講演情報
[15-O-A010-01]パンに魅せられて~本人の望み~
*秋山 佳苗1 (1. 茨城県 介護老人保健施設はなみずき)
今回、尿路感染・誤嚥性肺炎での入院を経て当施設に入所され嚥下機能低下がある中、パンが食べたいとのご希望を叶えるべく多職種連携を図り、達成できた事例を報告する。食事観察・本人様の嗜好分析・活動量増加・生活リズムを整えることを行った結果、入所半年後には食形態が上がりパンを食することができた。本人の思いを聞き出し行動することで、本人の食事に対する意欲が向上したと考える。
1,はじめに
当施設は、ご利用者様の望む暮らしを第一に考え実現させることを念頭に、PDCAサイクルを活かしQOLを最大限高めることでご利用者様が在宅復帰した先に求める物を追及し、ご本人様の意に寄り添った支援を日々行っている。
今回は「パンが食べたい」と言う本人様の思いに寄り添った支援内容の結果を報告する。
2,対象利用者紹介
A様 90代 女性 介護度;要介護4
病歴…誤嚥性肺炎、尿路感染等
3,入所までの経緯
自宅にて発熱あり、尿路感染と診断され入院となる。病院ではリハビリの介入なく、日中の殆どをベッド上で過ごしていた。現在の状態では在宅復帰は困難である為、当施設に入所される。
4,入所時のADL状況
移動…車いす(自操は困難な為全介助) 移乗…職員前方での全介助
食事…疲れが出ると手が止まってしまうため一部介助(全粥・主菜、副菜ムース食・250ccに対し5gトロミ3杯)
誤嚥性肺炎を発症しており、むせ込みみられた。食事に対して意欲低下みられ最初の一口には手をつけるも食事をその後、中断してしまい2割程度しか摂取されない。
その為、体重減少が見受けられる。
5,課題・取り組み内容
食事に対する意欲・耐久力低下
→食事観察・本人様の嗜好分析・活動量増加・生活リズムを整える
6,経過
1) 入所当時、傾眠と嚥下機能低下などによるむせ込みがみられた。食事に対する意欲もなく食事摂取が出来ていなかった。職員が声掛けを行うが反応は薄くすぐに目を閉じて傾眠されてしまう。初めに生活リズムや活動量増加を改善する事で、昼夜逆転を改善し本人に変化や意欲向上が図れると思われた。起床~就寝までのプログラムを考え本人のペースに合わせ実施した。実施内容・状況は記録に反映する事で、結果を追うことや周知することで情報共有できた。徐々ではあるが、本人に負担がない程度にメリハリある生活が進んだ。
2) 1ヶ月後、生活リズムや活動性は改善できたが、食事に対する意欲は上がらなかった。その為、食事観察や嗜好分析を行い本人へ聞き取りを重ねた結果、「食事が美味しくない。パンが食べたい」と言う発言が聞かれた。パンが食べたいと言う気持ちを第一に考え、多職種とカンファレンスを何度も行う。パンと言う目的を達成すべく、目標を立て段階を経て食事形態の底上げを行った。
3) 半年後、常ご飯・主菜、副菜刻み食・トロミ0.5杯まで底上げする事に成功した。パンを提供するにあたり、再度パンについて聞き取りを行う。本人の口から上がったのは、「家の近所の通っていたパン屋のパンが食べたい」と言うことだった。パンの種類やジャムの種類をご利用者様が選び、焼き具合なども調整した。本人と一緒に行うことで本人様のモチベーションも上がり食事に対する意欲が上がった。実際パンを提供した際、入所当初とは考えられないほどの表情や良く食べる姿が見られた。
パンが食べたいと言う一言を吸い上げることでご利用者様も前向きになり、パン以外の食事も自ら摂取されるようになった。
体重も安定し、活動量や意欲が継続出来ていることで歩行などの向上もしている。
7,結果・考察
日中の活動量が増えメリハリのある生活リズム・耐久力を取り戻すことができた。
生活リズムや活動量増加だけでは食事に対する意欲が上がらなかったが、思いを聞き出し行動することで、本人の食事に対する意欲が向上し、「パンが食べれた」と言う結果が得られた。
本人を中心とし多職種連携の下、目的に対してしっかり目標を立てて段階を得て安全に評価する事で本人の願望を得ることが出来た。
8,まとめ
ご利用者様が「パンが食べたい」と言う目的達成できたと考える。ご利用者様のモチベーションが上がったことや身体機能が上がったことでQOLの向上にも繋がった。
ご利用者様に寄り添い本人の意思を第一に考える事で、日々の生活に着目し在宅復帰がゴールではないと言うことを念頭に置き、在宅復帰後のことも見通した介護ご利用者様一人ひとりの自宅環境を把握していき今後も多職種連携を図り万全のサポートで対応を行い支援していく。
当施設は、ご利用者様の望む暮らしを第一に考え実現させることを念頭に、PDCAサイクルを活かしQOLを最大限高めることでご利用者様が在宅復帰した先に求める物を追及し、ご本人様の意に寄り添った支援を日々行っている。
今回は「パンが食べたい」と言う本人様の思いに寄り添った支援内容の結果を報告する。
2,対象利用者紹介
A様 90代 女性 介護度;要介護4
病歴…誤嚥性肺炎、尿路感染等
3,入所までの経緯
自宅にて発熱あり、尿路感染と診断され入院となる。病院ではリハビリの介入なく、日中の殆どをベッド上で過ごしていた。現在の状態では在宅復帰は困難である為、当施設に入所される。
4,入所時のADL状況
移動…車いす(自操は困難な為全介助) 移乗…職員前方での全介助
食事…疲れが出ると手が止まってしまうため一部介助(全粥・主菜、副菜ムース食・250ccに対し5gトロミ3杯)
誤嚥性肺炎を発症しており、むせ込みみられた。食事に対して意欲低下みられ最初の一口には手をつけるも食事をその後、中断してしまい2割程度しか摂取されない。
その為、体重減少が見受けられる。
5,課題・取り組み内容
食事に対する意欲・耐久力低下
→食事観察・本人様の嗜好分析・活動量増加・生活リズムを整える
6,経過
1) 入所当時、傾眠と嚥下機能低下などによるむせ込みがみられた。食事に対する意欲もなく食事摂取が出来ていなかった。職員が声掛けを行うが反応は薄くすぐに目を閉じて傾眠されてしまう。初めに生活リズムや活動量増加を改善する事で、昼夜逆転を改善し本人に変化や意欲向上が図れると思われた。起床~就寝までのプログラムを考え本人のペースに合わせ実施した。実施内容・状況は記録に反映する事で、結果を追うことや周知することで情報共有できた。徐々ではあるが、本人に負担がない程度にメリハリある生活が進んだ。
2) 1ヶ月後、生活リズムや活動性は改善できたが、食事に対する意欲は上がらなかった。その為、食事観察や嗜好分析を行い本人へ聞き取りを重ねた結果、「食事が美味しくない。パンが食べたい」と言う発言が聞かれた。パンが食べたいと言う気持ちを第一に考え、多職種とカンファレンスを何度も行う。パンと言う目的を達成すべく、目標を立て段階を経て食事形態の底上げを行った。
3) 半年後、常ご飯・主菜、副菜刻み食・トロミ0.5杯まで底上げする事に成功した。パンを提供するにあたり、再度パンについて聞き取りを行う。本人の口から上がったのは、「家の近所の通っていたパン屋のパンが食べたい」と言うことだった。パンの種類やジャムの種類をご利用者様が選び、焼き具合なども調整した。本人と一緒に行うことで本人様のモチベーションも上がり食事に対する意欲が上がった。実際パンを提供した際、入所当初とは考えられないほどの表情や良く食べる姿が見られた。
パンが食べたいと言う一言を吸い上げることでご利用者様も前向きになり、パン以外の食事も自ら摂取されるようになった。
体重も安定し、活動量や意欲が継続出来ていることで歩行などの向上もしている。
7,結果・考察
日中の活動量が増えメリハリのある生活リズム・耐久力を取り戻すことができた。
生活リズムや活動量増加だけでは食事に対する意欲が上がらなかったが、思いを聞き出し行動することで、本人の食事に対する意欲が向上し、「パンが食べれた」と言う結果が得られた。
本人を中心とし多職種連携の下、目的に対してしっかり目標を立てて段階を得て安全に評価する事で本人の願望を得ることが出来た。
8,まとめ
ご利用者様が「パンが食べたい」と言う目的達成できたと考える。ご利用者様のモチベーションが上がったことや身体機能が上がったことでQOLの向上にも繋がった。
ご利用者様に寄り添い本人の意思を第一に考える事で、日々の生活に着目し在宅復帰がゴールではないと言うことを念頭に置き、在宅復帰後のことも見通した介護ご利用者様一人ひとりの自宅環境を把握していき今後も多職種連携を図り万全のサポートで対応を行い支援していく。