の経験を元に適切な支援や家族への助言をしたい。
当法人は岐阜市を中心にサービスを展開している。そのため必然的に岐阜市もしくは周辺地域からの入居依頼が多い。しかし、近年は満足した医療や介護を受けることが困難な過疎地域からの入居依頼も増えている。今回は過疎地域に居住している入居者が一旦は自宅復帰したが、わずか1カ月で再入居となった経緯からみえてきた過疎地域の現状と課題を報告する。
【対象】
A 様 84歳 女性 要介護1 HDS-R 24点
既往歴:胸腰椎圧迫骨折後、変形性脊椎症、両変形性膝関節症、骨粗鬆症
人口1200人の小さな村で岐阜市内在住の娘様の支援を受けながら独居にて生活していた。令和4年12月に膝関節痛増強や冬場の生活への不安から当施設に入居。令和5年4月に膝関節痛が改善し暖かい季節となった為、自宅復帰した。しかし、わずか1カ月で膝関節痛が増強し、体重の減少みられ自宅生活の継続が困難となり再入居となる。
【居住地域の現状】
A 様の居住している地域では在宅復帰を行う上で以下の点が障害となる。
・総人口が少なく高齢者の割合が高い。地域柄、近所の住人や友人と助け合いながらの生活。
・近くに食品販売店は無くタクシーでの移動が必要。宅食サービスも範囲外。
・医療機関や介護施設の数が少なく、限られたサービスしか選ぶことができない。
【生活課題】
4月に再入居した際に自宅での生活について確認をしたところ、以下の生活を送っていた。
・食事は娘様が用意した食料や冷凍食品などには手を付けず友人からの差し入れを中心に食べていた。
・ヘルパーに食材を使用して調理の依頼をしていたが本人が拒否をしていた。
・友人が頻繁に自宅へ出入りをしていた為、身の周りの事を手伝ってもらうことが多く、本人の活動量が低下していた。また次第に通所予定だったデイサービスにも理由をつけて通わなくなった。
【結果・まとめ】
再入居後の令和5年9月に再度自宅復帰をしている。その際食事面だけは事前にヘルパーが冷凍食品を解凍するようにしたが、地域に利用できるサービスが少なく課題の全てを解決するには至らなかった。
年々、高齢化が進む状況で地域の平均年齢は上がり人口は減少する見込みにある。それに伴い近隣住民同士での支援は満足に行えなくなり、選択できる介護サービスの種類も減り続ける。今回の在宅復帰に向けての支援を経て、過疎地域が抱える課題を再把握することができた。今後も同様のケースで入居される可能性がある為、今回の経験を元に適切な支援や家族への助言をしたい。