講演情報
[15-O-L013-02]通所リハビリテーションおけるマシントレーニング効果
*和田 拓也1 (1. 福井県 福井県済生会 介護老人保健施設 ケアホーム・さいせい)
本研究は、WTS-iを利用し視覚・聴覚のバイオフィードバックを用いたマシントレーニングの効果を検証した。通所リハビリを利用する13名にWTS-iのマシントレーニングを6か月間実施した。実施前、3ヵ月、6ヵ月に握力、10m歩行、レッグプレス、レッグエクステンション、ヒップアブダクション、ローイングの最大挙上負荷を評価し効果を解析した。初回と3ヵ月時点の最大挙上負荷、10m歩行に有意差を認めた。
【目的】
近年、マシントレーニングは多くの通所リハビリテーションに普及している。当施設でもマシントレーニングを導入しているが、機器を上手く操作することができず、筋力・筋出力を十分に発揮できていない利用者を多く経験する。
本施設は、2021年に新しくWeltonic series-i(以下、WTS-i)を導入した。これにより、筋力評価にて個人にあった適切な負荷量、可動域を測定でき、適切な強度でマシントレーニングへと反映することができる。また、WTS-iのインタラクティブモードを利用することで視覚・聴覚のバイオフィードバック(以下BF)を用いたマシントレーニングが実施することができる。今回、通所リハビリテーション利用者の筋力・筋出力強化、身体機能に対するWTS-iの有効性を検討する機会を得たためここに報告する。
インタラクティブモードとは、利用者がマシントレーニングを実施する際に、自身の動作に応じてアイコンが反応し上下に動く、モニターと電子音を認識しながらしリズムと動作を合わせ1回行うごとに5つの目標物をとるように動かすことで、自身に合った適切な最終可動域まで、一定のリズムに合わせて筋収縮運動ができる設定となっている。
【対象・方法】
2021年8月23日~2022年3月31日まで通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーションを利用している13名(平均年齢83.5歳±3.5)、HDS-Rは23±6.3点、平均利用回数は2.4±0.6/回を対象とした。初回のマシントレーニング実施前に握力、10m歩行と共にWTS-iの4種類、レッグプレス、レッグエクステンション、ヒップアブダクション、ローイング(以下、LP、LE、AB、RO)の最大挙上負荷(以下、1RM)を測定した。運動負荷は各運動の筋力測定した1RMの40%に設定した。通所リハビリテーション利用時に各10回1セットとし、それぞれ2セットずつ行った。セット間の休憩は30秒とした。各運動を行う際はインタラクティブモードに設定し電子音とモニターをみながら求心性収縮4秒、遠心性収縮4秒を基本としトレーニングを6ヵ月間実施した。3ヵ月後、6ヵ月後、再び握力、10m歩行、各運動の1RMを測定し運動の効果について検証を行った。運動の効果はWilcoxon(ウィルコクソン)の順位和検定を利用し効果を検証した。有意水準は1%未満とした。
【結果】
初回と3ヵ月後のLP、LE、AB、ROの1RMに有意差が認められた(P<0.01)。また、初回と3ヵ月後の10m歩行にも有意差が認められた(P<0.05)。3ヵ月後と6ヵ月後の項目ではすべての項目において有意差がみられなかったが、能力の維持はできていた。
【考察】
従来のマシントレーニングではリハビリ職員が利用者にマシントレーニングに対しての目的やトレーニングマシンの使用方法を説明し納得した上で運動を始めるも、理解力や本人の性格により運動方法を変えてしまい、運動範囲全体を動かせず、十分な筋力を発揮できずにマシントレーニングをしていることがある。その為、リハビリ職員が利用者に付き添い声掛けしながら実施していく必要があり筋力強化を目的にすることは困難であった。しかし、WTS-iを利用することで筋力評価にて適切な負荷量、可動域を測定でき、インタラクティブモードに設定することで視覚・聴覚によるBFを用いた正しいマシントレーニングの操作ができる。そのため、利用者自身で十分な関節可動域、筋収縮を意識した運動を継続して実施することができる。
今回、初回と3ヵ月の1RMに有意差がみられた。渡辺ら1)は視覚、聴覚の呈示手法のフィードバックは平均集中力の向上を示した。とある。これはWTS-iのインタラクティブモードを利用することで視覚、聴覚情報を用いたBFが可能となり、自身で集中して十分な可動域、筋収縮を意識したマシントレーニングに取り組めたことが筋力・筋出力強化につながったと考えられる。金ら2)は歩行機能の改善をするためには、大腿四頭筋、ハムストリングス、腸腰筋、下腿三頭筋、大殿筋、中殿筋、などの重点的な鍛えが必要と述べている。LP、LE、ABの運動を行ったことで下肢筋力を全体的にバランスよく筋力増強を図ることができたため、歩行能力の指標である10m歩行に有意差がみられたと考えられる。
【結論】
WTS-iを利用したマシントレーニングは自身に合った適切な筋力負荷、可動域で行うことができ、視覚、聴覚情報を用いてマシントレーニングができるため適切な筋収縮運動ができる。そのため、初回から3か月は筋力・筋力出力、歩行機能面の向上ができる。また、3か月~6か月間でも能力維持ができる。なお、今回は活動面やADLへの評価はできなかった。今後は、利用者への活動面やADL、QOL、生活動作等への影響を調査しながら、今後も利用者へ提供をしていきたい。
【参考文献】
1) 渡辺真:資格と聴覚のバイオフィードバックにおける集中力向上効果の比較検討 科学・技術研究 vol5(1) p41~46,2016
2) 金憲経:転倒予防のための運動介入の効果と課題 日本老年医学雑誌 vol48 p39~41,2011
近年、マシントレーニングは多くの通所リハビリテーションに普及している。当施設でもマシントレーニングを導入しているが、機器を上手く操作することができず、筋力・筋出力を十分に発揮できていない利用者を多く経験する。
本施設は、2021年に新しくWeltonic series-i(以下、WTS-i)を導入した。これにより、筋力評価にて個人にあった適切な負荷量、可動域を測定でき、適切な強度でマシントレーニングへと反映することができる。また、WTS-iのインタラクティブモードを利用することで視覚・聴覚のバイオフィードバック(以下BF)を用いたマシントレーニングが実施することができる。今回、通所リハビリテーション利用者の筋力・筋出力強化、身体機能に対するWTS-iの有効性を検討する機会を得たためここに報告する。
インタラクティブモードとは、利用者がマシントレーニングを実施する際に、自身の動作に応じてアイコンが反応し上下に動く、モニターと電子音を認識しながらしリズムと動作を合わせ1回行うごとに5つの目標物をとるように動かすことで、自身に合った適切な最終可動域まで、一定のリズムに合わせて筋収縮運動ができる設定となっている。
【対象・方法】
2021年8月23日~2022年3月31日まで通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーションを利用している13名(平均年齢83.5歳±3.5)、HDS-Rは23±6.3点、平均利用回数は2.4±0.6/回を対象とした。初回のマシントレーニング実施前に握力、10m歩行と共にWTS-iの4種類、レッグプレス、レッグエクステンション、ヒップアブダクション、ローイング(以下、LP、LE、AB、RO)の最大挙上負荷(以下、1RM)を測定した。運動負荷は各運動の筋力測定した1RMの40%に設定した。通所リハビリテーション利用時に各10回1セットとし、それぞれ2セットずつ行った。セット間の休憩は30秒とした。各運動を行う際はインタラクティブモードに設定し電子音とモニターをみながら求心性収縮4秒、遠心性収縮4秒を基本としトレーニングを6ヵ月間実施した。3ヵ月後、6ヵ月後、再び握力、10m歩行、各運動の1RMを測定し運動の効果について検証を行った。運動の効果はWilcoxon(ウィルコクソン)の順位和検定を利用し効果を検証した。有意水準は1%未満とした。
【結果】
初回と3ヵ月後のLP、LE、AB、ROの1RMに有意差が認められた(P<0.01)。また、初回と3ヵ月後の10m歩行にも有意差が認められた(P<0.05)。3ヵ月後と6ヵ月後の項目ではすべての項目において有意差がみられなかったが、能力の維持はできていた。
【考察】
従来のマシントレーニングではリハビリ職員が利用者にマシントレーニングに対しての目的やトレーニングマシンの使用方法を説明し納得した上で運動を始めるも、理解力や本人の性格により運動方法を変えてしまい、運動範囲全体を動かせず、十分な筋力を発揮できずにマシントレーニングをしていることがある。その為、リハビリ職員が利用者に付き添い声掛けしながら実施していく必要があり筋力強化を目的にすることは困難であった。しかし、WTS-iを利用することで筋力評価にて適切な負荷量、可動域を測定でき、インタラクティブモードに設定することで視覚・聴覚によるBFを用いた正しいマシントレーニングの操作ができる。そのため、利用者自身で十分な関節可動域、筋収縮を意識した運動を継続して実施することができる。
今回、初回と3ヵ月の1RMに有意差がみられた。渡辺ら1)は視覚、聴覚の呈示手法のフィードバックは平均集中力の向上を示した。とある。これはWTS-iのインタラクティブモードを利用することで視覚、聴覚情報を用いたBFが可能となり、自身で集中して十分な可動域、筋収縮を意識したマシントレーニングに取り組めたことが筋力・筋出力強化につながったと考えられる。金ら2)は歩行機能の改善をするためには、大腿四頭筋、ハムストリングス、腸腰筋、下腿三頭筋、大殿筋、中殿筋、などの重点的な鍛えが必要と述べている。LP、LE、ABの運動を行ったことで下肢筋力を全体的にバランスよく筋力増強を図ることができたため、歩行能力の指標である10m歩行に有意差がみられたと考えられる。
【結論】
WTS-iを利用したマシントレーニングは自身に合った適切な筋力負荷、可動域で行うことができ、視覚、聴覚情報を用いてマシントレーニングができるため適切な筋収縮運動ができる。そのため、初回から3か月は筋力・筋力出力、歩行機能面の向上ができる。また、3か月~6か月間でも能力維持ができる。なお、今回は活動面やADLへの評価はできなかった。今後は、利用者への活動面やADL、QOL、生活動作等への影響を調査しながら、今後も利用者へ提供をしていきたい。
【参考文献】
1) 渡辺真:資格と聴覚のバイオフィードバックにおける集中力向上効果の比較検討 科学・技術研究 vol5(1) p41~46,2016
2) 金憲経:転倒予防のための運動介入の効果と課題 日本老年医学雑誌 vol48 p39~41,2011