講演情報

[15-O-H002-03]オムツパッドの性能を最大限活用した排泄ケアの取組み

*徳光 雅之1、磯 朝海1 (1. 石川県 金沢春日ケアセンター)
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介護職人材が不足する中、ケアの質を維持しながら職員の負担軽減と業務の効率化を図る目的で実施したオムツパッドの性能を最大限活かした取り組みを紹介する。利用者個々の尿量に合わせた吸収量のオムツパッドを選定し、パッドの吸収量を十分活用しながら、夜間交換回数を減らすことに成功、利用者の良眠を確保すると共に、適正なオムツを使用することで皮膚トラブルを起こすことなく、経費削減にも繋がった。
「はじめに」 加齢に伴い排泄機能の低下や排泄動作の障害が起こりやすく、介護職員による排泄援助が必要になってくる。利用者の排泄行為、パターンを把握して利用者に合った排泄用具を選択しているがオムツの場合その種類は一度決めたら中々見直しが図られず、また尿漏れを心配して大きめのパッドを使用することが常態化していた。そのため吸収可能量を満たさずに捨てられるパッドが増えている現状だった。適切な排泄用具が使用されないと使い心地や皮膚トラブルの原因ともなり、また無駄なコストの要因にもなることに気づき個々人にあったパッドの選択が利用者の生活の質を高め更に職員の業務負担の軽減につながるのではないかと考えて取り組んだ。「目的」 オムツを着用している利用者の排尿行為、パターンと排尿量を把握し、吸収量を最大限生かせる適切なオムツパッドを使用することで適切な時間にトイレ誘導を促すことができ利用者のADL能力の維持、改善を図ると共にオムツパッドのコスト削減につなげる。 長時間使用でも皮膚トラブルを軽減できるオムツパッドの特性を生かしてオムツ交換の回数の見直しを行い、利用者への良眠の提供や職員の業務軽減を図る。 「方法」 取り組み期間 R5年5月~R6年3月 1.オムツ交換表の改善  交換表に排尿量を記入して職員が排尿量をわかるようにして情報の共有を図る 2.排尿量に合ったオムツパッドの選択を行い一覧表にしてオムツカートに明示する 3.利用者の排泄行為、ADLを見極めて自立に向けて介入する。「結果」 1.オムツ使用者は常に13人前後おり、これら対象者の排尿時間、排尿量を記録に残した。記録を見ればその利用者の排尿パターンも明確になり、早めのトイレ誘導もできるようになった。また、排尿量と使用しているオムツパッドとの不適合も明確になった。2.オムツ交換表で明らかになった排尿量をふまえて適正なオムツとパッドを決めた。全員が今までよりも小さいサイズでのオムツパッドに変更可能であった。決定したオムツとオムツパッドは一覧表にしてオムツカートに常備した。以前は職員個々の判断でオムツパッドを選択しており、失禁を心配してより大きめのパッドを選ぶ傾向があったが、現在は統一して使用できるようになった。3.オムツパッドの選択や本人の意欲、適切なトイレ誘導により、日中は一部介助のトイレ排泄、夜間オムツ対応であった利用者が日中はトイレ自立、夜間もポータブルトイレ自立へとなった事例もあった。また、褥瘡治療のために尿道バルンカテーテルを一時的に挿入していた方のバルン抜去後のオムツ対応についても皆で検討を行った。元々一回排尿量が多く且つ寝たきりで拘縮が強ため二人介助でのオムツ交換が必要であった。夜間職員数が少なくなるため二人での介助が中々できないため、使用するオムツパッドを夜間は吸収量の多いタイプにして交換時間を見直して対応したが、褥瘡の再発もなく経過している。「考察」今回のオムツパッドの見直しは、利用者の方々の排尿行為や排尿パターン、排尿量をしっかりと把握できる機会となった。早めのトイレ誘導や適切なパッドの選択は利用者の排泄行為の自立心にも影響すると感じた。また、経験の浅い職員もパッドの選択に悩まなくてもよくなり統一したケアの提供が出来るようになった。長時間対応できるオムツパッドは先の事例以外にも夜間オムツ交換で覚醒してしまう利用者にも使用することで睡眠の中断を避けることができ、良眠を提供できるようになった。またそのことで我々職員の業務負担の軽減につながった。コストについては、前年比で5%程度の削減となりオムツパッドの見直しは副次的な効果も得られた。これからも利用者個々のADLや排泄行為の変化等にあわせて適切なオムツの選定を行っていきたい。