講演情報
[15-O-L012-03]在宅療養生活を支援する通所サービスの重要性
*浅野 崇1、長縄 伸幸1 (1. 岐阜県 リハトピアフェニックス)
当法人では2つの有床診療所と3つの老健が連携・融合して在宅復帰を促進しており、3つのデイケアと7つのデイサービスが中心となり在宅生活を支えている。特にデイケアでは今回の法改正を受けリハビリ・口腔・栄養を一体的に推進することで最上位のマネジメント加算を算定。一方コロナ禍を経て一部稼働が伸び悩む中、LIFEやACP(ALP)の有効活用、BCPの詳細検討など今後の通所サービスのあり方について考察する。
【はじめに】
私たちフェニックスグループは、岐阜県各務原市において有床診療所を母体とする老健、特養、通所、グループホーム、ケアハウスを有する保健・医療・福祉の複合体である。母体の有床診療所(鵜沼中央クリニック)は、1988年に開設をし、以後、有床診療所を中心に必要な施設を順次開設し、グループとして効率良く連携統合化し運営をしてきた。2006年には2つの有床診療所を要とし、同一建物に2つの併設型老健、介護保険居宅事業所及び地域包括相談センター(総合相談センター)、デイケアを集約したワンストップ型の医療介複合施設「メディカルセンターフェニックス」を地域包括ケアシステムの基幹施設として開設した。
【老健と連動して在宅療養生活を支援する通所サービスの重要性】
在宅生活を支える重要な機能のひとつであるデイケアについては、139床の老健サンバレーかかみ野と密接な関係にあり広大な敷地の中でゆったり過ごしつつリハビリを提供する一日型のデイケアきららと、メディカルセンターフェニックス内にあり老健とクリニックに併設する一日型のデイケアAと短時間型(1~2時間)のデイケアSの3施設がある。デイケアAは老健併設型ではあるがクリニックにも隣接していることから医療介護のハイブリッド型デイケアとしてリハビリを強力に進め、デイサービスへの移行(デイケア卒業)も積極的に進めている。デイケアSは短時間型ではあるがリハビリに特化することで利用者の満足度を追及しており、外来リハビリの受け皿としての機能も持つ。
過去5年間の実績を見てみると、一日型のデイケアで新型コロナウイルス感染症の影響を受け稼働率は減少し、新規利用者数も減少傾向にあったが、令和4年以降は増えつつある。それぞれの特徴として、デイケアAはクリニック入院から(一部は老健を経由して)の流れが多く順調に新規が増えている。逆にデイケアきららは併設の大規模老健からの流れが鈍く稼働が伸び悩んでいる。一方、デイケアSは医療併設型であるため当然クリニックからの流れが多いが、特に外来リハビリからの流れが多く、短時間間型であるため外来リハビリの受け皿としての機能を果たしており、稼働が伸びている。
【考察】
デイケアSの令和5年の平均稼働率は令和元年の2倍近くとなっている。また、新規利用者の年齢別割合を見ると、きらら>デイケアA>デイケアSの順に高齢の割合が多く、介護度別割合を見ると、デイケアAときららに大差はなく要介護1及び2で半数を占めるが、デイケアSは8割を占めることからも、一日型のデイケアと異なり新型コロナウイルス感染症の影響は少なかったと考えられる。
デイケアきららの稼働が伸び悩んでいる原因のひとつに、新型コロナウイルス感染症による併設老健との分断が考えられる。具体的には併設型の強みである“老健入所中にデイケアのレクリエーションに参加できる”ことや“デイケアの体験利用ができる”ことが、コロナの影響でほぼなくなってしまった。今後はボランティアの再開も含めたレクリエーション等の活性化が重要な課題となる。
デイケアAについては、稼働は微増であるが新規利用者は順調に増加しており、今後の稼働率上昇が期待できる。また、今回の法改正を受け最上位のリハビリマネジメント加算を算定しており、今後はリハビリのみならず口腔や栄養と一体的に推進していく。
一方で、当法人のデイケアではデイサービスへの移行(デイケア卒業)を促進しており、そのためには医師が参加するリハビリ会議が重要であると考えている。医師は全利用者の会議に対面で参加しており、そこではリハビリ計画の進捗状況の確認や見直しはもちろん、日常の困りごとの相談も行っており、更にはデイケア卒業に向けたアプローチも積極的に行っている。
今後さらに利用者の満足度を上げるために、既に行っている動画等の有効利用に加えて、LIFEデータの有効活用により、利用者、家族、ケアマネージャー等に目に見える形で状態変化を伝えていく。また、現在利用者の意思決定を支援する取り組みは必ずしも十分ではなく、今後はACP(ALP)の普及を促進するために将来について本人や家族と我々医療介護職が話し合う機会を増やしていきたい。
もう1点大切なこと、それはBCPである。現在総論はまとまっているが各論は未だ検討の余地がある。具体的には利用者毎の対応策の検討が必要で、災害発生時にどこで過ごすべきか、誰に連絡をするか等について、災害発生時間帯別にまとめていきたいと考える。
【まとめ】
通所サービスの中で老健と密接な関係にあるデイケアについて、過去5年間の実績を振り返った。新型コロナウイルス感染症により併設老健との関係性が分断され稼働に影響があったことが分かり、今後はボランティアの再開も含めたレクリエーション等の活性化が重要な課題となる。また、LIFEデータの有効活用やACP(ALP)の普及を促進することで、利用者の在宅生活を支えていくとともに、災害時にもサービスを継続させるためBCPの利用者別対応策の検討を進めていきたい。
私たちフェニックスグループは、岐阜県各務原市において有床診療所を母体とする老健、特養、通所、グループホーム、ケアハウスを有する保健・医療・福祉の複合体である。母体の有床診療所(鵜沼中央クリニック)は、1988年に開設をし、以後、有床診療所を中心に必要な施設を順次開設し、グループとして効率良く連携統合化し運営をしてきた。2006年には2つの有床診療所を要とし、同一建物に2つの併設型老健、介護保険居宅事業所及び地域包括相談センター(総合相談センター)、デイケアを集約したワンストップ型の医療介複合施設「メディカルセンターフェニックス」を地域包括ケアシステムの基幹施設として開設した。
【老健と連動して在宅療養生活を支援する通所サービスの重要性】
在宅生活を支える重要な機能のひとつであるデイケアについては、139床の老健サンバレーかかみ野と密接な関係にあり広大な敷地の中でゆったり過ごしつつリハビリを提供する一日型のデイケアきららと、メディカルセンターフェニックス内にあり老健とクリニックに併設する一日型のデイケアAと短時間型(1~2時間)のデイケアSの3施設がある。デイケアAは老健併設型ではあるがクリニックにも隣接していることから医療介護のハイブリッド型デイケアとしてリハビリを強力に進め、デイサービスへの移行(デイケア卒業)も積極的に進めている。デイケアSは短時間型ではあるがリハビリに特化することで利用者の満足度を追及しており、外来リハビリの受け皿としての機能も持つ。
過去5年間の実績を見てみると、一日型のデイケアで新型コロナウイルス感染症の影響を受け稼働率は減少し、新規利用者数も減少傾向にあったが、令和4年以降は増えつつある。それぞれの特徴として、デイケアAはクリニック入院から(一部は老健を経由して)の流れが多く順調に新規が増えている。逆にデイケアきららは併設の大規模老健からの流れが鈍く稼働が伸び悩んでいる。一方、デイケアSは医療併設型であるため当然クリニックからの流れが多いが、特に外来リハビリからの流れが多く、短時間間型であるため外来リハビリの受け皿としての機能を果たしており、稼働が伸びている。
【考察】
デイケアSの令和5年の平均稼働率は令和元年の2倍近くとなっている。また、新規利用者の年齢別割合を見ると、きらら>デイケアA>デイケアSの順に高齢の割合が多く、介護度別割合を見ると、デイケアAときららに大差はなく要介護1及び2で半数を占めるが、デイケアSは8割を占めることからも、一日型のデイケアと異なり新型コロナウイルス感染症の影響は少なかったと考えられる。
デイケアきららの稼働が伸び悩んでいる原因のひとつに、新型コロナウイルス感染症による併設老健との分断が考えられる。具体的には併設型の強みである“老健入所中にデイケアのレクリエーションに参加できる”ことや“デイケアの体験利用ができる”ことが、コロナの影響でほぼなくなってしまった。今後はボランティアの再開も含めたレクリエーション等の活性化が重要な課題となる。
デイケアAについては、稼働は微増であるが新規利用者は順調に増加しており、今後の稼働率上昇が期待できる。また、今回の法改正を受け最上位のリハビリマネジメント加算を算定しており、今後はリハビリのみならず口腔や栄養と一体的に推進していく。
一方で、当法人のデイケアではデイサービスへの移行(デイケア卒業)を促進しており、そのためには医師が参加するリハビリ会議が重要であると考えている。医師は全利用者の会議に対面で参加しており、そこではリハビリ計画の進捗状況の確認や見直しはもちろん、日常の困りごとの相談も行っており、更にはデイケア卒業に向けたアプローチも積極的に行っている。
今後さらに利用者の満足度を上げるために、既に行っている動画等の有効利用に加えて、LIFEデータの有効活用により、利用者、家族、ケアマネージャー等に目に見える形で状態変化を伝えていく。また、現在利用者の意思決定を支援する取り組みは必ずしも十分ではなく、今後はACP(ALP)の普及を促進するために将来について本人や家族と我々医療介護職が話し合う機会を増やしていきたい。
もう1点大切なこと、それはBCPである。現在総論はまとまっているが各論は未だ検討の余地がある。具体的には利用者毎の対応策の検討が必要で、災害発生時にどこで過ごすべきか、誰に連絡をするか等について、災害発生時間帯別にまとめていきたいと考える。
【まとめ】
通所サービスの中で老健と密接な関係にあるデイケアについて、過去5年間の実績を振り返った。新型コロナウイルス感染症により併設老健との関係性が分断され稼働に影響があったことが分かり、今後はボランティアの再開も含めたレクリエーション等の活性化が重要な課題となる。また、LIFEデータの有効活用やACP(ALP)の普及を促進することで、利用者の在宅生活を支えていくとともに、災害時にもサービスを継続させるためBCPの利用者別対応策の検討を進めていきたい。