講演情報

[15-O-L013-06]自宅生活にもっと充実を~持ちかえリハプログラム~

*服部 一真1 (1. 福岡県 介護老人保健施設アルテンハイムヨコクラ)
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利用者の満足度向上を目的に「持ち帰リハプログラム」という取り組みを実施した。実施した内容と結果についてここに報告する。活動量が少ない方等の10名対象とし、3種類のプログラムを作成。趣味や嗜好、体の状態に合わせてプログラムを選択し、自宅で行ってもらう。その結果、活動量・運動意欲の向上がみられた。また、利用者とスタッフ間での共通認識を改めて確認することで、さらに利用者の満足度向上に繋がったと考える。
【はじめに】
 通所リハビリテーション(以下、通リハ)は令和2年に入浴サービスを完全終了し、利用者が減少傾向にあった。様々な取り組みによる業務内容及びサービス改善を図り、近年は利用者増加傾向にある。更なるサービス向上と利用者の満足度向上を目的に「持ち帰リハプログラム」という取り組みを開始した。
【取り組み内容】
目的:自宅での活動意欲の向上と活動量の増加を目指す。
対象:通リハ利用者の中で、利用回数が少ない方、自宅での活動量が少ない方や運動習慣を身に着けてほしい方の10名を対象とする。
方法:3種類のプログラムを作成。それぞれの趣味や嗜好、体の状態に合わせてプログラムを選択し、自宅で行ってもらう。
(1)ホームエクササイズ
自宅で安全に実施できる内容を選定及び指導。毎日継続したいと思えるよう、曜日ごとのエクササイズを作成した。また利用者の身体機能等を考慮し、個別に合わせたホームエクササイズのプログラムとした。
(2)アクティビティの強化
自宅でも行える脳トレを交付。また、モザイクアートは色鉛筆の貸し出しを行った。
(3)園芸活動
園芸活動は、苗を自宅に持ち帰り、育てる活動を中心に行っている。園芸をしたことのない方にも興味を持っていただけるよう種から育てて、成長する楽しみを味わって頂くようにしている。植物を育てることを通して自宅での活動量増加や精神面での気分転換が図れるように取り組んでいる。
【結果】
 上記の3つの取り組みを行ったことで以下の様々な変化が得られた。
自宅生活でのチャレンジ意欲が湧き、次の目標を口にする利用者が増えた。また、運動習慣を獲得した方は、次は複数種目のホームエクササイズに挑戦されており、自宅での運動意欲向上に繋がっている。
アクティビティや植物の成長具合といった「共通の話題」が増えたことにより、利用者同士の一体感が増し、コミュニケーションがより活発なものとなった。
【考察】
 今までは、通リハに来て運動をするまでに留まっていたが、「持ち帰リハプログラム」を通して、利用者自身が空き時間を利用し、遂行しようという意欲が増加した。同じ活動をする他利用者との交流の増加や達成感の共有も意欲が増加した一因と考える。また、利用者とスタッフ間での共通認識を改めて確認することで、サービス向上と利用者の満足度向上に繋がったと考える。
【まとめ】
 通リハと自宅でのプログラムを提供し、満足度向上に繋がる事が分かった。今後は、身体機能評価やFIM等を用いたリハビリ評価や効果検証を行い、入浴が無くても利用者が継続して通いたいと思われるようなリハビリを提供できるような通所リハビリテーションを目指していきたい。