講演情報
[15-O-L010-02]利用者の活動を増やすための取り組み
*上城 義之1、島田 郁子1 (1. 兵庫県 医療法人社団六心会 介護老人保健施設エスペランサ)
コロナ禍により、当デイケアにおいても利用者の活動に様々な制限をせざるを得ない状況となり、一人でも取り組むことができる脳トレプリントなどの時間が増加した。こうした現状について、利用者はどう思っているのか。どうしたら一人で取り組む時間を減らし、活動する時間を増やすことができるのか。ということを考え行った取り組みの結果をここに報告する。
【はじめに】
コロナ禍により、当デイケアにおいても利用者の活動に様々な制限をせざるを得ない状況となり、一人でも取り組むことができる脳トレプリントなどの時間が増加した。そんな状況の中でもレクリエーションや個別の運動時間を設けていたが、午前は利用者同士の接触を避けるため、各テーブルを回りレクリエーションを行っており、順番が回ってくるまでに時間がかかってしまい参加したくても参加できない利用者がいた。午後は介護スタッフのほぼ全員が入浴介助に入っているため一部の利用者しか実施できず、全体的にみると一人で取り組む時間が増加している要因でもあった。こうした現状について、利用者はどう思っているのか。どうしたら一人で取り組む時間を減らし、活動する時間を増やすことができるのか。ということを考え行った取り組みの結果をここに報告する。
【方法】
対象者:デイケア利用者88名(男性31名、女性57名)※R5.3月時点
対象期間:R5.3月~11月末
R5.3月 アンケートの実施
R5.3月~5月末 アンケート結果をもとにプログラムの変更
R5.6月~11月末 変更後のプログラムの実施
R5.11月 プログラム変更後のアンケートの実施
・現在のプログラムに関するアンケートを実施
アンケート実施人数:回答が可能な利用者40名。
一人で取り組む時間が増えた20名、増えていない12名、かわらない8名。
もっと運動したい25名、運動したくない3名、どちらでも12名。
・アンケート結果をもとに活動時間を増やすためのプログラム変更を検討した。
・運動プログラムのマニュアルを作成し、プログラムを変更していくこととした。
棒体操・タオル体操→棒やタオルを使い上半身・体幹の柔軟性や筋力を向上させ、日常生活の動作の改善につながる体操。
平行棒体操→2~6人を1グループとして、立ち上がり、体重がかかった状態でのバランス、体幹や下半身を鍛える体操。
・プログラム変更内容について
1. 10:40~11:30:ラジオ体操(10分)、レクリエーション(40分) → ラジオ体操(10分)、全員での歌唱(10分)、棒体操orタオル体操(30分)
2. 13:30~14:30:各自(脳トレプリント等)、個別での運動 → テレビ体操(15分程度)、各自(脳トレプリント等)、平行棒体操(15分程度)toテレビ体操(40分程度)
【結果】
・変更後のプログラムに関するアンケートを実施
アンケート実施人数:回答が可能な利用者40名。
一人で取り組む時間が減った26名、減っていない5名、かわらない9名。
運動プログラムに参加している36名、参加していない2名、運動したくない2名。
・個別の運動時間では7~9人程しか行えていなかったが、運動プログラムを取り入れたことで20人以上の利用者が参加するようになり運動時間を設けることができるようになった。
・平行棒体操の時間になるとスタッフを呼び参加される利用者や、平行棒体操とテレビ体操の両方に参加する利用者もいる。
・プログラムが周知されたことで、リハビリ後すぐに帰宅されていた利用者が、体操に参加してから帰宅するようになった。
利用者の声
・集団で運動することで、他の方とも話をするきっかけになった。
・自宅では運動しようという気にならないが、デイケアに来ると他の方もしているので、私もしなきゃと言う気持ちになった。
・体操に参加し運動しているおかげで、以前よりも体が楽になった。
【考察】
・現在のプログラムについてアンケートを実施したことで、「一人で取り組む時間が増えた、運動したい」という利用者の声や要望がわかり、運動プログラムへの参加を積極的に行ったことで、利用者の要望に対しスタッフ・利用者ともに同じ目標を持つようになり、プログラム定着に繋がったのではないかと考える。
・利用者は、集団で運動することによって個別の運動では感じられなかった、充実感や達成感、満足度や楽しさを感じるようになり、活動する時間が増えたのではないかと考える。
・自分は運動できないからと思い込み、脳トレプリントなどをされていた利用者も他利用者とコミュニケーションを図りながら運動プログラムを行うことで、運動できるということに気付き、運動することに対して意欲的になったのではないかと考える。
【おわりに】
今回の取り組みを通じて、スタッフ・利用者ともに現状のプログラムに少なからず疑問を持ちながらもコロナ禍だからしかたないと思っていたが、症例を進めていくにつれ、施設内での制限も徐々に緩和され、運動プログラムを取り入れることができるようになった。最初はプログラム変更に対して利用者がどう思うのか?声掛けに対し参加してくれるのか?という不安もあったが、周りの利用者の様子を見て参加する人数が増えていき、現在は、利用者のほぼ全員が参加している。しかし、参加に対して消極的な利用者もいるので、利用者との関わりの中から、ニーズを把握し利用者の気持ちに寄り添いながらプログラムに参加してもらえるように関わっていくことが今後の課題である。今後は、新規利用者の獲得や稼働維持・向上へ繋げられるように、利用者がいつまでもやりたいことが出来る心と体を維持できるように、デイケアでは何ができるのかということを考え今後も支援していきたいと思う。
コロナ禍により、当デイケアにおいても利用者の活動に様々な制限をせざるを得ない状況となり、一人でも取り組むことができる脳トレプリントなどの時間が増加した。そんな状況の中でもレクリエーションや個別の運動時間を設けていたが、午前は利用者同士の接触を避けるため、各テーブルを回りレクリエーションを行っており、順番が回ってくるまでに時間がかかってしまい参加したくても参加できない利用者がいた。午後は介護スタッフのほぼ全員が入浴介助に入っているため一部の利用者しか実施できず、全体的にみると一人で取り組む時間が増加している要因でもあった。こうした現状について、利用者はどう思っているのか。どうしたら一人で取り組む時間を減らし、活動する時間を増やすことができるのか。ということを考え行った取り組みの結果をここに報告する。
【方法】
対象者:デイケア利用者88名(男性31名、女性57名)※R5.3月時点
対象期間:R5.3月~11月末
R5.3月 アンケートの実施
R5.3月~5月末 アンケート結果をもとにプログラムの変更
R5.6月~11月末 変更後のプログラムの実施
R5.11月 プログラム変更後のアンケートの実施
・現在のプログラムに関するアンケートを実施
アンケート実施人数:回答が可能な利用者40名。
一人で取り組む時間が増えた20名、増えていない12名、かわらない8名。
もっと運動したい25名、運動したくない3名、どちらでも12名。
・アンケート結果をもとに活動時間を増やすためのプログラム変更を検討した。
・運動プログラムのマニュアルを作成し、プログラムを変更していくこととした。
棒体操・タオル体操→棒やタオルを使い上半身・体幹の柔軟性や筋力を向上させ、日常生活の動作の改善につながる体操。
平行棒体操→2~6人を1グループとして、立ち上がり、体重がかかった状態でのバランス、体幹や下半身を鍛える体操。
・プログラム変更内容について
1. 10:40~11:30:ラジオ体操(10分)、レクリエーション(40分) → ラジオ体操(10分)、全員での歌唱(10分)、棒体操orタオル体操(30分)
2. 13:30~14:30:各自(脳トレプリント等)、個別での運動 → テレビ体操(15分程度)、各自(脳トレプリント等)、平行棒体操(15分程度)toテレビ体操(40分程度)
【結果】
・変更後のプログラムに関するアンケートを実施
アンケート実施人数:回答が可能な利用者40名。
一人で取り組む時間が減った26名、減っていない5名、かわらない9名。
運動プログラムに参加している36名、参加していない2名、運動したくない2名。
・個別の運動時間では7~9人程しか行えていなかったが、運動プログラムを取り入れたことで20人以上の利用者が参加するようになり運動時間を設けることができるようになった。
・平行棒体操の時間になるとスタッフを呼び参加される利用者や、平行棒体操とテレビ体操の両方に参加する利用者もいる。
・プログラムが周知されたことで、リハビリ後すぐに帰宅されていた利用者が、体操に参加してから帰宅するようになった。
利用者の声
・集団で運動することで、他の方とも話をするきっかけになった。
・自宅では運動しようという気にならないが、デイケアに来ると他の方もしているので、私もしなきゃと言う気持ちになった。
・体操に参加し運動しているおかげで、以前よりも体が楽になった。
【考察】
・現在のプログラムについてアンケートを実施したことで、「一人で取り組む時間が増えた、運動したい」という利用者の声や要望がわかり、運動プログラムへの参加を積極的に行ったことで、利用者の要望に対しスタッフ・利用者ともに同じ目標を持つようになり、プログラム定着に繋がったのではないかと考える。
・利用者は、集団で運動することによって個別の運動では感じられなかった、充実感や達成感、満足度や楽しさを感じるようになり、活動する時間が増えたのではないかと考える。
・自分は運動できないからと思い込み、脳トレプリントなどをされていた利用者も他利用者とコミュニケーションを図りながら運動プログラムを行うことで、運動できるということに気付き、運動することに対して意欲的になったのではないかと考える。
【おわりに】
今回の取り組みを通じて、スタッフ・利用者ともに現状のプログラムに少なからず疑問を持ちながらもコロナ禍だからしかたないと思っていたが、症例を進めていくにつれ、施設内での制限も徐々に緩和され、運動プログラムを取り入れることができるようになった。最初はプログラム変更に対して利用者がどう思うのか?声掛けに対し参加してくれるのか?という不安もあったが、周りの利用者の様子を見て参加する人数が増えていき、現在は、利用者のほぼ全員が参加している。しかし、参加に対して消極的な利用者もいるので、利用者との関わりの中から、ニーズを把握し利用者の気持ちに寄り添いながらプログラムに参加してもらえるように関わっていくことが今後の課題である。今後は、新規利用者の獲得や稼働維持・向上へ繋げられるように、利用者がいつまでもやりたいことが出来る心と体を維持できるように、デイケアでは何ができるのかということを考え今後も支援していきたいと思う。