講演情報

[15-O-H002-05]パッドの改良で利用者と職員の“ゆとり”の創出

*内田 哲也1 (1. 愛知県 老人保健施設かいこう)
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正しい排泄ケアを行っているつもりが、利用者・職員にとって負担となっていた。ユニ・チャームの改良されたパッドを導入しトイレ誘導パッド交換を、見直すことで誘導・パッド回数の削除に繋がり、利用者の負担・職員にとって身体的“ゆとり”の創出につながり笑顔が増えた。
【はじめに】 当施設ではオムツ・パッドの使用メーカーとしてユニ・チャームを採用している。メーカー主催の勉強会を定期的に開催。2023年8月にユニ・チャームのパッドの改良により吸収量が向上したとの事で、以前からの課題であった排泄ケア業務の見直しに着手する。その結果、排泄ケアの改善のみならず様々な業務改善にも繋がり“ゆとり”ある生活を創出できた事をここに報告する。【排泄ケアに対する課題】(1)日中の排泄ケア回数が多くの利用者と接する時間が少ない。(2)夜間の交換による睡眠の阻害。【対象者】オムツ・パッドを使用する利用者全員【調査期間】 2023年9月11日~28日(18日間)【検証方法】(検証前)当施設では2種類のパッドを採用。外もれ安心さらさらパッド(以下中パッド) 長時間安心さらさらパッド(以下夜用パッド)を使用していた。改良前の吸収量は 中パッド550ml 夜用パッド650ml6時~19時・中パッド使用、19時~6時・夜用パッド使用していた。(1)全日オムツの方は9時14時19時23時3時、計5回のオムツ交換を行っていた。(2)トイレ誘導の必要な方は日中2~3時間おき、計6回のトイレ誘導を行い夜間はオムツを着用していた。(検証)パッド類の改良に伴い、パッドを3種類に増やし夜用パッドを一晩中安心さらさらパッドウルトラ(以下夜用パッドウルトラ)に変更した。改良後の吸収量は中パッド600ml夜用パッドウルトラ900ml。改良前の夜用パッドと改良後の中パッドでは、夜用パッドと吸収量に大きな差がないため、日中・夜間共に中パッドを使用することで統一。(1)オムツ交換を3時9時19時、3回に変更。排便は個人差があり、巡視・体位交換時に排便の有無の確認し、その都度交換を行なう事とした。(2)トイレ誘導を6時間おき3回とし夜間はオムツを着用せずリハビリパンツと中パッドを使用。以上を変更し対象者に1週間尿量測定・失禁の有無に関しては衣類やオムツ・リハビリパンツ内の汚染状況を尿量と共に尿測表に記録した。(追加検証)尿量が多く失禁される方には夜用パッドウルトラに変更し再度1週間尿測を記録。測定中尿量が夜用パッドウルトラの吸収量を超えしまう利用者には、尿測表を基に中パッド使用とし交換回数2回追加し記録した。【検証結果】オムツ・パッド交換回数が1日2回程度減少させることに成功し夜間のオムツ使用が減少。夜間パッド交換回数を1回に削減し“ゆとり”ある睡眠時間(8時間)が確保された。トイレ誘導の回数が減り不必要なパッド交換が減少した為、職員の負担が減り時間と気持ちに”ゆとり”が出来た。【考察】検証前は、介護職員として回数を多くパッド交換をすることで利用者の不快を取り除き清潔を保つ良い排泄介助だと考えていた。しかし今回の検証を実施することで、不必要なパッド交換は利用者の睡眠の妨げや何度も交換を行うことで身体的負担が発生していること。また職員の排泄介助を手早く安楽に行わなければならないという精神的負担、介助を行う身体的負担が発生していたことを改めて認識することが出来た。身体的負担の軽減を図る為には職員の統一した介助方法が重要であることにも気付かされ現在は、ユニ・チャーム主催の学習会に積極的に参加し技術向上に努める職員が増えた。そのため職員の意識が変わり利用者の小さな変化に気付く“ゆとり”が出来たと考える。【結論】今回の検証により利用者の睡眠阻害の要因を取り除き質の良い睡眠時間の確保が出来た。それにより日中の覚醒状況も良くなり、職員と関わりを持ちながら生活リハビリを行うことが出来るようになった。また利用者の笑顔も増え、利用者・職員共に“ゆとり”ある生活の創出に繋げる事が出来た。