講演情報

[15-O-L014-04]老健でのリハビリ~訓練室から生活の場へ~

*上村 恵里香1 (1. 岐阜県 介護老人保健施設グリーンビラ安江)
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新型コロナウイルス感染症の流行とともに、入所利用者のリハビリ実施場所を各階に変更、リハビリ職も各階担当制として提供を継続。感染対策の一環としての体制変更ではあったものの、リハビリ職が入所利用者の生活場面に直接介入する機会が増え、他職種との連携も図りやすくなった。今回は、体制変更後の状況について報告する。
【はじめに】
当施設は入所56床、通所定員50名、1階に通所リハビリ、2階・3階が入所施設となっている。リハビリは入所・通所利用者ともに、基本的には1階機能訓練室にて実施。入所所属のリハビリ職は、入所・訪問・通所のすべてのリハビリ業務に携わっており、入所利用者の生活場面に直接介入する機会が少なく、機能訓練室でのリハビリが主体となっていた。新型コロナウイルス感染症の流行とともに、入所利用者のリハビリ実施場所を各階に変更、リハビリ職も各階担当制として提供を継続。感染対策の一環としての体制変更ではあったものの、リハビリ職が入所利用者の生活場面に直接介入する機会が増え、他職種との連携も図りやすくなった。今回は、体制変更後の状況について報告する。
【リハビリ実施場所・業務内容】
○変更前(訓練室中心):入所階に関わらず担当振り分け/通所利用者のリハビリも介入/通所・入所ともに移動可能な利用者は機能訓練室にて実施/機能訓練室でのリハビリが中心/実施記録等は1階で入力/生活場面に介入する機会が少ない(時間の確保が難しい)
○変更後(各階):各階担当制として職員を配置/担当階の入所利用者のリハビリのみ介入/各階居室・フロア・食堂等、空きスペースを活用してリハビリを実施/リハビリ以外の時間も担当階で業務に従事(実施記録、食事配膳・下膳、離・臥床介助、トイレ介助等)
【体制変更後の状況】
変更直後、リハビリに関連する内容としては、使用物品の管理が1階であるため手間に感じる/平行棒・階段等の使用が出来ない/運動スペースの制限等、不満や不便さを訴える声が多数挙がった。また、各階担当制としてリハビリ職を配置した事で、以前は行っていなかった業務への介入機会も増え、病院での経験が長い職員の中には抵抗感を示すものもいた。その反面で、利用者一人ひとりとの関わりや生活場面に直接介入していく機会が増えた事で、生活状況の把握がしやすく、介護・看護職員等、他職種との接点も増え、意見交換や情報共有等がしやすい関係性を築く事が出来るようになった。また、他職種がリハビリの様子を目にする機会も増えた事で、利用者の状態やリハビリの進捗状況等への関心も高まり、生活場面での関わり方にも変化がみられるようになった。
【まとめ】
感染対策の一環としての体制変更ではあったものの、利用者一人ひとりと関わる時間を確保でき、生活場面に直接介入する機会が増えた事で、生活状況の把握、他職種との情報共有がしやすくなった。体制変更前は、訓練室でのリハビリが主体となっており、他職種との接点も少なく「できるADL」と「しているADL」に差を生じさせる要因の一つとなっていた。今回、各階担当制としてリハビリ職を配置した事で、利用者との関わりだけでなく職員間での交流も増え、介助方法や居室環境設定・見直し等、様々な意見をもとに、全体で取り組む事が出来るようになってきている。動作手順や介助方法の統一等、課題となる部分は多くあるが、「生活すべてがリハビリ」という考えを念頭に、今後も積極的に生活場面に介入していき、多職種と連携して利用者一人ひとりの状態や背景に合わせた支援を行っていきたい。