講演情報
[15-O-L016-05]当老健の退所理由、リハビリにできること
*高木 勇哉1、中島 敏貴1、本谷 郁雄2、岩井 將修2、平川 雄一2 (1. 岐阜県 介護老人保健施設カワムラコート、2. 河村病院)
当老人保健施設での退所者のおける入院加療に至った者の数を調査行い,比較検証を行うことで,リハビリテーションの取り組みの一助となる可能性があるため検討を行った.退所理由として肺炎が最多であった.自立支援・重度化防止に向けた対応の中でリハビリテーション・口腔・栄養の一体化の推進が推奨されており今後,口腔衛生への取り組みを強化していきたいと考える.
【はじめに】
老人保健施設では在宅復帰,在宅療養支援の為の地域拠点となる施設,リハビリテーションを提供し利用者の機能維持・改善を担う目的があるとされている.介護老人保健施設カワムラコート(以下, 当老健)は入所200床と比較的規模の大きい施設であり,多職種連携して入所利用者の身体機能維持・改善に向けて,日々検討を重ねている.厚生労働省による統計では 入院加療に至った疾患および病名についての調査が行われている.入所利用者の抱える基礎疾患は様々であり,『平成25年介護サービス施設・事業所調査結果』によると平均在所日数は平均311.3日,老人保健施設からの退所先では40.6%が医療機関となっている.当老健からの医療機関へ入院加療に至った利用者の退所率および退所理由を明らかにすることで,今後当老健でのリハビリテーションの取り組みの一助となる可能性があるため検討を行った.
【目的】
今回,当老健の退所者のおける平均在所日数,医療機関への入院加療に至った利用者の退所者数と退所率,退所理由,年齢階層の調査を行い,当老健でのリハビリテーションの取り組みの再確認をすることを目的とした.
【内容】
当老健の令和5年度(令和5年4月1日~令和6年3月31日)の1年間の入所者を対象とした.調査項目は,平均在所日数,医療機関への入院加療に至った利用者の退所者数と退所率,退所理由とした.退所理由は,厚生労働省の『介護報酬改定の検証結果及び調査研究にかかる調査』を参考にして『肺炎』『尿路感染症』『骨折』『脳血管疾患』『心疾患』『認知症による精神状態の増悪』『脱水症』『新型コロナウイルス』『その他』として分類を行った.診断名のわからない者は除外した.また退所者の年齢階層の調査も行った.
【結果】
平均在所日数は257.5日であった.医療機関への退所した総数は179名,診断名のわかる者として114名,退所率は82.5%であった.退所理由として『肺炎』30.7%,『尿路感染症』11.4%,『骨折』8.8%,『脳血管疾患』9.6%,『心疾患』6.1%,『認知症による精神状態の増悪』0%,『脱水症』0%,『新型コロナウイルス』5.3%,『その他』28.9%となった.当老健での対象者の年齢階層は, 40~64歳が4.5%,65~74歳が12.6%,75~84歳が53.2%,95歳以上が29.7%となった.
【考察】
今回の調査結果では,82.5%が医療機関へ退所し,平均在所日数は257.5日であった.退所理由は『肺炎』,『尿路感染症』,『脳血管疾患』,『骨折』が上位であった.対象者の年齢階層は,75~84歳が一番多く,95歳以上が2番目に多かった.平均在所日数および医療機関への退所率は,厚生労働省の『平成25年介護サービス施設・事業所調査結果』によると平均在所日数は311.3日で,40.6%が医療機関へ退所したと報告があり,当老健では平均在所日数は短く,医療機関への退所率は高い結果であった.退所理由は,厚生労働省の『介護報酬改定の検証結果及び調査研究にかかる調査』では『肺炎』26.4%,『尿路感染症』4.5%,『骨折』10.9%,『脳血管疾患』6.4%,『心疾患』13.6%,『認知症による精神状態の増悪』2.7%,『脱水症』5.5%,『新型コロナウイルス』9.1%,『その他』36.4%であり,今回の結果と同様で,特に『肺炎』による入院が多い結果となった.介護老人保健施設の入所者についての年齢階層については,『介護報酬改定の効果検証及び調査研究に関わる調査』によると40~64歳が1.3%,65~74歳が25.7%,75~84歳が51.6%,95歳以上が14.9%となっており,今回の当老健の結果は65~74歳が少なく,95歳以上が多い結果であり,全体として後期高齢者や超高齢者の割合が高い結果であった.今回の結果から当老健では,後期高齢者や超高齢者の割合が高く分布しており,肺炎の罹患リスクが高いため,平均在所日数が短くなり,医療機関への退所率が高くなった可能性が示唆された.先行研究では,高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎を発症すると報告されており,平成31年の誤嚥性肺炎による死亡率は65歳から徐々に増加し,85歳以降では急激に増加し,今後も増加すると予測されている.『平成28年6月15日第2回医療計画の見直し等に関する検討会』では,肺炎患者の約7割が75歳以上の高齢者であり,高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎といわれており,その嚥下障害の原因疾患の割合は,脳卒中が約6割を占め,脳卒中の後遺症が誤嚥性肺炎の発症に大きく関係していることを報告していた.令和6年度介護報酬改定でも自立支援・重度化防止に向けた対応の中でリハビリテーション・口腔・栄養の一体化の推進が推奨されており,今後口腔衛生への取り組みを強化していくことが医療機関への退所率の減少や退所理由の『肺炎』の割合を減らしていけるのではないかと考える.そのためには,リハビリテーションとして身体機能面の訓練だけではなく,他職種と連携して環境設定や介助方法の伝達および共有を行って行きたいと考える.
老人保健施設では在宅復帰,在宅療養支援の為の地域拠点となる施設,リハビリテーションを提供し利用者の機能維持・改善を担う目的があるとされている.介護老人保健施設カワムラコート(以下, 当老健)は入所200床と比較的規模の大きい施設であり,多職種連携して入所利用者の身体機能維持・改善に向けて,日々検討を重ねている.厚生労働省による統計では 入院加療に至った疾患および病名についての調査が行われている.入所利用者の抱える基礎疾患は様々であり,『平成25年介護サービス施設・事業所調査結果』によると平均在所日数は平均311.3日,老人保健施設からの退所先では40.6%が医療機関となっている.当老健からの医療機関へ入院加療に至った利用者の退所率および退所理由を明らかにすることで,今後当老健でのリハビリテーションの取り組みの一助となる可能性があるため検討を行った.
【目的】
今回,当老健の退所者のおける平均在所日数,医療機関への入院加療に至った利用者の退所者数と退所率,退所理由,年齢階層の調査を行い,当老健でのリハビリテーションの取り組みの再確認をすることを目的とした.
【内容】
当老健の令和5年度(令和5年4月1日~令和6年3月31日)の1年間の入所者を対象とした.調査項目は,平均在所日数,医療機関への入院加療に至った利用者の退所者数と退所率,退所理由とした.退所理由は,厚生労働省の『介護報酬改定の検証結果及び調査研究にかかる調査』を参考にして『肺炎』『尿路感染症』『骨折』『脳血管疾患』『心疾患』『認知症による精神状態の増悪』『脱水症』『新型コロナウイルス』『その他』として分類を行った.診断名のわからない者は除外した.また退所者の年齢階層の調査も行った.
【結果】
平均在所日数は257.5日であった.医療機関への退所した総数は179名,診断名のわかる者として114名,退所率は82.5%であった.退所理由として『肺炎』30.7%,『尿路感染症』11.4%,『骨折』8.8%,『脳血管疾患』9.6%,『心疾患』6.1%,『認知症による精神状態の増悪』0%,『脱水症』0%,『新型コロナウイルス』5.3%,『その他』28.9%となった.当老健での対象者の年齢階層は, 40~64歳が4.5%,65~74歳が12.6%,75~84歳が53.2%,95歳以上が29.7%となった.
【考察】
今回の調査結果では,82.5%が医療機関へ退所し,平均在所日数は257.5日であった.退所理由は『肺炎』,『尿路感染症』,『脳血管疾患』,『骨折』が上位であった.対象者の年齢階層は,75~84歳が一番多く,95歳以上が2番目に多かった.平均在所日数および医療機関への退所率は,厚生労働省の『平成25年介護サービス施設・事業所調査結果』によると平均在所日数は311.3日で,40.6%が医療機関へ退所したと報告があり,当老健では平均在所日数は短く,医療機関への退所率は高い結果であった.退所理由は,厚生労働省の『介護報酬改定の検証結果及び調査研究にかかる調査』では『肺炎』26.4%,『尿路感染症』4.5%,『骨折』10.9%,『脳血管疾患』6.4%,『心疾患』13.6%,『認知症による精神状態の増悪』2.7%,『脱水症』5.5%,『新型コロナウイルス』9.1%,『その他』36.4%であり,今回の結果と同様で,特に『肺炎』による入院が多い結果となった.介護老人保健施設の入所者についての年齢階層については,『介護報酬改定の効果検証及び調査研究に関わる調査』によると40~64歳が1.3%,65~74歳が25.7%,75~84歳が51.6%,95歳以上が14.9%となっており,今回の当老健の結果は65~74歳が少なく,95歳以上が多い結果であり,全体として後期高齢者や超高齢者の割合が高い結果であった.今回の結果から当老健では,後期高齢者や超高齢者の割合が高く分布しており,肺炎の罹患リスクが高いため,平均在所日数が短くなり,医療機関への退所率が高くなった可能性が示唆された.先行研究では,高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎を発症すると報告されており,平成31年の誤嚥性肺炎による死亡率は65歳から徐々に増加し,85歳以降では急激に増加し,今後も増加すると予測されている.『平成28年6月15日第2回医療計画の見直し等に関する検討会』では,肺炎患者の約7割が75歳以上の高齢者であり,高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎といわれており,その嚥下障害の原因疾患の割合は,脳卒中が約6割を占め,脳卒中の後遺症が誤嚥性肺炎の発症に大きく関係していることを報告していた.令和6年度介護報酬改定でも自立支援・重度化防止に向けた対応の中でリハビリテーション・口腔・栄養の一体化の推進が推奨されており,今後口腔衛生への取り組みを強化していくことが医療機関への退所率の減少や退所理由の『肺炎』の割合を減らしていけるのではないかと考える.そのためには,リハビリテーションとして身体機能面の訓練だけではなく,他職種と連携して環境設定や介助方法の伝達および共有を行って行きたいと考える.