講演情報
[15-O-A016-01]COVID-19クラスターの情報共有に関する振り返り
*臼井 かおり1、杉岡 美穂1、大江 美咲1、大塚 一平1、立岩 沙夏1 (1. 岐阜県 介護老人保健施設寺田ガーデン)
2度生じたCOVID-19クラスターの感染対策の情報共有について、クラスター収束後に職員にアンケート調査と、リーダー介護職と看護職計5名で振り返りを行った。2度目のクラスターは、1度目の振り返りを活かして、通常より申し送りを3回増やし、感染者の居室と感染日を記載した一覧表を全員に配布し、居室前にも感染者を周知する方法を行った。その結果、全員が自立して感染対策ができるようになり、振り返りは効果的であった。
【はじめに】
長期化するCOVID-19(以下、コロナ)の感染により、現在も高齢者施設においてクラスターが発生しており、感染対策が今も継続されている。当施設もクラスターが度々生じ、その都度対応してきたが、スタッフ間の情報共有があまりなされていなかった。
令和5年8月にコロナのクラスターが発生した。通常の申し送りのタイミングは、夜勤から日勤、日勤から夜勤の2回であった。しかし、申し送りの機会を増やしてタイムリーな情報が欲しいと現場からの要望があり、クラスター中は夜勤の申し送り後と昼食前、午後は昼食後も行い、的確な感染対策ができたという声が聞かれた。クラスター収束後、感染状況の情報共有について、介護職と看護職で振り返りを行った。さらに、翌年の2月に再度クラスターが発生した際に、前回の振り返りの結果を活かした情報共有方法を実践し、収束後に同様の振り返りを行う機会を得たため、報告する。
【目的】
令和5年8月と令和6年2月に生じたコロナのクラスターの感染状況の情報共有の方法について、リーダー介護職と看護職が振り返りを行い、その効果を明らかにする。
【方法】
調査対象者;感染対策を実践した看護職・介護職 一次調査24名、二次調査26名
調査の時期;一次調査 令和5年12月、二次調査 令和6年6月
振り返りの方法;リーダー介護職3名と看護職2名が、質問紙調査の結果をもとに行う。
調査内容とデータ収集方法;
一次調査:無記名による質問紙調査。質問項目は(1)感染対策において看護職または介護職に必要な情報、(2)申し送りのタイミングについて、(3)情報共有の実践で良かったことと課題について、自由記載で回答を求めた。その結果をもとに振り返りを行う。
二次調査:一次調査の振り返りの結果から、無記名による質問紙調査、1)感染状況がわかる感染者の居室と感染日を記載した一覧表(以下、一覧表)の配布によりケアがやりやすくなったか、2)一覧表に感染した日を記載することにより隔離解除日の目安がわかりやすくなったか、3)レッドゾーン(以下、レッド)の利用者の状況が十分に伝わっていたか、4)グリーンゾーン(以下、グリーン)の利用者の状況が十分に伝わっていたか、5)レッドの利用者のケア内容は十分に伝わっていたか、6)グリーンの利用者の状況が十分に伝わっていたか、7)看護師の申し送りにより感染や治療を行うことによって予測されるポイントがわかったか、8)介護リーダーの指示により自分が何をするべきかがわかったか、9)看護リーダーの指示により自分が何をするべきかがわかったか、10)介護職と看護職が協働することができたか、以上の質問に対して、そう思う、ややそう思う、あまり思わない、思わない、の4件法で回答を求めた。更に、感染対策の情報共有の実践で良かったこと、今後の課題については自由記載を求めた。その結果をもとに振り返りを行った。一次調査、二次調査ともに、語りはICレコーダーに録音し、逐語録に起こした。
分析方法;質問紙調査の自由記載と振り返りの内容は、感染の情報共有に関するコメントを抜き出し、分類・整理をした。4件法は単純集計を行った。
【倫理的配慮】
調査対象者に対し、アンケート調査はいつ辞退しても不利益はないこと、提出により調査に同意したとみなすことを文書に記載した。個人が特定されないように全体で処理をした。
【結果】
一次調査の結果、質問紙調査は24名配布し、16名の回答があった(回収率67%)
質問紙調査の結果より、『申し送りの時間を増やしたことで感染状況が理解できた』、『ステーションに掲示されている一覧表を、誰がレッドなのか何度も見に行っていた』、『いつまで感染対策を行うのか不安だった』という意見があった。
振り返りにより、一覧表を更新したものを、ステーションに掲示するだけではなく、職員全員に配布してはどうかという意見があった。介護職より、2人部屋で片方が感染者、片方は濃厚接触者の場合の感染対策が曖昧であり、現場が混乱していたという意見があったため、感染状況を更新した一覧表を配布した。
二次調査の結果、質問紙調査は26名配布し、24名の回答があった(回収率92%)。
質問紙調査の結果は、1)一覧表の配布によりケアがやりやすくなったか(そう思う71%、ややそう思う21%)、2) 一覧表に感染した日を記載することにより隔離解除日の目安がわかりやすくなったか(そう思う54%、ややそう思う33%)であった。
振り返りにより、一覧表を配布したことで、ステーションまで見に行かなくてもレッドとグリーンが分かり、隔離解除日の目安により不安が軽減したと評価した。介護リーダーより、居室のネームプレートに赤(感染者)と黄色(濃厚接触者)のビニールテープを貼っていたと報告があり、さらに個別に表記する方法により感染者を把握していたことが分かった。
【考察】
感染対策の基本は、「持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」ことである。「拡げない」ための行動レベルに落とし込むには、申し送りのタイミングを増やし、手元に一覧表を配布し、更に居室の前に色を付けて見える化した。それにより、職員全員が感染状況を把握することができ、感染対策の行動に繋がった。
【結論】
全員でコロナの感染対策ができるようにするためには、介護職と看護職が一緒に情報共有の方法について振り返りを行うことは効果的であった。
長期化するCOVID-19(以下、コロナ)の感染により、現在も高齢者施設においてクラスターが発生しており、感染対策が今も継続されている。当施設もクラスターが度々生じ、その都度対応してきたが、スタッフ間の情報共有があまりなされていなかった。
令和5年8月にコロナのクラスターが発生した。通常の申し送りのタイミングは、夜勤から日勤、日勤から夜勤の2回であった。しかし、申し送りの機会を増やしてタイムリーな情報が欲しいと現場からの要望があり、クラスター中は夜勤の申し送り後と昼食前、午後は昼食後も行い、的確な感染対策ができたという声が聞かれた。クラスター収束後、感染状況の情報共有について、介護職と看護職で振り返りを行った。さらに、翌年の2月に再度クラスターが発生した際に、前回の振り返りの結果を活かした情報共有方法を実践し、収束後に同様の振り返りを行う機会を得たため、報告する。
【目的】
令和5年8月と令和6年2月に生じたコロナのクラスターの感染状況の情報共有の方法について、リーダー介護職と看護職が振り返りを行い、その効果を明らかにする。
【方法】
調査対象者;感染対策を実践した看護職・介護職 一次調査24名、二次調査26名
調査の時期;一次調査 令和5年12月、二次調査 令和6年6月
振り返りの方法;リーダー介護職3名と看護職2名が、質問紙調査の結果をもとに行う。
調査内容とデータ収集方法;
一次調査:無記名による質問紙調査。質問項目は(1)感染対策において看護職または介護職に必要な情報、(2)申し送りのタイミングについて、(3)情報共有の実践で良かったことと課題について、自由記載で回答を求めた。その結果をもとに振り返りを行う。
二次調査:一次調査の振り返りの結果から、無記名による質問紙調査、1)感染状況がわかる感染者の居室と感染日を記載した一覧表(以下、一覧表)の配布によりケアがやりやすくなったか、2)一覧表に感染した日を記載することにより隔離解除日の目安がわかりやすくなったか、3)レッドゾーン(以下、レッド)の利用者の状況が十分に伝わっていたか、4)グリーンゾーン(以下、グリーン)の利用者の状況が十分に伝わっていたか、5)レッドの利用者のケア内容は十分に伝わっていたか、6)グリーンの利用者の状況が十分に伝わっていたか、7)看護師の申し送りにより感染や治療を行うことによって予測されるポイントがわかったか、8)介護リーダーの指示により自分が何をするべきかがわかったか、9)看護リーダーの指示により自分が何をするべきかがわかったか、10)介護職と看護職が協働することができたか、以上の質問に対して、そう思う、ややそう思う、あまり思わない、思わない、の4件法で回答を求めた。更に、感染対策の情報共有の実践で良かったこと、今後の課題については自由記載を求めた。その結果をもとに振り返りを行った。一次調査、二次調査ともに、語りはICレコーダーに録音し、逐語録に起こした。
分析方法;質問紙調査の自由記載と振り返りの内容は、感染の情報共有に関するコメントを抜き出し、分類・整理をした。4件法は単純集計を行った。
【倫理的配慮】
調査対象者に対し、アンケート調査はいつ辞退しても不利益はないこと、提出により調査に同意したとみなすことを文書に記載した。個人が特定されないように全体で処理をした。
【結果】
一次調査の結果、質問紙調査は24名配布し、16名の回答があった(回収率67%)
質問紙調査の結果より、『申し送りの時間を増やしたことで感染状況が理解できた』、『ステーションに掲示されている一覧表を、誰がレッドなのか何度も見に行っていた』、『いつまで感染対策を行うのか不安だった』という意見があった。
振り返りにより、一覧表を更新したものを、ステーションに掲示するだけではなく、職員全員に配布してはどうかという意見があった。介護職より、2人部屋で片方が感染者、片方は濃厚接触者の場合の感染対策が曖昧であり、現場が混乱していたという意見があったため、感染状況を更新した一覧表を配布した。
二次調査の結果、質問紙調査は26名配布し、24名の回答があった(回収率92%)。
質問紙調査の結果は、1)一覧表の配布によりケアがやりやすくなったか(そう思う71%、ややそう思う21%)、2) 一覧表に感染した日を記載することにより隔離解除日の目安がわかりやすくなったか(そう思う54%、ややそう思う33%)であった。
振り返りにより、一覧表を配布したことで、ステーションまで見に行かなくてもレッドとグリーンが分かり、隔離解除日の目安により不安が軽減したと評価した。介護リーダーより、居室のネームプレートに赤(感染者)と黄色(濃厚接触者)のビニールテープを貼っていたと報告があり、さらに個別に表記する方法により感染者を把握していたことが分かった。
【考察】
感染対策の基本は、「持ち込まない」「持ち出さない」「拡げない」ことである。「拡げない」ための行動レベルに落とし込むには、申し送りのタイミングを増やし、手元に一覧表を配布し、更に居室の前に色を付けて見える化した。それにより、職員全員が感染状況を把握することができ、感染対策の行動に繋がった。
【結論】
全員でコロナの感染対策ができるようにするためには、介護職と看護職が一緒に情報共有の方法について振り返りを行うことは効果的であった。