講演情報
[15-O-H003-03]高齢者施設における排便コントロールの取り組み
*久保田 公子1、小松 千裕1 (1. 静岡県 坂の上ろうけん曳馬野)
老人保健施設では、複数の基礎疾患を持ち便秘の状態にある高齢の利用者が多数存在する。便秘は、意欲の低下や不眠、夜間せん妄等の症状と関連があると疑われる。今回 うんこ文化センター おまかせうんチッチが主催する「POO マスター養成研修会」より気持ちよく排便するためのケア方法について学び、その手法をとりいれることで、利用者の経過が改善し、QOLの改善にも繋がった為報告する。
【はじめに】
高齢者は、年齢とともに腸の機能低下、腹圧等の低下に伴い2~3日排便がない事も多くみられる。高齢者施設では便が2~3日排出されない場合は、下剤の服用や摘便など何らかの処置を行っている事がほとんどである。腸は第二の脳と言われており、便秘は認知症と無関係ではない (1)と言われている。また、腸内環境が悪くなると、セロトニンやドーパミンを効率よく作れなくなってしまい、イライラしたり、うつ病になってしまう人もでてくる(2)と言われている。日常業務を行っていると下剤使用時に生じる不快感や、残便感と不眠や夜間せん妄は関連しているのでは?と感じる場面を多く見かける。
今回「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」というセミナーより排便コントールの手法に出会い、当施設で排泄コントロールに取り組んだ実践計画を報告する。
【目的】
高齢者の排便コントロールに「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」の導入をすることでコントロールの実際を確認し効果を振り返る。
「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」:ブリストールスケール(以下BSS)、排便量、排泄時間、本人の状態、下剤使用量等をグラフにまとめ、7~10日間単位で評価し対策を変更する。
【実践の経過】
Aさん(70歳代):病名 アテローム血栓性脳梗塞 左半身麻痺 認知症自立度1
入所時 週3~4回の排便状態であり、酸化マグネシウム500mg3錠/日と1日おきのセンノシド1錠内服をしていたが、便性状もBSS2~3の状態であった。また全身に薬剤性と見られる発赤疹と強い掻痒感有り。令和5年6月うんチッチの分析開始。 DLSTの結果、酸化マグネシウムなど多数の薬剤に陽性反応あり。薬剤変更とリハビリによる排便姿勢、腹部マッサージ等を試み、10ヶ月後にはピコスルファートナトリウム25滴/日のみで、本人の希望通りほぼ毎日スッキリとした排便が出るようになった。
Bさん(80歳代):病名 認知症 認知症日常生活自立度3a 当老健入所 令和3年5月 入所時の下剤内服は、ルビプロストンカプセル24μg2Cap/日のみであった。 その後、強い便秘傾向と認知症の為に自分の症状を申告できない事等により、下剤量は徐々に増えていき、令和4年6月にはルビプロストンカプセル24μg2Cap/日 酸化マグネシウム330mg3錠/日 センノシド1錠/日 ピコスルファートナトリウム4滴/日を毎日内服、それでも排便が出ないことが多く、マイナス3日で座薬 マイナス4日でGE60mlの排便コントロールを実施していた。便意を訴えられず、息むことも困難な状況、定期的な排便はなく、深夜徘徊される事が多く、今までの長い期間で徐々に増量した大量の下剤使用で排便の性状も量もバラバラでBSS7の便を失禁の形で排泄していた。令和5年4月うんチッチ分析開始。排便時間、量、性状、本人の行動を記録に取り、内服しても排便と連動していないと思われる内服薬を一つ一つ中止していき、老健でできる範囲の食事の変更ではあったが、栄養士の関わりもあり、6ヶ月後には、頓用のピコスルファートナトリウムと頓用の座薬のみで定期的なトイレでの排便に繋げる事ができた。
考察後日行った介護士のアンケートより 「うんチッチ開始前と現在とどう変化したのか分からない。」との感想も約半数寄せられたが、「排便の間隔が整ってきたように感じる。」「便の形が出てきた。」「不穏行動の原因は便意だけではない、他にもあるのではと考えるようになった。」等の意見が聞かれた。
令和5年6月までは、便秘になって本人が辛いのではないかと看護師が判断し、排便マイナス3日で下剤の内服、マイナス5日で坐薬の処置をルーテインとして行っていた。
しかし、今回の試みで本人の排便のタイミング・感情表現を看護師、介護士全員で見守り、記録し、分析した結果、下剤の内服使用量を減らし、不穏行動の減少や快適な排便に繋がることができた症例であったと判断している。
また、入所者全数の排便状況を見直したことで、当老健での下剤購入金額が、うんチッチ開始前6ヶ月と、うんチッチ開始1年後の6ヶ月とでは約30%減にも繋がっている。
【結論】
令和3年度よりLIFEが導入され、当老健でも排泄支援加算を開始当初から導入をしている。
入所者一人一人個別の排泄計画を作成するツールを探した結果、令和5年6月よりこの手法を取り入れリハビリ、ケアマネ等老健全職種に説明し、観察・計画立案・評価を行っている。
今後も「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」:排便・排便のアセスメント、排便チェック表を活用する事で入所者毎の排便のパターン、便の性状が見えその人に合った排便方法を確立することで、利用者様の快適な生活環境作り関与できればと思っている。
高齢者は、年齢とともに腸の機能低下、腹圧等の低下に伴い2~3日排便がない事も多くみられる。高齢者施設では便が2~3日排出されない場合は、下剤の服用や摘便など何らかの処置を行っている事がほとんどである。腸は第二の脳と言われており、便秘は認知症と無関係ではない (1)と言われている。また、腸内環境が悪くなると、セロトニンやドーパミンを効率よく作れなくなってしまい、イライラしたり、うつ病になってしまう人もでてくる(2)と言われている。日常業務を行っていると下剤使用時に生じる不快感や、残便感と不眠や夜間せん妄は関連しているのでは?と感じる場面を多く見かける。
今回「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」というセミナーより排便コントールの手法に出会い、当施設で排泄コントロールに取り組んだ実践計画を報告する。
【目的】
高齢者の排便コントロールに「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」の導入をすることでコントロールの実際を確認し効果を振り返る。
「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」:ブリストールスケール(以下BSS)、排便量、排泄時間、本人の状態、下剤使用量等をグラフにまとめ、7~10日間単位で評価し対策を変更する。
【実践の経過】
Aさん(70歳代):病名 アテローム血栓性脳梗塞 左半身麻痺 認知症自立度1
入所時 週3~4回の排便状態であり、酸化マグネシウム500mg3錠/日と1日おきのセンノシド1錠内服をしていたが、便性状もBSS2~3の状態であった。また全身に薬剤性と見られる発赤疹と強い掻痒感有り。令和5年6月うんチッチの分析開始。 DLSTの結果、酸化マグネシウムなど多数の薬剤に陽性反応あり。薬剤変更とリハビリによる排便姿勢、腹部マッサージ等を試み、10ヶ月後にはピコスルファートナトリウム25滴/日のみで、本人の希望通りほぼ毎日スッキリとした排便が出るようになった。
Bさん(80歳代):病名 認知症 認知症日常生活自立度3a 当老健入所 令和3年5月 入所時の下剤内服は、ルビプロストンカプセル24μg2Cap/日のみであった。 その後、強い便秘傾向と認知症の為に自分の症状を申告できない事等により、下剤量は徐々に増えていき、令和4年6月にはルビプロストンカプセル24μg2Cap/日 酸化マグネシウム330mg3錠/日 センノシド1錠/日 ピコスルファートナトリウム4滴/日を毎日内服、それでも排便が出ないことが多く、マイナス3日で座薬 マイナス4日でGE60mlの排便コントロールを実施していた。便意を訴えられず、息むことも困難な状況、定期的な排便はなく、深夜徘徊される事が多く、今までの長い期間で徐々に増量した大量の下剤使用で排便の性状も量もバラバラでBSS7の便を失禁の形で排泄していた。令和5年4月うんチッチ分析開始。排便時間、量、性状、本人の行動を記録に取り、内服しても排便と連動していないと思われる内服薬を一つ一つ中止していき、老健でできる範囲の食事の変更ではあったが、栄養士の関わりもあり、6ヶ月後には、頓用のピコスルファートナトリウムと頓用の座薬のみで定期的なトイレでの排便に繋げる事ができた。
考察後日行った介護士のアンケートより 「うんチッチ開始前と現在とどう変化したのか分からない。」との感想も約半数寄せられたが、「排便の間隔が整ってきたように感じる。」「便の形が出てきた。」「不穏行動の原因は便意だけではない、他にもあるのではと考えるようになった。」等の意見が聞かれた。
令和5年6月までは、便秘になって本人が辛いのではないかと看護師が判断し、排便マイナス3日で下剤の内服、マイナス5日で坐薬の処置をルーテインとして行っていた。
しかし、今回の試みで本人の排便のタイミング・感情表現を看護師、介護士全員で見守り、記録し、分析した結果、下剤の内服使用量を減らし、不穏行動の減少や快適な排便に繋がることができた症例であったと判断している。
また、入所者全数の排便状況を見直したことで、当老健での下剤購入金額が、うんチッチ開始前6ヶ月と、うんチッチ開始1年後の6ヶ月とでは約30%減にも繋がっている。
【結論】
令和3年度よりLIFEが導入され、当老健でも排泄支援加算を開始当初から導入をしている。
入所者一人一人個別の排泄計画を作成するツールを探した結果、令和5年6月よりこの手法を取り入れリハビリ、ケアマネ等老健全職種に説明し、観察・計画立案・評価を行っている。
今後も「うんこ文化センター おまかせうんチッチ」:排便・排便のアセスメント、排便チェック表を活用する事で入所者毎の排便のパターン、便の性状が見えその人に合った排便方法を確立することで、利用者様の快適な生活環境作り関与できればと思っている。