講演情報
[15-O-L016-04]サイバーボッチャ介入による注意・認知機能への影響
*金城 俊昭1、伊藤 星一1 (1. 北海道 社会医療法人博愛会 介護老人保健施設あかしや)
サイバーボッチャが注意・認知機能に影響を及ぼすのかを研究した。対象と方法は、MMSE23点以下でボッチャのルール理解がある8名を対象とし、認知機能検査を実施。ボッチャ介入前と4週間後の介入後に検査実施し、前後比較を行った。各対象者週3回のボッチャを実施。結果はVCT、SDMT、MMSEの向上があった。脳の認知機能は階層構造的になっており、サーバーボッチャは高次レベルの課題に属する為、記憶までの階層が改善したと考える。
【はじめに】 当施設では、サイバーボッチャを導入し利用者様に対して集団レクリエーションを行っている。ボッチャは狙う、考える、投げる等の要素を含んでいるが、サイバーボッチャには光、音などの視覚的、聴覚的な刺激も加わる。そこで今回は、サイバーボッチャが注意機能や認知機能に影響を及ぼすのかを研究した。【研究対象】 当施設入所者8名(男性2名・女性6名)とし、MMSE23点以下の方。ボッチャに対してのルール理解のある方とした。除外基準はMMSE24点以上5点以下の方、拒否のある方とし、中止基準は実施困難になった場合(施設退所、体調不良等)とした。【研究方法】 4週間にわたり、各対象者週3回のサイバーボッチャを実施。各チーム2名とし、4ゲーム実施した。認知機能評価としてMMSE、注意機能評価としてCAT(標準注意検査法)よりVCT、SDMT、上中下検査を抜粋して行った。ボッチャ介入前と対象期間後に検査実施し、前後比較を行った。【結果】 VCTの正答率は介入前92.1%・介入後94.8%。SDMTの達成率は介入前15.7%・介入後20.3%。MMSEの平均値が介入前18点・介入後20点。上中下検査では達成率が介入前87%・介入後84.3%となり、VCT、SDMT、MMSEの向上があった。また、人数比でみると改善、現状維持が大半を占める結果となり、所要時間では改善が大半を占める結果となった。【考察】 脳の認知機能は階層構造的になっており、サイバーボッチャは高次レベルの課題に属する為、今回の研究結果から記憶までの階層が改善したと考える。サイバーボッチャを行う事で、光などの刺激が後頭葉、BGMなどの音楽、アナウンス等は側頭葉、ボールを持った時の感覚は頭頂葉、これらの感覚情報を統合しているのが前頭葉であり、脳全体が活性化したと考えられる。【今後の展望】 症例数や研究期間を増やし、本研究で効果がみられた項目の持続性を調査していきたい。また、効果の持続性により日常生活への変化があるか、関連性を追求していきたい。