講演情報

[15-O-A011-02]見守り体制の見直し

*本井 知美1、ウエマ デフゥアン1、竹前 よし子1 (1. 長野県 介護老人保健施設コスモス長野)
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一般棟と認知棟を兼ね備えたフロアでありながら、職員と利用者様と関わる時間を持つ事が出来ていた。しかし、令和5年5月頃より新規入所者の見守りや付き添い歩行が必要な利用者様が増え、フロア全体が落ち着かなくなった。そのため勤務時間の変更や、見守りの体制をはじめ職員の見守りに対する意識改革を行った。結果落ち着かない利用者の行動を把握でき、見守りに対する考え方の変化が見られた。実施した内容と結果を報告する。
1、はじめに 私たちの勤務するフロアは、一般棟と認知棟をかけもった特性を持っています。居室やフロアで落ち着いて過ごされる利用者様も多く、職員も慌てることなく見守りや利用者様と関わる時間を持つ事が出来ていた。しかし、令和5年5月頃より、新規に入所された見守りや付き添い歩行が必要な利用者様が増えたため、フロア全体が落ち着かなくなった。そのため勤務時間の変更や、見守りの体制の見直し、職員の見守りに対する意識改革を行った。その結果、落ち着かない利用者の行動を把握でき、職員の見守りに対する考え方に変化が見られた。実際に行った内容と結果を報告する。2、問題点 令和5年5月頃に入退所が続き、付き添い歩行や、椅子、車椅子からの急な立ち上がりによる転倒リスクの高い方や、ソワソワと落ち着きのない利用者様が増加した。職員が手薄になる時間帯もあり(特に17-19時、6-7時は職員が手薄になる事が多い)以前よりも利用者様に目が行き届かなくなってしまった。そのため利用者様への対応と通常業務を並行して行うことも難しくなっていった。見守り対応度の高い利用者様の人数として、4月付き添い歩行者2名、立ち上がり・見守り6名 計8名5月付き添い歩行者4名、立ち上がり・見守り8名 計12名6月付き添い歩行者4名、立ち上がり・見守り7名 計11名7月付き添い歩行者4名、立ち上がり・見守り7名 計11名 特に頻回に立ち上がる立位不安定な利用者様に駆け寄ったり、歩行器を使用せず歩き出す利用者様に付き添い歩行したりなど、職員も慌てて介助する状況が多く発生した。3、業務の見直し 見直し前は、利用者様の見守り職員が決まっておらず、職員1人1人の見守りに対する意識が薄かった。そのため、日中は見守りの職員を決め、フロアの見守りを行った。また、毎日決められた職員1人が長時間の1日見守りを行っていたが、身体的・精神的負担を感じるとの意見が聞かれた。そのため、午前と午後に職員を分け見守りを行うよう変更した。 おやつ後の時間帯から帰宅願望が強くなり、立ち上がりが多くなる利用者様も増えたため、午後に歌や体操、散歩などのレクリエーションを積極的に行うようにした。 付き添い歩行者やご家族の洗濯物の受け渡し対応が重なり、介護職員だけでは対応が難しくなってしまったため、時間を決め看護師にも見守りに入ってもらうようにした。 夕食後の職員の勤務時間も見直しを行った。以前は、夜勤者2名、遅番1名、下膳者1名(介護助手の時もあり)の4人体制で行っていたが、見守りの利用者様が増え業務が回らなくなってしまったため、B勤(9:30~18:30)の見守り専属職員を増やした。また、立ち上がりが多い利用者様は口腔ケア介助をしている洗面所近くの席に集め、業務と並行しながら見守りを行った。その際利用者様にはタオルたたみや卓上ゲームなど作業を提供し、集中して取り組んでいただいた。その他、YouTubeが見られる、FireTVstickを導入してヒーリング音楽や昔なじみの歌謡曲を流し、気持ちを落ち着かせて過ごせるよう環境を整えた。また、朝の時間帯でヒヤリはっとが続いたため、早番の7:00~勤務を、6:00~の勤務時間に変更し、夜勤2名、早番1名で利用者様への対応を行った。4、結果・見守りは日勤リーダーが行い、通常業務は他の職員が分担して行うことが出来るようになった。・見守りの職員を午前と午後に分け、見守りの職員の精神的、身体的負担を減らす事が出来た。・午後にレクリエーションを行う事により、利用者様が集中して取り組み、楽しんでもらえた。・看護師にも毎日見守り職員を出してもらうことで通常業務を円滑に行う事ができた。・落ち着かない利用者様には必ず傾聴をし、近くで寄り添うことを意識的に心掛けた。・ヒヤリはっとが多く発生する時間帯や発生状況を検証し、フロア職員で意見を出し合い検討する事が出来た。 ・YouTubeを導入する事により、職員のレクリエーションのバリエーションも増え、利用者様が楽しんでいただける時間が増えた。 ・職員同士がお互い声を掛け合うことにより、フロア全体を見守る環境が作れた。 ・事故委員と協力し、見守りの基準をつくり職員間で情報共有を行った。<見守りする上での禁忌事項>(1)利用者に背を向けてのケアと業務     (2)見て見ぬふりをする(3)事故が起きてしまった時1人のせいにする (4)大丈夫だろうという考え(5)優先順位を考えないでの、ながら見守り  (6)立ち上がりがあった時に強制的に座らせる5、まとめ・新規入所により、見守りや付き添い歩行の利用者様が増加したことで、フロア内が落ち着かず、職員も以前と同じような業務の動きや、対応ができなくなっていた。・業務内容の見直しを行い、見守りの職員と通常業務を行う職員を分け、業務を分担することが出来た。また、業務を分担する事により、職員も冷静に利用者様への対応ができ、YouTubeを活用したレクレーションの実施や、利用者様に以前より多く関わる事で安心感を持っていただけ、個人個人の日常生活も穏やかになり、フロア全体が落ち着いた雰囲気になった。・職員の見守りに対する意識改革と見守り体制を整えた事により、利用者様の行動観察が出来、ヒヤリはっとを未然に防ぐ事が出来た。 また、意識改革を行った事で、見守りが必要な利用者様だけでなく、他利用者様の動作や行動へこま目に目を向けることが出来るようになった。・落ち着かない利用者様には必ず傾聴をし、近くで寄り添うことを意識的に心掛けた。・利用者様の様子や、職員の人数は日によって変化するが、介護・看護と情報共有を行うとともに、利用者様の状況に合わせて今後も見守り体制の見直しをし続けていく事が大事だと感じました。