講演情報

[15-O-L012-01]通所リハビリにマシントレーニングを導入して

*國嶋 敏司1、中島 知香1 (1. 岐阜県 老人保健施設西濃)
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当施設通所リハビリが予てより行っていた余暇時間の自主訓練に、マシントレーニングを導入した。導入後、利用者に運動検査を3ヶ月ごとに行い、10カ月目にアンケート調査を実施した。運動検査では、有意な変化は見られなかったが、アンケート調査での精神面での利用者の満足度の向上が見られたので、ここに考察を踏まえ報告する。
【はじめに】
令和5年5月に、当施設通所リハビリが予てより行っていた余暇時間の自主トレーニングを、家庭用のマシンから、上肢筋力の向上を目的として使用するローイング、下肢筋力の向上を目的として使用するレッグプレス、運動持久力の向上を目的とするクロスステップを導入し、充実を図った。利用者への余暇時間のサービスの質の向上を目的としての運用を行い、その効果判定を行うために、運動機能検査とアンケート調査を行ったので、考察を交えここに報告する。
【対象】
今回のデータ抽出にあたっては、測定対象者を要介護者に限定し、期間中に継続して運動機能検査と、マシントレーニングを実施出来る方とした。(男性:6名 女性:1名 年齢:平均79.1歳 介護度:平均2.1 Barthel Index:平均91点 HDS-R:平均19.9点(失語症で減点がある方1名含む))
アンケート調査は、当通所リハビリ利用者からマシントレーニングの実施有無を問わず、アンケートの主旨を説明し同意を得られた方46名(実施27名 未実施19名)を対象に実施した。
【方法】
トレーニング内容としてはレッグプレス、ローイングは、20回を1セット、クロスステップは、10分を1セットとして、負荷量は個別に設定を行った。
身体能力の変化を確認するため、同年7月から3ヶ月間ごとに運動機能検査として、握力とTime Up&Go test(以下:TUG)の測定を行った。
心理的な変化を知るため、導入後の10か月目にアンケート調査を実施した。
【結果】
運動機能検査の結果として、握力では、7名中4名向上。初回計測数値からの増減は、6.5kgの向上から3kgの低下となった。TUGでは、7名中1名向上。初回計測数値からの増減は、0.5秒の向上から4秒の低下となった。増減率では、握力は14%向上から25%低下となった。TUGは16%向上から46%低下となった。
アンケート調査の結果としては、マシントレーニング経験者(27名)内では、
設問1.やってみて楽しいか?:「はい」22名「いいえ」5名
設問2.今後も利用したいか?:「はい」26名「いいえ」1名
設問3.満足度:「満足」22名「普通」3名「不満」2名
設問4.利用の目的は?:「自身の健康のため」「手足の力をつけたい」、「転倒しないようにしたい」
設問5.体調・生活の変化は有りますか?:「生活の中で体の動きが良くなった」
マシントレーニング未経験者(19名)では、
設問6.マシントレーニングをやってみたいですか?:「やってみたい」と答える方もいた。
【考察】
今回は運動機能の変化については、マシントレーニングでの運動時間が短かった事や、負荷量を能力に合わせて小まめに調節することが出来なかったこと、当通所リハビリの初回利用からの経過が長く状態が安定している方が多かった事が、大幅な身体機能の向上には繋がりにくかったと思われる。