講演情報
[15-O-H004-08]排せつ支援加算(2)算定に向けての取り組み
*田井中 智博1、関 亜希1、古田 もも香1、鈴木 智枝1、田中 紀子1 (1. 滋賀県 介護老人保健施設坂田メディケアセンター)
排せつ支援加算2の算定者数減少という課題があり、課題解決に向けてLIFEのフィードバックデータを活用した取り組みを行った。フィードバックデータの可視化・分析を行い自施設と全国平均を比較・分析し、次に自施設で排泄支援加算のアウトカム加算算定者と自施設の平均を比較し、算定者の特徴を可視化・分析した。その結果、排泄支援加算のアウトカム加算算定者の特徴を把握できたことから今後の加算算定につなげたい。
<はじめに>
当施設は利用者定員130名(内、一般棟50名、認知症棟80名)の超強化型老健である。2021年4月から排泄支援加算についてはプロセスの評価だけでなくアウトカムの評価も新設されたが、プロセスの評価だけで算定可能な排泄支援加算(1)の算定のみにとどまっていた。当施設の2023年度排泄委員会の活動として、排泄支援加算のアウトカム評価に着目し、上位加算の排泄支援加算(2)(3)の算定に向けて、委員会メンバーを中心に取り組み2023年6月から排泄支援加算のアウトカム加算を算定開始した。開始した2023年6月から12月は12~23.9%の利用者に算定できていたが2024年1月から4月は6.1~10%と算定者の割合が減少していた。減少した要因は、老健は在宅復帰施設であるため、排泄状態を改善できた利用者が退所し、再入所した時には改善した状態での入所となり算定できる利用者が減少していると考察する。そこで科学的介護情報システム「LIFE」からの事業所フィードバック票と利用者フィードバック票のデータから排泄状態の改善が見込める利用者の特徴を分析し今後の加算算定に活用していく。今回その取り組んだ結果を報告する。
<取り組み内容>
サービス:介護保険施設サービス
集計時点:事業所フィードバック 科学的介護推進体制加算(2023年10月登録分)
利用者フィードバック 科学的介護推進体制加算(2023年10月登録分)
事業所フィードバック 排せつ支援加算(2023年4月、7月、10月登録分)
上記のフィードバック票を活用し、要介護度、年齢、障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度、ADL、BMI、低栄養状態のリスクレベル、口腔の健康状態、認知症関連(6項目)、排尿の状態、排便の状態、計16項目で当施設と全国平均との違いについて分析し当施設の特徴、サービス改善に向けた課題を考察する。フィードバック票で得られた当施設の特徴と、排泄支援加算のアウトカム加算を算定している利用者を可視化し比較・分析する。
<結果・考察>
自施設と全国平均を比較した結果は、要介護度は自施設と全国平均を比較しても差はなかった。年齢は90歳以上の超高齢者が51%と半数を占め、全国の44%と比較しても多かった。障害高齢者の日常生活自立度は自施設ではC2C1合わせて6.7%、全国はC2C1合わせて 15.5%と大きく下回った。認知症高齢者の日常生活自立度は3a以上が自施設では69.6%と全国の54.3%を大きく上回った、定員130床のうち認知症棟が80床あるためと思われる。ADLは20点以下が自施設41%と全国の34.1%と比較しても多く、85点以上が自施設2.9%と全国平均の8.5%と比較して少なかった。低栄養状態のリスクレベルは低リスクが23.8%と全国の38.6%を大きく下回り、自施設ではリスクレベルの高い利用者が多いことが分かる。口腔の状態は歯が汚れているが17.1%と全国の24.4%を下回ったが、むせやすいが29.5%と全国の22.3%を上回った。認知症関連の項目では「特別な事情がないのに夜中起きだす」は、ほとんどないが18.1%と全国の30.9%を大きく下回った。排尿の状態は2022年10月では全介助が42.3%と全国の36.4を上回っており、全国平均よりも介助量が多い利用者が多いことが分かる。排せつ支援加算のアウトカム評価を算定してからの2023年7月では全介助が40.3%と全国の36.6%と比較すると多いが、少し減少している。更に2023年4月では全介助38.2%と全国の36.8%と差がなくなってきた。排便の状態も2022年10月では全介助が40.8%と全国の36.4%を上回っていたが、2023年10月には37.5%と全国の36.8%と差がなくなってきた。
次に自施設の「排せつ支援加算(2)の算定者」の平均と自施設の平均を比較した結果は、要介護度は要介護度2の利用者が43%と多く自施設の17%を大きく上回った。やはり要介護度が軽い利用者の方が排泄状態を改善できている。年齢は90歳以上が60%と自施設と比較しても多く意外な結果となった。この結果から自施設では90歳以上の超高齢者であっても排せつの状態を改善できていることが分かった。障害高齢者の日常生活自立度はA1A2が自施設を上回り自立度が軽い方が排泄状態を改善できている。認知症高齢者の日常生活自立度は自立度1が自施設を上回り自立度が軽い方が排泄状態を改善できている。ADLは45点以上が自施設と比較して多く、やはりADLの点数が高い方が排泄状態を改善できている。BMIは20-30が40%と自施設を大きく上回り排泄状態を改善できている。低栄養状態のリスクレベルは低リスクが31%と自施設を上回り、やはりリスクの低い方が排泄状態も改善できている。口腔の状態は3項目とも自施設を下回り、口腔の健康状態が良好な方が排泄状態も改善できている。認知症関連の項目は「日常的な物事に関心を示さない」「同じ動作をいつまでも繰り返す」が良好な方が排泄状態も改善できることが分かった。意思疎通は54%と自施設を大きく上回り排泄状態も改善できることが分かった。
<まとめ>
今回の取り組みを行った結果、自施設と全国の平均とを比較することで施設の特徴や利用されている高齢者の特徴を可視化することができ、またどのような利用者が排泄状態の改善が見込めるのかを把握することができた。予想通りADLのレベルが高く認知症の軽度な方が改善できるという結果がでたが、意外にも年齢の影響は少なく、90歳以上の超高齢者であっても改善する利用者が多いことが分かった。 今回得られた結果を今後の排泄支援に活用していく。また排せつ支援加算の算定に取り組むことにより利用者の排泄状態が改善され、利用者のADL・QOLの向上、職員のモチベーションアップ、介護量を減少することができた。今後は新LIFEへと移行しフィードバック内容もより実用的なものになっていくことが予想される。今後もデータの可視化・分析・考察を行い利用者のサービスの質向上に向けて取り組んでいきたい。
当施設は利用者定員130名(内、一般棟50名、認知症棟80名)の超強化型老健である。2021年4月から排泄支援加算についてはプロセスの評価だけでなくアウトカムの評価も新設されたが、プロセスの評価だけで算定可能な排泄支援加算(1)の算定のみにとどまっていた。当施設の2023年度排泄委員会の活動として、排泄支援加算のアウトカム評価に着目し、上位加算の排泄支援加算(2)(3)の算定に向けて、委員会メンバーを中心に取り組み2023年6月から排泄支援加算のアウトカム加算を算定開始した。開始した2023年6月から12月は12~23.9%の利用者に算定できていたが2024年1月から4月は6.1~10%と算定者の割合が減少していた。減少した要因は、老健は在宅復帰施設であるため、排泄状態を改善できた利用者が退所し、再入所した時には改善した状態での入所となり算定できる利用者が減少していると考察する。そこで科学的介護情報システム「LIFE」からの事業所フィードバック票と利用者フィードバック票のデータから排泄状態の改善が見込める利用者の特徴を分析し今後の加算算定に活用していく。今回その取り組んだ結果を報告する。
<取り組み内容>
サービス:介護保険施設サービス
集計時点:事業所フィードバック 科学的介護推進体制加算(2023年10月登録分)
利用者フィードバック 科学的介護推進体制加算(2023年10月登録分)
事業所フィードバック 排せつ支援加算(2023年4月、7月、10月登録分)
上記のフィードバック票を活用し、要介護度、年齢、障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度、ADL、BMI、低栄養状態のリスクレベル、口腔の健康状態、認知症関連(6項目)、排尿の状態、排便の状態、計16項目で当施設と全国平均との違いについて分析し当施設の特徴、サービス改善に向けた課題を考察する。フィードバック票で得られた当施設の特徴と、排泄支援加算のアウトカム加算を算定している利用者を可視化し比較・分析する。
<結果・考察>
自施設と全国平均を比較した結果は、要介護度は自施設と全国平均を比較しても差はなかった。年齢は90歳以上の超高齢者が51%と半数を占め、全国の44%と比較しても多かった。障害高齢者の日常生活自立度は自施設ではC2C1合わせて6.7%、全国はC2C1合わせて 15.5%と大きく下回った。認知症高齢者の日常生活自立度は3a以上が自施設では69.6%と全国の54.3%を大きく上回った、定員130床のうち認知症棟が80床あるためと思われる。ADLは20点以下が自施設41%と全国の34.1%と比較しても多く、85点以上が自施設2.9%と全国平均の8.5%と比較して少なかった。低栄養状態のリスクレベルは低リスクが23.8%と全国の38.6%を大きく下回り、自施設ではリスクレベルの高い利用者が多いことが分かる。口腔の状態は歯が汚れているが17.1%と全国の24.4%を下回ったが、むせやすいが29.5%と全国の22.3%を上回った。認知症関連の項目では「特別な事情がないのに夜中起きだす」は、ほとんどないが18.1%と全国の30.9%を大きく下回った。排尿の状態は2022年10月では全介助が42.3%と全国の36.4を上回っており、全国平均よりも介助量が多い利用者が多いことが分かる。排せつ支援加算のアウトカム評価を算定してからの2023年7月では全介助が40.3%と全国の36.6%と比較すると多いが、少し減少している。更に2023年4月では全介助38.2%と全国の36.8%と差がなくなってきた。排便の状態も2022年10月では全介助が40.8%と全国の36.4%を上回っていたが、2023年10月には37.5%と全国の36.8%と差がなくなってきた。
次に自施設の「排せつ支援加算(2)の算定者」の平均と自施設の平均を比較した結果は、要介護度は要介護度2の利用者が43%と多く自施設の17%を大きく上回った。やはり要介護度が軽い利用者の方が排泄状態を改善できている。年齢は90歳以上が60%と自施設と比較しても多く意外な結果となった。この結果から自施設では90歳以上の超高齢者であっても排せつの状態を改善できていることが分かった。障害高齢者の日常生活自立度はA1A2が自施設を上回り自立度が軽い方が排泄状態を改善できている。認知症高齢者の日常生活自立度は自立度1が自施設を上回り自立度が軽い方が排泄状態を改善できている。ADLは45点以上が自施設と比較して多く、やはりADLの点数が高い方が排泄状態を改善できている。BMIは20-30が40%と自施設を大きく上回り排泄状態を改善できている。低栄養状態のリスクレベルは低リスクが31%と自施設を上回り、やはりリスクの低い方が排泄状態も改善できている。口腔の状態は3項目とも自施設を下回り、口腔の健康状態が良好な方が排泄状態も改善できている。認知症関連の項目は「日常的な物事に関心を示さない」「同じ動作をいつまでも繰り返す」が良好な方が排泄状態も改善できることが分かった。意思疎通は54%と自施設を大きく上回り排泄状態も改善できることが分かった。
<まとめ>
今回の取り組みを行った結果、自施設と全国の平均とを比較することで施設の特徴や利用されている高齢者の特徴を可視化することができ、またどのような利用者が排泄状態の改善が見込めるのかを把握することができた。予想通りADLのレベルが高く認知症の軽度な方が改善できるという結果がでたが、意外にも年齢の影響は少なく、90歳以上の超高齢者であっても改善する利用者が多いことが分かった。 今回得られた結果を今後の排泄支援に活用していく。また排せつ支援加算の算定に取り組むことにより利用者の排泄状態が改善され、利用者のADL・QOLの向上、職員のモチベーションアップ、介護量を減少することができた。今後は新LIFEへと移行しフィードバック内容もより実用的なものになっていくことが予想される。今後もデータの可視化・分析・考察を行い利用者のサービスの質向上に向けて取り組んでいきたい。