講演情報

[15-O-A013-08]Silent~あなたが私たちに教えてくれたこと~

*佐藤 翔真1 (1. 宮崎県 介護老人保健施設 サンヒルきよたけ、2. 社会医療法人耕和会 介護老人保健施設 サンヒルきよたけ)
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手話の勉強会の開催を行い、利用者との関係を構築することができた。A氏への介護ケアを行う上で最低限の必要な手話は習得しないといけないが、職員全員に周知できていない課題もあった。障がいのある利用者を自信もって受け入れる体制を作っていきたい。手話の関心を高めたことでのA氏との関わりはお互いに自信もって関われることに繋げることができたと思う。今後も知識と技術向上を図り、取り組んでいきたいと思う。
<B>【はじめに】<B>介護福祉士として働く上で利用者の不安感や寂しさを解消するために何かできないかと考えることが多い。特にコミュニケーションが上手く図ることができない場面では特に考える。今回、主介護者の夫の入院に伴う介護力低下により当施設入所された「ろう者」の利用者の方に関わった事例について報告する。<B>【事例紹介】<B>A氏 80歳代女性 要介護3診断名:高度聴覚障害 慢性心不全日常生活自立度:B1屋内移動:車椅子自走家族構成:夫と二人暮らし(県外に娘がいる)<B>【経過】<B>短期入所療養介護(以下、ショートステイ)にて当施設を定期的に利用されており、主介護者の夫の入院に伴う介護力低下により当施設入所された。ショートステイ利用時は、文字盤やタブレット、指文字や読話等で何とかコミュニケーションを図っていたが、A氏の気持ちが十分に伝わらず不安や寂しい思いをしており、帰宅願望が聞かれていた。また、職員全員が、ろう者の利用者の対応をしたことがなく不安感があった。入所後、簡単な挨拶程度の手話は可能であったがA氏の思いを十分に組み取れずコミュニケーション不足となっていた。施設活動を通して他者との交流の機会をもつことができないか。A氏が伝えたいことを理解することができないかと思い、担当のリハビリスタッフと一緒に支援相談員へ相談を行った。支援相談員よりA氏を担当していた地域の手話通訳士の方を紹介して頂き、施設内で手話の勉強会を開催して頂いた。勉強会の様子は動画を撮影し職員全員が視聴できるようにした。また日常でよく使う手話が示されている勉強会資料をいつでも見られるように申し送り用ファイルに綴じている。勉強会を通して手話に対する知識が深まり、積極的にA氏とコミュニケーションを図るようになった。以前に比べて伝えたいことを理解できるようになり、A氏からの要望に応える事が出来た際、OKとハンドサインされ、笑顔も見られるようになった。手話で会話を行うことでA氏の思いを少しずつ組み取ることが出来るようになり、不安感や寂しさは少しずつ軽減されていった。現在は帰宅願望もなく笑顔も多くみられており、もっと手話を覚えてほしいなど要望も聞かれている。職員も手話に対する関心が、強まったと感じている。<B>【考察・まとめ】<B>今回、手話の勉強会の開催を行い、職員へ関心を高めたことでコミュニケーションをとることができ、利用者との関係を構築することができた。手話は私たちが日常生活で使っている動作も多く取り入れられていて決して難しいものではないことを知ることができた。A氏への介護ケアを行う上で最低限の必要な手話は習得しないといけないと思うが、職員全員に周知できていない課題もあった。今後も知識を増やし、障がいのある利用者を自信もって受け入れる体制を作っていきたい。そのために、今後も手話通訳士の方と連携し定期的な勉強会の開催や情報共有をしていきたいと考える。利用者と関わる上でコミュニケーションは大切なものであると考える。手話の関心を高めたことでのA氏との関わりはお互いに自信もって関われることに繋げることができたと思う。今後も利用者の思いをしっかりと組み取れるようまた職員の思いも伝えられるよう、知識と技術向上を図り、取り組んでいきたいと思う。