講演情報
[15-O-Z002-04]しおさいにおける電気使用量の削減持続可能な施設への一歩
*與後 智明1 (1. 静岡県 介護老人保健施設しおさい)
物価高騰による経費圧迫に対して、特に金額の大きい電気代を抑える為に電気使用量の削減を目的とした無駄を無くす活動を行い、使用量削減に繋がった取り組みを報告する
【テーマの選定理由と背景】電気は生活に必要不可欠なものであるが、知恵と工夫が無い中、使用し続けることは経費がかさみ持続可能な施設とは程遠い存在となってしまうと考える。持続可能な施設への一歩を目指す為、活動テーマをしおさいにおける電力使用量の削減とし活動をすることにした。【現状把握】1、経費削減についてアンケートを実施、すぐ出来る経費削減を質問したところ電気に関することが56件。2、時間を掛け出来る経費削減を質問したところ電気に関することが28件。3、令和3年、4年度の電力使用量は7月から9月で10,000kwh以上。令和4年度の方が使用量増加。4、電気使用料金は季節関係なく増加。令和3年度に比べ、令和4年度の方が36%上昇、年間3百万円以上増加。5、気温の変化は隣町松崎町の平均気温が、8月、9月平均気温上昇。【現状把握考察】経費削減のアンケート結果、電気に関する意見が多く、対策をすることにより多くの経費削減に繋がる。夏季気温変化の変化はあったが、電力使用量と比較してもそれ以上の増加がみられ、他にも問題がある。電気使用料金は季節関係なく増加、日常的な節電が効果的に経費削減に繋がると考えられる。【目標設定】令和5年10月までに7月、8月、9月の電力使用量を前年度対比-5%削減。【要因解析】特性要因図を用い電気使用量が増加している原因を洗い出し7つを重要な問題だと考えた。1、人がいないのに照明が点いている。2、電気機器に1日中電源が入っている。3、エアコンの消し忘れがある。4、エアコンの適正設定温度が分からない。5、職員休憩室のエアコンが点けたり消したりしている。6、自動ドアの開閉が多い。7、必要ない場所の照明が点いている。【重要要因の検証】要因解析で判明した7つの問題に対し、本当に問題なのか検証。1、人がいないのに照明が点いている。検証方法:職員聞き取り結果:ナースステーション、リハ室など職員が誰もいない状態でも照明が点けっぱなしになっていることから採用。2、電気機器に1日中電源が入っている。検証方法:コンセントを実際に確認結果:電気ポット、タブレット、PHSなど充電をしてそのまま放置になっていることから採用。3、エアコンの消し忘れがある。検証方法:集中管理板にて確認結果:出勤、退勤時の更衣室や昼食後の職員休憩室を確認、誰もいない状態でエアコンが付いていたことから採用。4、エアコンの適正設定温度が分からない。検証方法:職員聞き取り結果:職員の感覚でエアコンの設定温度が変わり、19℃に設定していることがあったことから採用。5、職員休憩室のエアコンが点けたり消したりしている。検証方法:職員休憩時間を確認結果:休憩室入室時にエアコンを付け、退室時誰もいない際はエアコンを消していることが短時間で繰り返し行われていることから採用。6、自動ドアの開閉が多い。検証方法:1日の開閉を目算結果:1日の通所ご利用者数、職員の勤務数等計算し2重扉も考慮すると約300回開閉。ネットで確認すると約1,000開閉した場合で、1日約3円。当施設で計算した1日1円程度であり、開けっ放しにした場合、冷房の効率を下げ、余計に電気使用量の増加が考えられた為不採用。7、必要ない場所の照明が点いている。検証方法:職員聞き取り結果:出勤時人がいない場合でも電気を点けることがあることから採用。【対策の立案】重要要因の6項目に対して、一時対策、二次対策、三次対策を決定。重要性、実現性、効果で点数を付けて全て採用とした【対策の実施】1、消灯タイミングが分かるようルールを作成2、照明必要箇所をルール化する3、無駄な電気使用を無くす為使用ルール作成4、エアコン操作板に掲示物、消し忘れがあった際、声が掛け合える5、労働衛生基準を基に設定温度ルール決定6、職員休憩室のエアコン使用ルールの決定以上、6つの対策を実施した【効果の確認】令和4年度対比7月-16.7%、8月-6.9%、9月-17.7%の電気消費量の削減に繋がり目標達成。気温による消費量削減でないか調べたが7月+0.4℃、8月+0.7℃、9月+1.0℃となっとり平均気温は上昇しており、対策が上手くいったと考える【効果の確認:有形効果】令和4年度対比7月-21,350円、8月-84,769円、-227,075円、3か月合計-333,194円の電気料金削減。1kwh当りの単価は、令和4年7月26円、令和5年7月30円、令和4年8月27円、令和5年8月26円、令和4年9月28円、令和5年9月25円。7月は単価が向上していたことにより、減少幅は少なかったが、9月は単価が減少したことにより、大きな金額減少に繋がっている【波及効果】令和5年度活動を続けたことにより、電気使用量は令和6年3月まで令和4年度対比使用量は合計-41,658kwh削減。金額では-2,484,412円の削減となった【標準化と管理の定着】今回の取り組みを令和5年度で終わらないように標準化として節電ルールの見える化。教育として新規入職があった際、部門担当者が指導。管理として電気使用量、電気料金を毎月部門長に報告するとした【反省と今後の課題】電気使用量の比較対象が無く基準が無い。当施設単独での取り組みとなった為、実際に現在の使用量が適正なのかが分からない【最終考察】今まで当たり前に実施していたことを、色々な角度から見つめなおし、問題と捉えられるかどうかが、とても重要だと感じた。価格が上がっているから、気温が上がっているからしょうがないと諦めず、そこを知恵と工夫で出来ることを職員全員でチャレンジすることで、これからも持続可能な施設を目指していく