講演情報
[15-O-A012-03]終末期フローチャート作成による体制づくりの取り組み
*糠信 克実1 (1. 東京都 あい介護老人保健施設)
状態変化等により終末期への移行や受入れが増える中、少しでもその方らしく最期を迎えていただきたいという思いから、ユニットにおける終末期フローチャートを作成した。ご本人やご家族へのアドバンス・ケア・プランニングを実施し、歩んできた人生や想いを知ることで、より良い終末期ケアへの取り組みを行った
「はじめに」
あい介護老人保健施設(以下、当施設)ではショートステイや入所をご利用の間に全身状態の悪化等が見られた場合には、終末期審議会を開催し終末期に移行する場合がある。2022年度は48件、2023年度は50件と当施設においての看取りも増えている状況である。その中でアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)の取り組みは行っていたが、行うタイミングやその方の人柄や今までの人生や価値観など背景をどう聞き取ればよいかわからなかった。また、業務優先となっており職員の意識の低さが課題となっていた。そこで、ユニットにおける終末期のフローチャートを作成した。現状の対応を見直し、その方らしく最期を迎えていただけるような体制づくりを行ったので報告する。
「方法」
【職員の意識を高めるための取り組み】
(1)ユニット会議において、フローチャート作成に至る経緯と一連の流れについての説明を行う。また、関係する職種に全体回覧を行った。
(2)フローチャートをステーション内に掲示し見える化した。
(3)近隣施設の終末期対応に関する伝達講習に参加し、ユニット会議において共有した。
【ユニットとしての体制づくりの取り組み】
(1)終末期フローチャートの作成
入所後、2週間を目安にACPの聞き取りを行い初回のケアプラン立案に聞き取り内容を反映する。また、入所後から終末期への移行、終末期移行から看取りまでの体制づくりを行う。ACPの聞き取りはご本人に行うが、ご本人への聞き取りが困難な場合はご家族に対して行い、聞き取った内容は関係する職種に内容を共有することで何ができるか・どんなことをしてあげたいか等の意見を聴取する。また、看取り後には振り返りを行い、意見の共有と集約を行うこととした。振り返り結果は全体回覧での共有と書面でまとめ、毎週行われるカンファレンスで報告を行った。
(2)ACP聞き取りシートの見直し
現行の内容の見直し、重複箇所の削除と、よりその方の人生に寄り添うために以下の3つの質問項目を加えることとした。
(1)あなたの今までの生活について教えてください。(生活歴について)
(2)自分のことを何と呼んでもらいたいですか?(特別な呼び方があれば)
(3)これだけは悔いのないようにやっておきたいことは何ですか?
「結果」
ユニットにおけるフローチャートを作成したことで良かった点として、ACPを通しご本人やご家族の想いを各職種間で共有し、様々な意見を通してケアが実践できた。また、その方らしくご家族との思い出の写真やお孫さんが描いた絵を掲示するなどの居室環境の提供や、好きなことや好きな音楽の提供などの生活の刺激の提供、訪室機会を増やすことでの状態観察やボディータッチ・声かけの実施や刺激確保のため入浴以外にも離床時間を確保した。終末期だから特別ではなく、今までと変わらない生活の提供を心掛け、ACPの聞き取りはお元気である早期から実施し、雑談の中から想いを聞いたり状態変化に応じて意思の確認を行うなど、職員の終末期ケアに対する意識の変化も見られた。振り返りを定着させたことにより、職員一人ひとりの想いや各職種間での異なる想いや対応を通して良かった点の共有や悔い・反省点を今後の対応に活かすことに繋がった。また、積極的にACPを行うことで、ご本人とご家族の想いであった在宅復帰を叶えることができたケースもあった。短い時間ではあったが住み慣れたご自宅でご家族との時間を過ごし、最期を迎えることができたケースであった。
今後も確立された終末期の対応を継続していくことが重要であると考える。その方らしさを知るために日頃からコミュにケーションを取り、その中から知り得た想いや情報をしっかりと共有することを継続していきたい。また、会議等における意見交換であったり研修への参加や近隣施設などとの情報交換を実施し、さらに質の高い終末期ケアの提供を目指していきたいと思う。その結果、利用したいと選ばれる施設づくりに繋げていきたい。
「まとめ」
終末期の対応の課題として、ご家族が終末期への移行を受け入れられないケースや、急激な状態変化によりご本人の想いを聞くことができないケースも出てくるであろうと考える。ご本人の意思表示が難しい時にその方の想いを汲むことができるのは身近にいるご家族である。だからこそお元気なうちにご家族も交えてACPの聞き取りを行い、その結果を職員間で共有していくことが不可欠だと感じた。最後に、今後もその方の歩んできた人生に寄り添い、その方らしく最期を迎えていただけるよう支援にあたっていきたい。
あい介護老人保健施設(以下、当施設)ではショートステイや入所をご利用の間に全身状態の悪化等が見られた場合には、終末期審議会を開催し終末期に移行する場合がある。2022年度は48件、2023年度は50件と当施設においての看取りも増えている状況である。その中でアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)の取り組みは行っていたが、行うタイミングやその方の人柄や今までの人生や価値観など背景をどう聞き取ればよいかわからなかった。また、業務優先となっており職員の意識の低さが課題となっていた。そこで、ユニットにおける終末期のフローチャートを作成した。現状の対応を見直し、その方らしく最期を迎えていただけるような体制づくりを行ったので報告する。
「方法」
【職員の意識を高めるための取り組み】
(1)ユニット会議において、フローチャート作成に至る経緯と一連の流れについての説明を行う。また、関係する職種に全体回覧を行った。
(2)フローチャートをステーション内に掲示し見える化した。
(3)近隣施設の終末期対応に関する伝達講習に参加し、ユニット会議において共有した。
【ユニットとしての体制づくりの取り組み】
(1)終末期フローチャートの作成
入所後、2週間を目安にACPの聞き取りを行い初回のケアプラン立案に聞き取り内容を反映する。また、入所後から終末期への移行、終末期移行から看取りまでの体制づくりを行う。ACPの聞き取りはご本人に行うが、ご本人への聞き取りが困難な場合はご家族に対して行い、聞き取った内容は関係する職種に内容を共有することで何ができるか・どんなことをしてあげたいか等の意見を聴取する。また、看取り後には振り返りを行い、意見の共有と集約を行うこととした。振り返り結果は全体回覧での共有と書面でまとめ、毎週行われるカンファレンスで報告を行った。
(2)ACP聞き取りシートの見直し
現行の内容の見直し、重複箇所の削除と、よりその方の人生に寄り添うために以下の3つの質問項目を加えることとした。
(1)あなたの今までの生活について教えてください。(生活歴について)
(2)自分のことを何と呼んでもらいたいですか?(特別な呼び方があれば)
(3)これだけは悔いのないようにやっておきたいことは何ですか?
「結果」
ユニットにおけるフローチャートを作成したことで良かった点として、ACPを通しご本人やご家族の想いを各職種間で共有し、様々な意見を通してケアが実践できた。また、その方らしくご家族との思い出の写真やお孫さんが描いた絵を掲示するなどの居室環境の提供や、好きなことや好きな音楽の提供などの生活の刺激の提供、訪室機会を増やすことでの状態観察やボディータッチ・声かけの実施や刺激確保のため入浴以外にも離床時間を確保した。終末期だから特別ではなく、今までと変わらない生活の提供を心掛け、ACPの聞き取りはお元気である早期から実施し、雑談の中から想いを聞いたり状態変化に応じて意思の確認を行うなど、職員の終末期ケアに対する意識の変化も見られた。振り返りを定着させたことにより、職員一人ひとりの想いや各職種間での異なる想いや対応を通して良かった点の共有や悔い・反省点を今後の対応に活かすことに繋がった。また、積極的にACPを行うことで、ご本人とご家族の想いであった在宅復帰を叶えることができたケースもあった。短い時間ではあったが住み慣れたご自宅でご家族との時間を過ごし、最期を迎えることができたケースであった。
今後も確立された終末期の対応を継続していくことが重要であると考える。その方らしさを知るために日頃からコミュにケーションを取り、その中から知り得た想いや情報をしっかりと共有することを継続していきたい。また、会議等における意見交換であったり研修への参加や近隣施設などとの情報交換を実施し、さらに質の高い終末期ケアの提供を目指していきたいと思う。その結果、利用したいと選ばれる施設づくりに繋げていきたい。
「まとめ」
終末期の対応の課題として、ご家族が終末期への移行を受け入れられないケースや、急激な状態変化によりご本人の想いを聞くことができないケースも出てくるであろうと考える。ご本人の意思表示が難しい時にその方の想いを汲むことができるのは身近にいるご家族である。だからこそお元気なうちにご家族も交えてACPの聞き取りを行い、その結果を職員間で共有していくことが不可欠だと感じた。最後に、今後もその方の歩んできた人生に寄り添い、その方らしく最期を迎えていただけるよう支援にあたっていきたい。