講演情報
[15-O-L011-03]認知機能予防運動プログラム コグニサイズ体と頭のエクササイズ
*林 拓弥1 (1. 愛知県 介護老人保健施設ピエタ)
その人らしい生活を維持するためには、認知機能の低下のもたらす影響は測りきれない。今回、国立長寿医療研修センター考案の認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」を導入し、通所ご利用者を対象に、毎日の帰所前の10分間のコグニサイズ体操を実施し、通所ご利用者の心身機能にアプローチした結果を報告する。
【はじめに】リハビリテーションとは、病気によって障害をもった方の心身の機能改善を目的とし、その人らしい社会生活の復帰に基づく過程と定義されている。加齢によって低下していくのは身体機能のみならず、認知機能も同様である。加えて、その人らしい生活を維持するためには、認知機能の低下のもたらす影響は測りきれない。今回、国立長寿医療研修センター考案の認知症予防運動プログラム「コグニサイズ」を導入し、通所ご利用者の心身機能にアプローチしたことをここに報告する。【実施方法】通所ご利用者を対象に、毎日の帰所前の10分間のコグニサイズ体操を実施した。コグニサイズのメニューとして1)右手・右足、左手・左足の同時運動30回2)右手・左足、左手・右足の同時運動30回3)30回の足踏み中、3の倍数での手拍子4)30回の足踏み中、3のつく数字かつ3の倍数での手拍子以上の運動をスタンダードとして、コグニサイズ実施者独自の運動を取り入れた運動メニューを実施した。【結果】コグニサイズ運動開始時は、運動メニューの理解度や、身体状況による実施の有無により全員が参加するものではなく、運動を理解し、実施できるご利用者のみが行う運動となっていた。しかし、運動を継続していく中で、徐々に運動内容を理解し、積極的に運動を行うご利用者が増加した。要因として、毎日同じ運動を提供することで、職員や理解度の高いご利用者が運動している姿を見る機会が増え、各人運動の理解度が深まったからと考えられる。ご利用者からは「最初は分からなかったけど、徐々に運動に慣れてきた」「みんながやっているから、一緒にやってみようかなと思った」等、運動に対して積極的に取り組む姿勢が向上した。【考察】コグニサイズ運動のメリットとして、1.座って行える事。2.運動強度、頻度を調整出来る事。3.運動と認知機能、注意力の向上を同時に図ることが出来る事が考えられる。生活においても、例えば料理をする際、食材の下ごしらえをしながら、鍋に火をかける等、同時に2つ以上の事象に注意を向ける事が大切であり、家事動作を自立して行える人は無意識的に行っている事である。より高いレベルの運動や動作(家事、外出等)を継続して行う為には、身体機能のみならず、認知機能低下予防は必須であると考えられる。我が施設では、ご利用者の生活に寄り添い、ご自宅の環境や状況に対して個別のリハビリテーションを提供している。「身体機能として、困難」なこともあれば「身体機能は十分であるが、本人の理解力が低下しているため困難」といった事例もある。少しでも利用者様が、「その人らしい生活」に近づけるよう、コグニサイズをはじめあらゆる手段を模索していきたい。